【2/8日本市場の確認ポイント】
日経平均 27284.52(+0.13%)[27,280~27,461]
TOPIX 1934.06(+0.42%)[1,930~1,942]
東証2部 7200.06(▲0.32%)[7,200~7,239]
JASDAQ 3643.64(▲0.08%)[3,638~3,654]
マザーズ 738.47(▲1.82%)[736~760]
値上がりセクターTOP5
1.海運(+3.99%)
2.農林・水産(+3.29%)
3.陸運(+3.08%)
4.空運(+3.06%)
5.鉄鋼(+1.75%)
値下がりセクターTOP5
1.紙・パルプ(▲1.61%)
2.精密機器(▲1.48%)
3.その他製品(▲1.11%)
4.その他金融(▲1.01%)
5.繊維(▲0.45%)
8日の日本市場はバリュー株を中心に反発はしたものの上値を試す動きは限定的で、米長期金利が1.9%台に到達して高止まりしていることへの警戒感からグロース株は弱さが目立ちました。とくに決算発表を控えたソフトバンクG(9984)やソニー(6758)など代表株が逆行安となっている以上、グロース株には触手が伸びにくい状況と言えます。
セクター別には海運株が再びトップに浮上し、1/28、1/31、2/1、2/4、2/8が値上がりトップ、反対に2/2、2/3、2/7は値下がりトップで往ったり来たりの乱高下を繰り返しています。この日は総じてアフターコロナの経済活動再開への期待から旅行・レジャー関連株が物色し直され、空運株、陸運株なども上位に食い込みました。
一方、決算以降で連日の大幅安となっているオリンパス(7733)や足元で物色傾向にあったバンダイナムコ(7832)が決算発表後から急落、すでに決算通過しているスクウェア・エニックス(9684)やミクシィ(2121)、グリー(3632)なども揃って下落し、ゲーム株全般に利益確定売りの動きが目立ちました。また、マザーズ指数は▲2%近く下落しており改めて需給の悪さを感じさせられる動きとなっています。
【米国株概況】
再び金利上昇耐性を見せつけた株式市場は主要指数がそろって反発、25日線突破のカギを握る○○に注目!
NYダウ 35462.78(+1.06%)[35,090~35,544]
S&P500 4521.54(+0.84%)[4,465~4,531]
NASDAQ 14194.46(+1.28%)[13,934~14,226]
ダウ輸送株 15360.8(+1.10%)[15,223~15,433]
半導体SOX 3535.1(+2.40%)[3,433~3,545]
日経平均先物(CME) 27,395(+0.42%)[27,190~27,455]
ドル/円 115.05~115.62
米10年債利回り 1.961%
WTI原油 89.50(一時93.16:2/4)
金先物 1826.20
銅先物 4.4705
恐怖指数(VIX)21.44
Fear&Greed指数 36
High Yield Bond (HYG)83.62(安値更新:2020年9月来)
8日の米国市場は主要株式指数がそろって反発し、NYダウ、ナスダックともに再び25日移動平均線を窺う位置に戻してきています。1月後半の急落から自律反発をみせた相場で越えるべき試練がこの抵抗ラインを突破できるかどうかになっています。
株式・債券の両市場ともに今後のインフレ動向を探りたいわけですので、明日10日発表される米1月消費者物価指数(CPI)が注目されています。直近の米雇用統計結果が強い内容だったことをうけて材料消化しながら金利上昇の環境が構築されており、これを株式市場がどう受け取るべきかで方向感なく揺れているのが現状です。
ただし、前回指摘したように米長期金利が1.9%台半ばまで達してくる中、株価は堅調な値戻しを見せていることは、金利動向に鈍感になったといいますか金利上昇耐性がついてきたような動きです。昨晩の米国市場でも金利上昇を好感しやすい金融株が堅調ですから、NYダウが底堅く推移するのは頷けるとして、とくにナスダックや半導体SOXが買われているところが注目されます。
また、債券市場では国債入札スケジュールに差し掛かっているところで、とくに今晩の米10年国債の大型入札を無事に消化できるかが金利動向を大きく左右することになります。足元では米国債売りから長期金利は2%目前となってきましたので、おそらく米国株が上記の抵抗ラインを突破するための条件としては、一旦長期金利が2%を突破しても大丈夫なのかどうかを見極めてからでないとグロース株はとても買えない状況というのをクリアする必要があるとみられます。
これを無事に確認できてグロース株が復活、というよりも買い方が売り方の買戻しを誘発するショートスクイーズを仕掛けて25日移動平均線をブレイクしてくる!?というのが妥当な想定線だと思われます。相場サイクルの性質上、遅行業種の銀行株が上がったら相場の最終局面とされていますから、コロナバブルもいよいよクライマックスを迎えてきたといったところです。
リスク指標は今回も相変わらずで、VIX指数は21ポイント台へ低下しているもののFear&Greed指数は低空飛行、ハイイールド債は安値更新の動きをなおも続けていますので、リスク回避姿勢が変わっていません。おそらく足元でのウクライナ情勢緊迫化への警戒などが重しになっているのだと思われますが、これと米-イランの核協議の行方に進展がみられるかを合わせて地政学リスクを意識しているはずです。
これら地政学リスクが中国の北京五輪が終幕してくる頃合いに話し合いが解決の方向へと一気に傾いてくると思いますので、この警戒感が一瞬和らぐ瞬間を見計らってショートスクイーズが起こってくる可能性が高いと言えるでしょう。米国株にとってはここが最後の逃げ場といった感じになるものと思われます。
【日本株投資戦略】
株式と他の資本市場との相関関係を見極める局面、まもなく企業決算一巡でボラティリティが復活してくるまでの時間は残りわずか
上記の米国市場分析でも解説しましたように、足元では米長期金利が1.9%台半ばに到達してきたにもかかわらず株価は以前よりも金利上昇を気にしなくなってきたように思います。ただこれは、2/4の米雇用統計後の米株市場で同様の動きがみられたにもかかわらず、2/7の日本市場ではグロース株売りが際立っていましたから、米国株の動きをそのまま日本株に当てはめるにはまだまだ信頼度が足りません。
足元の日本株ではやはりバリュー株優勢と言えますので、値ごろ感だけでグロース株の自律反発を狙いにいくのはリスクが大きいでしょう。むしろ日本株が買われやすい展開として期待できることは直近のメルマガ【先読みの近未来】で詳しく述べましたように、地政学リスクと原油市場の関係から原油価格が一旦ピークアウトしてくることに伴い、過度なインフレ警戒感が緩和されることによるものだと思われます。
また、次なる展開においても既に先月末の【先読みの近未来】で詳述したとおり、為替市場での金利上昇と米ドル高の関係に異変が生じはじめ、ドル高円安トレンドが反転する動きが出てくるかどうかに焦点があたるようになるでしょう。
先進国の株式市場でもとりわけボラティリティの高い日本株においても金利上昇耐性を身につけるような場合は、まず越えるべきハードルが実質金利の上昇となるため、日米金利差の拡大で米ドルが選好される流れがスプレッド縮小につき逆流してくることになるからです。つまり、円高環境においても日本株が買われる展開が必要ということになります。
おそらく現段階においては、大多数の市場関係者がアベノミクス相場の記憶が強く根付いていることから円安を追い風にした日本株買いの展開を想定していると思われ、為替が円高転換した場合に日本株売りで対応する可能性があると言えるでしょう。
よって、目先は金利動向だけでなく原油、為替といった株式市場以外の資本市場の動きに対して株価がどう反応するのかで強弱感が対立しやすい時期とみられます。株式市場が徐々に次のフェーズにおいて上昇しやすい相関関係を探し当てるのに多少の時間を要すると考えながらみていく必要があるでしょう。
今週から来週初めにかけてのところでひとまず企業決算は一巡してくることになりますので、また外部環境を中心とした動きに逆戻りしていくとともに、足元で低下傾向にあるボラティリティがまた復活してくるようになります。今週末、来週末にはそれぞれ日米のマイナーSQを控えていますので、それらを目安に段階的なポジションの縮小(売り上がり)を検討していくのがよいでしょう。
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