【2/4日本市場の確認ポイント】
日経平均 27439.99(+0.73%)[27,075~27,455]
TOPIX   1916.26(+0.55%)[1,907~1,932]
東証2部  7252.43(+0.74%)[7,176~7,253]
JASDAQ   3668.42(+0.35%)[3,639~3,669]
マザーズ  773.48(▲0.26%)[751~773]

値上がりセクターTOP5
1.海運(+4.82%)
2.空運(+3.34%)
3.倉庫・運輸(+2.03%)
4.その他製品(+2.02%)
5.陸運(+1.50%)

値下がりセクターTOP5
1.紙・パルプ(▲1.21%)
2.ガラス・土石(▲0.88%)
3.輸送用機器(▲0.45%)
4.繊維(▲0.37%)
5.不動産(▲0.08%)

 4日の日本市場は朝方こそ軟調に始まったものの後場から大きく切り返し、日経平均は27,100円割れのところから27,450円台に浮上して終えています。軟調さが目立つグロース株にも自律反発狙いの買いが入ったほか、決算発表が好感されて2ケタ上昇したコナミ(9766)をはじめ中外製薬(4519)、任天堂(7974)、資生堂(4911)なども大幅高の動きでした。

 また、決算発表後に利益確定売りで下げていた海運株も日本郵船(9101)、川崎汽船(9107)などが急伸。政府が新型コロナ水際対策に緩和措置を検討とのニュースからJAL(9201)、ANA(9202)にも強い買いが観測されたほか、旅行・レジャー関連株にも連想買いが波及しました。

 さらに原油市場がWTI先物で1バレル-90ドル台突破をうけて資源株も三菱商事(8058)、三井物産(8031)など商社株を中心に強含み、一方で丸紅(8002)などは利益確定売りで反落しています。ほかに目立ったところではトヨタ(7203)が逆行安、直近材料で買われていた塩野義製薬(4507)なども利益確定売りに押されています。

 決算シーズンに入ってとくに目立つのが半導体不足など供給制約の影響をうけて自動車部品関連の下方修正が相次いで発表されています。この日は日本板硝子(5202)や古河電気工業(5801)などが自動車関連のセグメントにおける収益大幅悪化が響いて下方修正を余儀なくされたことから大幅安となりました。

【米国株概況】
決算好感のアマゾンが急伸してハイテク株上昇をけん引、長期金利上昇を打ち消す動きみせるもリスク指標は未だ警戒水準、原油市場では投機色強まる展開

NYダウ 35089.74(▲0.06%)[34,799~35,333]
S&P500  4500.53(+0.52%)[4,451~4,539]
NASDAQ 14098.01(+1.58%)[13,850~14,222]
ダウ輸送株 15214.3(▲1.65%)[15,061450~15,447]
半導体SOX 3453.1(+0.60%)[3,374~3,481]
日経平均先物(CME) 27,290(▲0.44%)[27,055~27,440]
ドル/円 114.78~115.42
米10年債利回り 1.914%
WTI原油 91.94(一時93.16)
金先物 1807.50
銅先物 4.5062
恐怖指数(VIX)23.22
Fear&Greed指数 35
High Yield Bond (HYG)83.77(安値更新:2020年10月来)

 4日の米国市場はまず市場予想を大幅に上回る1月米雇用統計の強い結果をうけて長期金利が上昇し、米10年債利回りは1.9%台に急伸してコロナ後の最高値を更新しました。金利上昇を嫌気して株式市場も大きく売られる場面がありましたが、好決算のアマゾンが2ケタ上昇と急伸したことなどをうけて投資家心理が崩れることはなく、徐々に切り返す動きとなりました。

 アマゾンがハイテク株の上昇をけん引したことでナスダックは金利上昇の環境下でも終始プラス圏で推移。NYダウはやや値を崩す場面があったものの、雇用統計および長期金利に対する見方で警戒感が和らぐ形となり一時34,800ドル近くに売られたところから35,300ドル超まで500ドル以上を値戻ししました。

 雇用統計の内容をうけて3月FOMCにおける利上げを強く意識せざるを得なくなった一方、景気回復への自信を取り戻すに足る内容でもあったことで売りに傾いていたポジションを買い戻す動きが強まったものとみられます。

 また、景気回復による需要増期待および緊迫度を増すウクライナ情勢の地政学リスクを意識した原油市場が一時93ドル台まで急伸、リスクマネー流入による投機色が強まってきています。一方で、リスク指標であるVIX指数は26ポイントから22~23ポイントに急低下しましたが、ハイイールド債市場は相変わらず軟調で2020年10月以来となる安値水準を記録しています。これらから短期的にはやや投資家センチメントに改善傾向がみられたものの、本格的には強気転換できない微妙な局面にあると言えます。

金利上昇局面でも株式市場が持ち堪えたことはポジティブ、目先は企業決算の動向に熱視線が向けられる展開

 前週末の米国市場では強い雇用統計結果をうけて金利上昇する、株式市場にとっては特にハイテクグロース株において逆風となる動きだったものの、アマゾン好決算などもあり投資家行動は一時の高PER銘柄を売り急ぐ動きにはつながりませんでした。

 これが米国の利上げ観測に対して株式市場に金利上昇耐性がついてきたということなのであれば、目先で大きく値崩れする心配は和らぐことになります。だからといってリスク指標が立ち直ってこない現段階で強気転換するには相当ハードルが高い状況であることには変わりなく、日本株においても決算シーズンが明けたところの材料難になった局面で真価が問われることになります。

 あくまでも足元の市場テーマは企業決算に目線が集中しており、外部環境で地政学リスクを意識しながらも、マクロ動向の影響は比較的薄れている状況です。また、先月末にかけての急落時点で大方の売り需要を消化したとみられますが、ここ最近の市場商いが連日で3兆円越えであるにもかかわらず上値を試す動きは限定的であることも売り圧力が依然として残っている現状を映しているのかもしれません。

 先行きに対する不透明感で売り買いが交錯し、強弱感の対立が強まっているのかもしれませんが、どちらかに少しでも圧力がかかると一方向に値幅が出やすい市場環境になっていることは確かです。

 先ほど述べたように株式市場に金利上昇耐性がついてきたのであれば非常にポジティブですが、これが決算シーズンで一過性要因にすぎないのであれば市場はやはり下方リスクを抱えたまま膠着状態となりやすいでしょう。その場合には2月半ばの米FOMC議事録公表および3月半ばの米FOMCを消化する際の市場反応を見極めていく必要があると言えます。

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