【2/3日本市場の確認ポイント】
日経平均 27241.31(▲1.06%)[27,165~27,357]
TOPIX   1919.92(▲0.86%)[1,917~1,929]
東証2部  7199.34(▲0.40%)[7,187~7,217]
JASDAQ   3655.78(▲0.45%)[3,651~3,670]
マザーズ  775.46(▲4.10%)[768~796]

値上がりセクターTOP5
1.ゴム(+1.80%)
2.紙・パルプ(+1.33%)
3.石油・石炭(+1.21%)
4.輸送用機器(+1.18%)
5.鉱業(+0.86%)

値下がりセクターTOP5
1.海運(▲3.16%)
2.電気機器(▲3.03%)
3.機械(▲2.21%)
4.陸運(▲1.66%)
5.その他製品(▲1.48%)

 3日の日本市場は米国市場続伸の動きをうけた戻り期待が強まる中で反落、グロース株が売り直されたことにより日経平均は▲1%強、マザーズ指数は▲4%超の下げとなりました。TOPIXはバリュー系が中心に底堅い動きをみせたことから相対的に下落幅は小さくなっています。この日も東証一部の売買代金は3兆円超えで商いは活況、ただし売買代金上位銘柄は軒並み大きく売られるものが目立ちました。

 日経平均反落の中身はファーストリテイリング(9983)が▲3.7%と大幅安、続いて東京エレクトロン(8035)も▲2.3%安、ほかにエムスリー(2413)が▲安9.2%やソニー(6758)の▲6.1%安などグロース株を中心とした値崩れが目立ちました。一方で値上がり寄与は追加材料を追い風に塩野義製薬(4507)が+4.8%高、決算が好感された豊田通商(8015)が+5.3%高などのほか自動車関連が反発しました。

 セクター別でとくに注目されるのが海運株の動きです。他に先行して1/31に3Q決算ならびに業績上方修正を発表した商船三井(9104)から連想買いが波及し、大手3社中心に軒並み大幅高をみせていましたが、昨日は日本郵船(9101)、川崎汽船(9107)がそろって前引け後に決算を発表した結果、それぞれ明暗が分かれ郵船は▲0.1%安まで買い戻されましたが、川崎汽船は下げ幅を拡大して▲13.6%の大幅安まで売られ、個別の選別色がより強まっていることを浮き彫りにしています。

【米国株概況】
欧州の金融政策タカ派スタンスをうけて米国金利が再び上昇、企業決算もハイテク株売り要因を助長

NYダウ 35111.16(▲1.45%)[35,071~35,535]
S&P500  4477.44(▲2.44%)[4,470~4,542]
NASDAQ 13878.82(▲3.74%)[13,851~14,207]
ダウ輸送株 15469.1(▲1.72%)[15,450~15,745]
半導体SOX 3432.5(▲4.58%)[3,422~3,515]
日経平均先物(CME) 26,945(▲0.94%)[26,970~27,395]
ドル/円 114.32~114.97
米10年債利回り 1.838%
WTI原油 90.27
金先物 1804.80
銅先物 4.4752
恐怖指数(VIX)24.35
Fear&Greed指数 33
High Yield Bond (HYG)84.10

 3日の米国市場は5日ぶりに反落、主要株式指数が軒並み下落しましたが中でもハイテク株比率の高いナスダックが▲3.7%と大幅安、さらに半導体SOX指数も▲4.6%とこちらも急落、直近の戻り相場で改善の兆しが出かかった投資家心理に再び暗い影を落としました。

 前日の引け後に決算発表したメタ(旧フェイスブック)が時間外ですでに▲20%超の急落となっていたことからある程度軟調は予想されていましたが、その他のSNS関連や引け後に決算を控えていたアマゾンなども大幅安となり、企業業績による相場回復への期待が剥がれ落ちたような動きとなりました。

 また、ハイテク株は米国金利の上昇が再び強まったことも売りがかさんだ要因とみられますが、債券市場においては欧州時間でECB(欧州中央銀行)が主要政策金利を市場予想通り据え置いたことまではよかったものの、ラガルド総裁の発言で足元のインフレ懸念から引き締めペースが速まるとの観測が強まりました。また、ECBよりも利上げに積極的なBOE(イングランド銀行)は政策金利を0.25%引き上げました。米国では現状で今年5回までの利上げを織り込みにかかっているほか、来週には大きめの米国債入札が控えていることも手元の債券を売り急ぐ一因と言えるかもしれません。

 米FRBによる利上げに向けた動きが改めて警戒される中、商品市場では金価格が一時1788ドルまで急落しました。また、原油市場では2日のOPEC+会合で産油国の追加増産見送り決定やウクライナ情勢の緊迫化をうけてWTI先物は1バレル=90ドルの節目をついに突破しました。目先100ドル台超えの観測も浮上する中、地政学リスクが炸裂して一段高となるのか、あるいは話し合いで解決して一旦小康状態へと向かうのか原油市場の動きからはますます目が離せなくなっています。

 リスク指標では前回指摘したようにVIX指数こそ足元で20ポイント近くまで低下していましたが、昨日は大きく反発して24ポイント台に上昇、ただそれ以上にハイイールド債の下落基調が強まっており、再び安値を更新して相変わらず市場からリスクマネーが逃避する姿勢を鮮明に映し出しています。

【日本株投資戦略】
短期間のリバウンド相場に早くも黄色信号、『節分天井・彼岸底』の相場格言も。グロース株売り再開でバリュー株優勢がより際立つ展開

 昨日のグロース株が売り直される地合い難から、今は少しでも上昇したら戻り売りしたい投資家の心理が透けて見えます。また、足元では日経平均も16,000円付近まで下落した先週のセリングクライマックス級の場面から底値買いした投資家は短期リバウンドで十分な値幅が出ましたから利益確定売りを急ぐといったこともあり得るのでしょう。

 現在は決算シーズンも佳境に入っていますので全体というより個別株によって値動きがまちまちであり、投資家によってもグロース株を中心に手がけているか、バリュー株を中心に手元を固めているかでだいぶ見える景色が違っているかと思います。

 ひとまず1月の相場に波乱を呼び込んだ水星の逆行期間(1/14~2/4)が終了し、本日から中国で北京五輪が開催(2/4~2/20)されます。開催期間中は相場波乱の一要因となった地政学リスクもウクライナ情勢は緊迫化の一途を辿るも、東アジア情勢における中国がらみの複合的リスクは一旦回避されることで過度な警戒感は徐々に和らいでいくものと考えられます。

 ただし、今はちょっとしたリスク要因にも神経過敏になって大きく動きますので、業績相場にうまく乗れている方はきちんと利益確定を交えながら資産全体の株式比率は徐々に縮小させて現金比率を高めていく動きを続けましょう。

 一方で、業績相場云々よりも新興市場で痛手を被っている方は目先の決算に期待するかもしれませんが、昨晩の米国市場では業績相場への期待が剥がれてきた兆しも出ています。リスクの高い中小型株は上昇幅よりも下落幅の方が大きくなりがちなので、以前よりは多少マシになった今の地合いのうちに少しでもポジションを落として次の下落局面への備えを優先させていく方が賢明でしょう。

 日本国内では新型コロナのオミクロン株感染拡大でまん延防止重点措置が実施されていますが、緊急事態宣言の発令は見送られています。主要都市の実施期間は首都圏が13日まで、関西圏が20日までとなっており、ちょうどその頃に北京五輪の終幕と米国のFOMC議事録公表が重なってくることに注意が必要です。

 有名な相場格言ではよく「節分天井、彼岸底」というのがあり、今年がそれに当てはまるとは必ずしも言えませんが、これは米国の資金動向を背景にアノマリーとしても発生確率が高い傾向にあります。以上のことからも2月後半以降はよりボラティリティ(変動)の大きい相場環境になることと思います。

 ここからは中途半端なトレードはかえって損切りの機会を増やしてしまい悪循環に陥ってしまいますので注意しなくてはなりません。目先の局所的な上昇で焦って取り返そうとするよりも、中期的な下落相場のアク抜けをじっくり待つようにマインドチェンジしていくことが大事になるでしょう。

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