【1/27日本市場の確認ポイント】
日経平均 26170.30(▲3.11%)[26,044~27,193]
TOPIX   1842.44(▲2.61%)[1,835~1,906]
東証2部  7027.48(▲2.34%)[7,022~7,217]
JASDAQ   3553.63(▲2.08%)[3,548~3,636]
マザーズ  728.25(▲6.61%)[724~780]

値上がりセクターTOP5
1.電気・ガス(+0.36%)
2.食料品(+0.01%)
3.なし
4.なし
5.なし

値下がりセクターTOP5
1.サービス(▲4.45%)
2.精密機器(▲4.15%)
3.電気機器(▲4.10%)
4.情報・通信(▲3.56%)
5.金属製品(▲3.48%)

 27日の日本市場は米FOMC後のパウエル議長発言とともに急落した米国株大幅安をうけて3日続落の動きとなりました。朝方に反発して始まるも断続的な売りに押され、日経平均は一時▲900円超の下落。その他の指数も軒並み▲2%超の下落率となったほか、マザーズ指数は▲6%超で記録的な下落となりました。

 東証1部の騰落銘柄数は値上がり/値下がりが87/2067と値下がり銘柄が2000を超えて全面安商状でした。米FOMC通過を反転材料にしたかったところがかえって下値を掘り下げる動きとなり、日経平均は年初来・昨年来安値を大幅に更新。26,000円割れは辛うじて回避したものの、グロース株が総崩れとなり、空売り比率も52.9%と昨年10/28の54.2%に次ぐ売り浴びせとなっています。

 とくにグロース株中心に厳しい下げが目立ち、決算材料にサイバーエージェント(4751)が▲16%で突出したほか、ソフトバンクG(9984)が▲9%、エムスリー(2413)、リクルート(6098)がそれぞれ▲7%超とまるで新興株並みの下落。さらに半導体関連のアドバンテスト(6857)、日東電工(6988)、ソニー(6758)、SCREEN(7735)などが▲7%弱の下落となり、主力級の優良株までもが投げ売りに遭う始末。

 一方で、逆行高を演じたのが業績上方修正を材料にファナック(6954)で一時7%近く上昇したものの最終的には上げ幅を縮める動き、原油高を背景にINPEX(1605)も高く始まりなんとかプラスを保ちました。その他、金利上昇の恩恵をうける銀行株・保険株は厳しい売り浴びせを回避しました。

【米国株概況】
ダウ下げ渋るもハイテク株安止まらず、半導体SOXが▲4.8%の大幅安とジャンク債安値更新でリスク回避の動き継続

NYダウ 34160.78(▲0.02%)[34,007~34,773]
S&P500  4326.51(▲0.54%)[4,309~4,428]
NASDAQ 13352.78(▲1.40%)[13,222~13,765]
ダウ輸送株 14809.9(▲1.46%)[14,749~15,332]
半導体SOX 3244.0(▲4.78%)[3,236~3,422]
日経平均先物(CME) 26,550(+1.26%)[26,025~27,180]
ドル/円 114.47~115.49
米10年債利回り 1.810%
WTI原油 87.30(一時88.53)
金先物 1797.45
銅先物 4.4165
恐怖指数(VIX)30.49
Fear&Greed指数 33
High Yield Bond  84.44

 27日の米国市場は米FOMC後の金利上昇を嫌気する売りがさらに加速する形でハイテク株中心に続落。とくにこの日は半導体SOX指数の下げが1/18の▲4.4%を超えて▲4.8%と今年最高を記録しました。炭鉱のカナリアと呼ばれるジャンク債市場も1/25の底割れ以降は下値模索の動きを続けており、下げ止まる兆しがない現状です。

 もっともNYダウはハイテク株軟調の地合いで影響をうけながらも下げ渋る動きをみせており、1/24に安値形成した後は下値を切り上げる形となっています。米FRBのタカ派傾斜の影響から金利上昇でハイテクグロース株が敬遠される一方でバリュー株が相対的に選好されていると言えます。

◆バリュー株やアジア株選好も、FOMC後の最善の投資を専門家が伝授(2022/1/27)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-01-27/R6CHRLDWX2PV01?srnd=cojp-v2

 ただ、足元の株安は米金融政策にのみ起因したものでなく、ウクライナ情勢やコロナパンデミックによるサプライチェーンの供給制約、新たなウイルス変異株の登場など複合的な不確実性からもたらされたものである以上、どれか一つで悪材料出尽くしの反発を見せても別の理由を売り材料にされるといった具合に、株価を動かす変数が多すぎてアルゴリズムも一旦売りに傾くと勢いづいてしまう傾向にあるようです。

 月末が近づいていることにしたがいグローバルポジションのリバランスも発生するため市場反転の見極めが難しい場面です。ただし、NYダウは年初来から▲10%超、ナスダックは▲18%弱と値幅調整もだいぶ進んできたと言えます。これまでであればこうした局面で金融政策あるいは財政政策の刺激策が株価を下支えする役割を果たしてきましたが、バイデン政権はビルド・バック・ベター法案の成立が難航しており、米FRBもインフレ対応で引き締め方向に切った舵を戻せないのが現状です。市場が自律反発を見せるほかない状況で米国の巨額財政出動が起死回生の一手として繰り出されるかどうか注目でしょう。

【日本株投資戦略】
年初来2ケタの下落率に達しセリングクライマックス級に売買代金が急増、一旦反発に転じる局面に

 昨晩の米国市場ではハイテク株売りが一段と加速する中でNYダウは小幅安にとどまったほか、日経平均先物も26,500円台に反発して戻ってきています。もっとも昨日の日経平均が▲900円近く下げましたから戻り幅は半値戻しがせいぜいといったところですが、相対的に下げ渋ったバリュー株が次の標的にならないことと、売られ過ぎたグロース株の自律反発が焦点になることと思います。

 日本株も年初来パフォーマンスは日経平均が▲11%超、TOPIXが▲10%弱、マザーズ指数は▲27%超と新興株にとってはほぼ何らかのショック安に見舞われたような暴落商状となっています。2020年来のコロナ環境下における過剰流動性相場で買われたグロース株が軒並み厳しい下げとなっており、とくに新興市場では買い手不在なところに追証売りが止まらない状況と推察されます。

 こちらも米国株同様に金融政策、財政政策の株価刺激材料がほしい状況ですが、昨日の大幅安した状況下でも日銀ETF買いが発動せず、岸田政権も例のとおり新しい資本主義を標榜して株価下落には無頓着な姿勢を貫いています。投資家にとって期待を膨らませるような政策後押しがないことがかえって岸田政権への失望売りを招く結果になっていると言えるでしょう。

 もっとも足元の調整地合いの中で大きく売られているのは、コロナ・ショック以降で相応に大きく上値を伸ばした銘柄が中心であるほか、日銀ETF買いに支えられて株価上昇し値がさ株に成長したファーストリテイリング(9983)、ソフトバンクG(9984)はじめ東京エレクトロン(8035)やリクルート(6098)などの影響度が大きいといった特徴があります。

 また、金融当局がこぞって意識し始めたインフレの流れが強まってくるのにしたがい値上げ耐性に乏しい銘柄というのは今後の展開においても株価の戻りが鈍く見切り売りの対象となりやすいでしょう。直近における東証の売買代金は3兆円台後半にまで膨らんでいますので、ほぼセリング・クライマックスに近い規模となっています。

 日米株ともに反転のきっかけを掴むのに苦労している状況ですが、月末にかけて投資家の悲観も極まってくるかと思います。ここに至るまで空売り比率が高い水準で推移してきましたから、売りが溜まってきたところで次はショートスクイーズの仕掛けも入ってくると考えられますので、企業決算とあわせて買戻し圧力の大きい銘柄に注目して来週に臨むのがよいでしょう。

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