【1/13日本市場の確認ポイント】
日経平均 28489.13(▲0.96%)[28,444~28,660]
TOPIX   2005.58(▲0.68%)[2,004~2,014]
東証2部  7568.39(▲0.63%)[7,565~7,612]
JASDAQ   3819.03(▲0.48%)[3,817~3,842]
マザーズ  874.04(▲3.59%)[874~899]

値上がりセクターTOP5
1.鉄鋼(+3.33%)
2.非鉄金属(+2.56%)
3.紙・パルプ(+1.47%)
4.保険(+1.41%)
5.卸売(+1.23%)

値下がりセクターTOP5
1.精密機器(▲3.64%)
2.小売(▲2.30%)
3.サービス(▲2.16%)
4.陸運(▲2.09%)
5.その他製品(▲1.82%)

 12日に+543円高と高騰した日経平均はちょうどその半値落ちの▲276円安で、東証1部の騰落銘柄数も値上がり502/値下がり1605と奮いませんでした。ただし、4分の1の値上がり銘柄の中で強さが目立ったのがバリュー株で、トヨタ(7203)が+2%超の上昇で上場来高値を更新。

 セクター別には鉄鋼が+3.3%と大幅高で日本製鉄(5401)が5%超の上昇、JFE(5411)、神戸製鋼所(5406)も+3%超の値上がりでした。値上がり2位に躍り出た非鉄金属は+2.5%で、ニッケル価格が10年ぶりの高値水準に上昇したのを材料視した住友金属鉱山(5713)が+5.8%、大平洋金属(5541)が+6.6%と大幅高しました。
 一方、軟調さが目立ったのはグロース株でオリンパス(7733)が▲5%、リクルート(6098)が▲4%と大幅に反落、さらにファナック(6954)も▲2%超の厳しい下げに見舞われました。前日に好決算で良い動きを見せた安川電機(6506)も上昇分を全戻しする▲6%超の大幅安でグロース株に対する売り圧力の強さが反転期待を打ち消しました。

 また、グロース株売りを改めて強く意識させられたのがマザーズ指数の▲3.5%という大幅反落で、前日の上昇分を消失してしまいました。時価総額上位のメルカリ(4385)、フリー(4478)、ビジョナル(4194)のTOP3がそれぞれ▲5.0%、▲8.2%、▲5.8%と徹底的に売り込まれており、結果的にマザーズ指数は終値ベースでの年初来安値を更新しました。

【米国株概況】
決算シーズン本格化を前に改めてグロース株売り強まる、景気敏感株は見直し買いで逆行高

NYダウ 36113.62(▲0.49%)[36,049~36,513]
S&P500  4659.03(▲1.42%)[4,650~4,743]
NASDAQ 14806.81(▲2.51%)[14,782~15,256]
ダウ輸送株 16004.6(+0.21%)[15,958~16,167]
半導体SOX 3811.8(▲2.29%)[3,801~3,992]
日経平均先物(CME) 28,275(▲0.96%)[28,240~28,665]
ドル/円 114.00~114.70
米10年債利回り 1.702%
WTI原油 81.70
金先物 1822.50
銅先物 4.5115
恐怖指数(VIX)20.31
Fear&Greed指数 51
High Yield Bond  86.17

 13日の米国市場は主要4指数がそろって反落し、とくにハイテクグロース株主体のナスダックが▲2.5%と大幅安、半導体SOX指数も▲2.3%と週初の水準まで押し戻される動きとなりました。FRB高官たちが口をそろえて金融緩和策の解除および3月利上げ開始の見方を示し、改めてグロース株が利食い売りに押されました。

 一方で、米10年債利回りは1.70%と一時1.80%台だったところから見ると買われており、足元の10年債入札、30年債入札も堅調な結果でした。前週のFOMC議事録公表からの下げと昨晩の下げはともにグロース株売りが主体ですが、今回はインフレや利上げを巡り長期金利は低下しており、下げの要因が金利動向の警戒というわけでもありません。

 昨日の日本株も同様でしたが、目先は企業決算に市場の焦点は移り始めており、決算シーズンが本格化するのを前にポジション整理の一環で警戒売りが出やすくなっているとみた方がよいでしょう。とくにバリュエーションが高いハイテクグロース株は好決算で夢が膨らむというよりも、現実的な実績確認で逆に長い夢から醒めるきっかけとなりかねません。

 また、グロース株の軟調さが際立った一方でバリュー株が逆行高したのも昨日の日本市場と共通している点です。とくにダウ輸送株指数はプラス引けで、米国株が一様に売られたわけではありません。むしろバリュー株への見直し買いは強まっており、反対にハイテク株では米マイクロソフトが▲4.2%、米セールスフォースが▲3.8%とNYダウを2社だけで150ドル近く押し下げ、米テスラが▲6.7%でS&P500の下押しを助長しました。

【日本株投資戦略】
上昇と下落の鯨幕相場でもジグザグしながら短期トレンドは中間反騰継続、この時期の決算銘柄の注意ポイントと需給良好な銘柄の見分け方

12日の全面高商状の中ではグロース株の反騰が目立ち、売り一巡感もありましたが、一転して昨日は売り出尽くしを否定したことで下値不安がより強まった格好です。グロース株の反転にまだ時間を要するとすれば、資金はしばらくバリュー系セクターの中で循環する可能性もあるでしょう。バリュー株の躍進は全体を下支えはするものの日経平均に対する寄与度は相対的に小さいため、指数は日経平均の上値は限られやすく、TOPIX優位の展開が続くと言えるかもしれません。

 ただし、ここからの焦点はあくまでも企業決算になってきます。そんな中で決算発表翌日に大幅高した安川電機(6506)が安値から切り返した上昇分を全て吐き出したことが気がかりです。決算の1次反応だけで判断するのはリスクが大きいことを象徴した動きと言えます。また、イオン(8267)や東宝(9602)などは決算自体が悪く容赦ない売り浴びせとなっています。

 こうした市場の決算反応に対する警戒感からか13日の決算発表銘柄であるファーストリテイリング(9983)やセブン&アイ(3382)は売りに押されており、決算を期待して持ち越すリスクは相応に高いと言わざるを得ません。バリュー系でよほどサプライズが期待できそうな銘柄以外は決算発表前、とくに当日や前日よりも前もって保有株を整理しておくように心がけておくのがよいかと思います。

 14日の決算発表予定がある銘柄は146件ですが、いずれもサービス系や情報・通信系のグロース株が中心となりますので、決算前の警戒売りと週末の手仕舞いで地合い難は覚悟しておくべきでしょう。しかし、そんな中にあってもバリュー系のセクターが続伸してくるようであれば目先の相場はバリュー株に追従していくように的を絞りやすくなります。

 決算シーズンが本格化する前の今の局面は手がかり難で基本的に上昇と下落を交互に繰り返す鯨幕相場と言えます。方向感が見えにくく、手がけづらい印象があるかもしれませんが、無理して買わずとも相場を監視して待つことも大事です。監視する際に重要なのは上昇時の上げ幅ではなく、下落時の押しが浅い銘柄かどうかです。こうした銘柄は需給が良好な表れですから、銘柄選びの参考にしていただくとよいでしょう。

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