【1/11日本市場の確認ポイント】
日経平均 28222.48(▲0.90%)[28,089~28,473]
TOPIX 1986.82(▲0.44%)[1,972~1,996]
東証2部 7559.65(▲0.19%)[7,535~7,572]
JASDAQ 3808.76(▲0.40%)[3,801~3,820]
マザーズ 883.21(+0.01%)[864~886]
値上がりセクターTOP5
1.保険(+2.74%)
2.銀行(+2.57%)
3.証券・商品先物(+2.19%)
4.空運(+1.65%)
5.非鉄金属(+1.48%)
値下がりセクターTOP5
1.電気機器(▲2.27%)
2.化学(▲1.73%)
3.金属製品(▲1.32%)
4.精密機器(▲1.26%)
5.海運(▲1.22%)
3連休明けの日経平均は前週末からの断続的な売り圧力にさらされる動きが継続して3日続落。一時は安値28,089円をつける場面もみられましたが、連休中の米国株安に引っ張られて日経CFDがつけた安値27,881円は幻となり、28,000円の節目をなんとか死守した格好です。米FOMC議事録公表後の米長期金利上昇をうけてグロース株は総じて軟調な展開が続いている一方、バリュー株物色の構図は変わっていない模様。
上昇セクターTOP3は金融株で占められたことが示すとおり、米長期金利上昇を手がかりとした物色ではグロース株への売り圧力が際立っています。最たる例が半導体関連の東京エレクトロン(8035)の▲3.34%、レーザーテック(6920)の▲4.62%ですが、それ以上に下げが印象的だったのはキーエンス(6861)の▲7.89%、日本電産(6594)の▲4.41%で、これらは日本を代表する国際優良株であっても高PER銘柄が狙い撃ちされていることを物語っています。
日経平均やTOPIXといった指数の水準も押し下げられていますので分かりづらいですが、バリュー株選好の傾向を示しているのは金融株だけでなく自動車や鉄鋼、商社といったオールドエコノミーで、大型株かつ重厚長大な産業、低PERや高配当といった特色を浮かび上がらせています。
ただし、長期金利上昇が嫌気される前から売り込まれてきた中小型株がここにきて売り一巡の気配を見せ始めています。新興のマザーズが時価総額トップのメルカリ(4385)はじめ上位陣が総じて軟調にもかかわらず逆行高でプラス引けしました。これは10日の米国市場にも共通する動きで、厳しい下げに見舞われていたナスダックが切り返してプラス浮上したことなどから、ある程度は金利上昇によるグロース株売りのフローも一巡してきたと言えるのかもしれません。
【米国株概況】
パウエルFRB議長の議会証言で市場はリスクオンへ急転換、グロース株妙味が再び強まり見直し買い加速
NYダウ 36252.02(+0.51%)[35,769~36,271]
S&P500 4713.07(+0.92%)[4,638~4,714]
NASDAQ 15153.45(+1.41%)[14,837~15,158]
ダウ輸送株 15990.9(▲0.17%)[15,755~16,025]
半導体SOX 3875.4(+1.84%)[3,768~3,870]
日経平均先物(CME) 28,455(+1.08%)[28,060~28,460]
ドル/円 115.13~115.68
米10年債利回り 1.739%
WTI原油 81.26
金先物 1820.20
銅先物 4.4305
恐怖指数(VIX)18.41
Fear&Greed指数 60
High Yield Bond 86.34
11日の米国市場は主要3指数のほか中小型株のラッセル2000も反発、パウエルFRB議長の議会証言で金融政策への過度な警戒感は後退しました。金融政策は今年に正常化させると述べつつ、舵取りの順番としては利上げ実施後のバランスシート縮小に着手する公算であると明かしました。
5日のFOMC議事録公表後は急ピッチでの利上げ観測に米国債市場で金利上昇で反応し、これを嫌気した株式市場は急速に調整しました。一連のFOMC材料を織り込む過程で短期的には売られ過ぎの場面でもあるため、パウエルFRB議長の証言は市場の動揺を抑える上で重要な役割を果たしたと言えます。
金利上昇が嫌気されて売られていたハイテクグロース株には押し目買いが強まったほか、セクターローテーションで資金が向かった景気敏感株にはやや一服感が見られるも、全体としてリスク選好の動きへと転換しています。
原油市場は81ドル台へ急伸、商品市場も総じて強含む動きとなっており、株高・商品高の動きが再開しています。リスク指標のVIX指数は一時21ポイントに達したところから18.41ポイントに低下、Fear&Greed指数も60ポイントですでに強気相場入りしていることを示しています。
【日本株投資戦略】
米FOMC材料を織り込みセクターローテーションも進む、長期金利の上昇一服で注目点は企業決算後の株価反応に移る
11日の東証1部は騰落銘柄数が値上がり960/値下がり1157で日経平均は3日続落となりましたが、騰落レシオ(6日)の72.80と急低下しており大発会のご祝儀相場の過熱感は完全に消え去っています。騰落レシオ(25日)は107.13と中立を示していることからも分かるとおり、1月に入ってからの乱高下は主にグロース株をめぐる強弱感で演出されているものです。
市場では長期金利の動向を見極めるまでグロース株は敬遠されやすいと言えるかもしれませんが、単なる買い手控えと本来のリスク回避における動きとを混同してはいけません。上記11日の市場確認ポイントで示したとおり、バリュー株選好の動きが特徴的であるとともに10日の米国市場においては長期金利が1.8%をつける中で債券売り・株買いの動きにつながっていることも見逃してはなりません。この具体的なロジックはメルマガの【先読みの近未来】にて詳述しましたのでご確認ください。
今週は日米ともに企業決算に焦点が移り始めていくところで、足元における金融当局と長期金利の動向を注視する姿勢にも一旦変化がみられる時期を迎えます。日本では安川電機(6506)がコロナ前の水準どころか過去最高を記録した19.2期の水準に肉薄する好決算を発表したほか、米国においては14日の金融株決算を皮切りとした怒涛の好業績発表が相次ぐであろうスケジュールに差し掛かってきます。まずは発表直後の一次反応が買われやすいのか、売られやすいのか地合いを判断する上で重要になります。
市場全体の地合いを左右するのはやはり米国企業になってくるものと思われますが、ここまでのところでFOMC材料を消化できてきたのであれば素直に強気転換するきっかけとなることでしょう。国際情勢は地政学リスクの懸念を伝えるニュースが多くなってきていますが、目先の下落には目をつむって企業決算重視の強気スタンスで臨むのがよいでしょう。
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