【1/6日本市場の確認ポイント】
日経平均 28487.87(▲2.88%)[28,487~29,158]
TOPIX   1997.01(▲2.07%)[1,997~2,030]
東証2部  7609.90(▲0.94%)[7,595~7,639]
JASDAQ   3832.57(▲1.18%)[3,828~3,848]
マザーズ  881.95(▲4.93%)[879~911]

値上がりセクターTOP5
1.保険(+0.43%)
2.鉄鋼(+0.08%)
3.なし
4.なし
5.なし

値下がりセクターTOP5
1.精密機器(▲4.23%)
2.サービス(▲4.22%)
3.電気機器(▲3.80%)
4.空運(▲2.34%)
5.金属製品(▲2.28%)

 日経平均は▲844円安(▲2.88%)で28,500円割れとなりましたが、寄与度が大きいファーストリテイリング(9983)が▲3.27%、東京エレクトロン(8035)が▲2.22%のほか、テルモ(4543)、ソニー(6758)、エムスリー(2413)がそれぞれ▲7%近くの大幅安で指数を押し下げました。急落した3社はいずれもコロナ下で成長性が評価されてきた面々ですが、グロース株にはすでに昨年後半からファンドの売り圧力が続いています。

 市場全体で見ると日経平均だけでなくTOPIXも▲2%超で、マザーズにいたっては5日、6日の2日間で▲10%の2桁下げと総悲観のように思えますが、逆行高した保険、鉄鋼の2セクターに代表されるバリュー株は相対的に底堅い動きを見せています。昨年11月のFOMC議事録公表時の株安となった際も同様ですが、徐々にグロース株からバリュー株へのシフトが進んでいることを表しています。日経平均で見れば、昨年の12/3安値27,588円から1/5高値29,388円で値幅1,800円に対し、今回の下げでちょうど上昇分の半値落ちした水準となっています。

 他方で、昨年末よりも明らかに状況が悪化しているのが新興市場のマザーズで、11/17高値1,189ポイントから1/6安値879ポイントで値幅310ポイント、▲26%に達しても未だに底が見えない形になっています。新興株にとっても長期金利上昇はネガティブで、バリュエーションが高PER・PBRの銘柄はとくに敬遠されやすいでしょう。また、需給面からも信用買い残の多い銘柄がとくに投げ売りの対象となりやすいですから、取り組みには十分過ぎるほどの注意を要すると言えます。

【米国株概況】
前日の大幅安からFOMC材料を織り込みつつ小動き、金利動向を横目に神経質ムード

NYダウ 36236.47(▲0.47%)[36,201~36,453]
S&P500  4696.05(▲0.10%)[4,672~4,724]
NASDAQ 15080.87(▲0.13%)[14,915~15,197]
ダウ輸送株 16345.3(+0.01%)[16,233~16,433]
半導体SOX 3909.0(+0.75%)[3,839~3,927]
日経平均先物(CME) 28,705(+0.72%)[28,450~29,100]
ドル/円 115.63~116.20
米10年債利回り 1.723%
WTI原油 79.66
金先物 1787.25
銅先物 4.3545
恐怖指数(VIX)19.61
Fear&Greed指数 50
High Yield Bond  86.09

 5日のFOMC議事要旨公表で大幅反落となった米国株は神経質ムードも依然として残る中、小動きのもみ合いとなりました。米10年債利回りはさらに上昇して1.75%に達しましたが、前日に▲3%超の大幅安となったナスダックも小幅反落にとどまり、同じく▲3%超となった半導体SOX指数は前日比プラスで取引を終えています。

 FOMC議事要旨では市場が思っているよりもより早い段階での利上げ開始やバランスシート縮小に積極的な姿勢が確認できたといえ、ネガティブ・サプライズに映ったことが急落の要因となりました。ただし、11月末からの展開で債券市場における金利動向にはやや違和感がありましたので、ここで改めて長期金利が上昇し始めて株価を押し下げたにしても凡そ想定の範囲内と言えるかと思います。

 米国株はこの約1か月の間にNYダウ、S&P500はナスダックと異なり史上最高値を更新して貯金を作ることができた分、FOMC内容は調整を入れるためのガス抜きに使われた程度です。足元のインフレ率を考慮して金利水準が2%以下の現状にとどまるようであれば、ここからの企業決算次第で今一度上値を試しにいく動きがみられることと思います。

 ただし、債券市場では短期金利が長期金利よりも上昇が大きくなっていることから、実質的にFRBの利上げ開始を織り込み始めたことがわかります。今後も長短金利差が縮小して、逆イールドが発生するようだといずれ景気への影響懸念が浮上してきかねないことにも注意が必要でしょう。

【日本株投資戦略】
日経▲800円超の急落で一気に警戒ムード高まるも短期売られ過ぎで押し目買いに期待

 大発会のご祝儀相場で歓喜に沸いた東証は一転、センチメントが悪化するほどの大幅安に見舞われました。やはり5日のFOMC議事録でFRBのタカ派姿勢を確認したことがトリガーになりました。日米ともに長期金利の上昇を嫌気したハイテクグロース株売りが主因で、直近強含んでいた半導体関連に売りが広がったほか、国内のオミクロン株感染者増に対してコロナ規制が強化される懸念も相まって空運株やサービス業にも売り圧力に拍車がかかりました。

 前日の米国株が大きく売られたことをうけて日本株の地合いも著しく悪化しています。足元の先導役だった半導体関連株に広範な売りが波及した中でもとくに特徴的なのはソニー(6758)の動きです。昨年末からの出直り相場では半導体関連として買われ、11月高値14,625円をブレイクした時にはEV新会社設立の材料で上値を試しにいきました。この時、自動車セクターも軒並み上昇しトヨタ(7203)も上場来高値を更新する動きを見せていますが、昨日の市場急落では対照的な動きとなったことが確認できます。つまり、ソニーは半導体関連株としての特色が強く、バリュエーションも高いグロース株としての見方に対し、トヨタはバリュー株の代表銘柄とも言えますので、市場内ではバリュー株の方を選好しやすくなっているとの証左です。

 ではこの先の展開でグロース株の押し目買いを狙うのか、バリュー株のリターンリバーサルを狙うのか、どちらが有効かは悩ましいところですが、一つ共通するのは大型株優位の展開が続いていることです。TOPIXにおけるバリュー/グロース指数の対比ではややバリュー株優位ですが、個別でみると11月末からの高安では東京エレクトロン(8035)が約20%上昇、トヨタが約17%上昇でリスクオン時の上昇率ではやはりグロース株に分があると言えます。また、FOMC材料を消化した後は企業業績に焦点が移っていくこととなります。単純にPER・PBRのバリュエーションだけ見て評価するだけだと指標では割安なのに株価が上がらないバリュー・トラップにハマってしまうことになりますので、ここから切り返す際の値動きの良さと業績面も必ずチェックするようにしましょう。

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