【12/27日本市場の確認ポイント】
日経平均 26447.87(+0.16%)[26,447~26,620]
TOPIX   1910.15(+0.40%)[1,909~1,918]
マザーズ 720.03(+2.16%)[709~724]

値上がりセクターTOP5
1.小売(+2.53%)
2.銀行(+1.90%)
3.空運(+1.80%)
4.サービス(+1.34%)
5.農林・水産(+1.27%)

値下がりセクターTOP5
1.輸送用機器(▲0.52%)
2.電気機器(▲0.40%)
3.機械(▲0.39%)
4.電気・ガス(▲0.34%)
5.繊維(▲0.11%)

 27日の日本市場は欧米がクリスマス休場で手がかり難の中で株価は反発、債券は下落し日本の10年債利回りは12/21以来の0.47%台をつけました。中国のコロナ規制緩和の動きを受けてインバウンド関連株が一斉高、百貨店株や旅行関連株が急伸のほか、ファーストリテイリング(9983)が+2%超の上昇となり日経平均を押し上げています。

 一方、全体としては売買代金2兆円割れと薄商いの中で年末の節税売りが重しとなっており、為替の伸び悩みから自動車、エレクトロニクスなど外需関連が冴えない動きでした。とりあえず直近手がかりの掴めそうなところに資金を振り向けただけと言える相場で、上昇銘柄にしても商いを伴っているわけではないことに注意。

 他方で新興市場のマザーズが下げ一服感から自律反発の動き、上昇率は+2%超で商いもそれなりに膨らみました。年末のIPOラッシュにも一巡感が出始めて既存銘柄にも資金が戻ってくる流れと言えそうです。足元で値を崩した銘柄はともかく、上記インバウンド関連など少し前にテーマで買われていた銘柄は、直近利益確定売りの圧力も緩和してリバーサルの動きが強まりそうな気配です。

【米国株概況】
強烈なハイテク株売りでナスダックの下値警戒続く、今後の米国株投資の注意点

NYダウ 33241.56(+0.11%)[33,069~33,387]
S&P500 3829.25(▲0.40%)[3,813~3,846]
NASDAQ 10353.23(▲1.38%)[10,340~10,472]
ダウ輸送株 13530.3(▲0.25%)[13,464~13,608]
半導体SOX 2490.2(▲1.79%)[2,482~2,518]
日経平均先物(CME) 26,210(▲0.57%)[26,150~26,555]
ドル/円 132.64~133.60(高値151.93:10/21、安値113.48:1/14)
日10年債利回り 0.457%(高値0.470%:12/20、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.849%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 79.69(高値123.68:6/14、安値70.25:12/12)
金先物 1821.90(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.8483(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)21.65(高値37.79:2/24)
SKEW指数 113.44(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 38(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)73.62(安値70.30:10/13)

 27日の米国市場では中国のコロナ規制緩和を歓迎しつつ、米FRBのリセッション回避とインフレに対する利上げ対応を見極める必要からまだまだ神経質な展開。年末で市場の商いが細る中、債券市場では米長期金利が上昇し、株式市場ではグロース株売りが目立ちました。

 米国株で上昇したのは直近の原油価格上昇を反映したエネルギー株のシェブロン、中国のコロナ規制緩和で世界景気悪化懸念が和らいだキャタピラーなど景気敏感株、米国経済の景気後退懸念から公益・生活必需品などのディフェンシブなどが選好された物色傾向。

 一方で、金利上昇が逆風となりやすいグロース株が売り浴びせられ、テスラが▲11.4%、エヌビディアが▲7.1%などは中国工場の生産縮小などが懸念されて突出した下げとなったほか、アップル、アマゾン、アルファベット、ネットフリックスにおいても揃って売られ、ナスダックが▲1.4%と主力株の下げに引っ張られました。

 休場明けで余計に売りが嵩んだ面は否めませんが、注意すべきは米長期金利上昇とハイテクグロース株に下げ止まる兆しがみられないことで、10月の年初来安値を更新する懸念が払拭できません。ナスダックはすでに10,000pt割れも視野に入ってくる中、2020年コロナショック前の水準に全戻しの雰囲気が強まっています。

 米国株投資で気をつけなければならないことは、仮にこの水準で下げ止まった場合であっても日米の金融政策の違いからみて今後は為替レートを加味しなくてはならないという点です。来年前半のところで米FRBによる利上げ政策でピーク金利が定まってきて、米国株がトレンド反転してくる頃には日銀の緩和政策修正によってドル円のトレンドも本格的に円高方向に進んでいくことは明白です。

 つまり、株価上昇のパフォーマンスを為替下落のパフォーマンスで打ち消される可能性が高いとみられ、日本人投資家にとってはかなり不利な状況となります。また、それと並行して世界景気後退は多少延命させることができたとしても数年単位では不可逆的に進むとみられる中で、国際分散投資なども逃げ場をどんどん塞がれていく状況になると考えられます。

 グローバルマネーは今のところはまだ各国の資産クラスに滞留したままですが、投資先の選別と時間軸を誤るとかなり悲惨な結果が待ち受けることになります。もし株価推移だけをみて米国株投資、国際分散投資のチャンスと見える場合には、それなりの覚悟と、少なくとも数年単位の長期スパンで考える必要があるでしょう。

【日本株投資戦略】
金融市場のトレンド転換で浮き上がる日本の内需主導型経済、株価上昇を示唆する政局の動きにも注目

 日本株は足元の調整一巡感から自律反発の動きへと転換、昨日は5日移動平均線を上回り、とくに小型株に強い反発がみられ始めました。市場を動揺させた日銀サプライズもすぐさま金融緩和の出口戦略に向かうものではないとのメッセージが送られ、為替の円高深耕も一服。当局者らが慌てて火消しに回ったため、市場も落ち着きを取り戻したと言えます。

 とはいえ、海外勢の日本国債売りは追撃の手を緩める気配はなく、為替市場でも日本円のショート(空売り)ポジションを減らしたに過ぎません。日本国債売りによる日本金利の上昇、そして為替の円高トレンドへの転換はまだ始まったばかりのところと言えるでしょう。
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 おそらく目先のところでは、円高株安のポジションが逆回転する動きが当然出てくるはずですが、次の日銀金融政策決定会合(来年1/17~1/18)に際しては、円高トレンドを促進させる動きが本格化してくるものと考えます。言わずもがなですが、株式市場内でも各国が自国中心主義に傾斜する流れを受けて外需関連株のウェイトを減らしつつ、内需促進株のウェイトを増やすようなリバランスの動きが強まっていくことになるでしょう。

 このような動きはすでに今年のウクライナ侵攻開始から始まっていたわけなのですが、日銀の強硬的な指値オペ措置などにより、為替が円安に誘導されてきたために覆い隠されてきたというのが本質です。実際、想定為替レートの上振れを理由に業績を上方修正した企業などは、足元ですでに株価上昇が息切れして化けの皮が剥がされた状況となりつつあります。

 それでもなお日本株が上昇へ向かう手がかりを見出すには、政策支援の余地が大きいことが挙げられます。経済活動再開というだけでは材料不足感が否めないかもしれませんが、足元では岸田政権叩きから閣僚辞任が相次ぎ、急速に内閣改造や衆議院解散の議論が高まってきていることが感じられるかと思います。そこで投資家が考えるのは選挙ラリーやその思惑期待などで、株価が上昇する上では観測気球があれば十分です。

 さらに金融市場のしくみから米国株が弱含んでも日本株が上昇する環境が出来上がりつつあるわけですが、本日の【先読みの近未来(スタンダード会員以上の方対象)】ではその根拠を解説しておきましょう。このカラクリを理解しておくと、今後の日本株に対して強気で臨むべき理由が明確になり、スッキリ腹落ちした状態で市場にも臨めるかと思います。
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