【12/15日本市場の確認ポイント】
日経平均 28051.70(▲0.37%)[27,987~28,163]
TOPIX   1973.90(▲0.18%)[1,966~1,978]
マザーズ 786.44(▲0.64%)[783~789]

値上がりセクターTOP5
1.鉱業(+1.91%)
2.海運(+1.11%)
3.倉庫・運輸(+0.96%)
4.石油・石炭(+0.82%)
5.陸運(+0.78%)

値下がりセクターTOP5
1.サービス(▲0.84%)
2.電気機器(▲0.77%)
3.精密機器(▲0.67%)
4.金属製品(▲0.64%)
5.化学(▲0.57%)

 15日の日本株は米FOMC声明後の米国株軟調を受けて反落、序盤こそ押し目買いの動きで日経平均は一時プラス圏に浮上する場面もみられたものの徐々に強い売り圧力に屈しました。節目の28,000は堅持しましたが、グロース株が全般に冴えず上値期待が消失した格好。日替わり物色の動向次第ながら、直近で買われているのは海運株を筆頭にバリュー株が優勢であることから日経平均の上値は重いとみられます。

 セクター別には連日で海運株が上位にランクインし、この日は原油市場の反発からエネルギー関連が上位に並びました。個別株では重工3社の三菱重工(7011)、川崎重工(7012)、IHI(7013)がそろって+3%超の大幅高となり、政府の防衛費増額に向けた議論進展が刺激材料になって新高値を更新。また、商社株も三井物産(8031)や丸紅(8002)などの堅調が目立つ他、直近材料で勢いを増す武田薬品(4502)なども高値を更新しています。

 中小型株では話題性のある住石HD(1514)が大幅高で新値追い、素材系のフジクラ(5803)はじめ東邦チタニウム(5727)や日本冶金工業(5480)なども物色意欲が衰えず、新高値を更新。新興市場では比較的値がさのイントループ(9556)やマクビープラネット(7095)がストップ高まで買われるなど、物色意欲の強いリスクマネーが局所的に集中しやすい形で上値を伸ばしました。資金の性格からすると同じ値がさ株でも大型株のレーザーテック(6920)から少資金でも値動きの軽い中小型株に矛先を変えたような印象も受けます。

【米国株概況】
連日の重要イベントを消化しきれず値崩れ、米金利は逆イールド進展で年末リセッション警戒

NYダウ 33202.22(▲2.25%)[33,016~33,773]
S&P500 3895.75(▲2.49%)[3,879~3,958]
NASDAQ 10810.53(▲3.23%)[10,775~11,029]
ダウ輸送株 13889.8(▲2.72%)[13,827~14,209]
半導体SOX 2661.4(▲4.17%)[2,657~2,731]
日経平均先物(CME) 27,605(▲1.27%)[27,560~28,095]
ドル/円 135.24~138.18(高値151.93:10/21、安値113.48:1/14)
日10年債利回り 0.250%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.450%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 76.38(高値123.68:6/14、安値70.25:12/12)
金先物 1787.10(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.7767(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)22.83(高値37.79:2/24)
SKEW指数 124.23(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 51(NEUTRAL:中立)
High Yield Bond (HYG)75.00(安値70.30:10/13)

 米国市場では直近の米FOMCで0.50%利上げが決定、それ自体は市場の事前予想通りながら、その後のパウエル米FRB議長会見で利上げ長期化とターミナルレート(最終金利目標)が引き上げられたことに失望売りが膨らみました。インフレ緩和や金融引き締め鈍化の期待が打ち砕かれたことに加えて、11月米小売売上高の落ち込みが米景気後退を強く意識させるものとなったことから、米国株は大幅に続落となりました。

 主要株価3指数はそろって大幅下落、とりわけハイテクグロース株の売りが嵩みナスダックは▲3.2%、半導体SOX指数は▲4.2%となり、主要3指数はいずれも11/9以来の安値をマークしてきました。S&P500は景気循環線として知られる200日移動平均線を下放れる動きで、景気後退懸念を示唆しました。

 先行指標に位置付けられるダウ輸送株平均や半導体SOX指数はこれまでの貯金を残して11/10以降の安値を保持していますが、もう一段安してしまいますと弱気相場入りの決定打につながる位置にあります。市場では概ね米FRBの金融政策が引き締め緩和の方向へと転換していくことを期待先行で買い上がってきたと言え、これが現実に引き戻された形です。本当に米景気が後退に陥るかはこれから織り込む必要があり、直近の米経済指標で米CPI、米小売売上高とこなしましたので、残るは米PCEでインフレ動向、米GDPで米景気のリセッション判定を受ける必要があるでしょう。

 それでも各リスク指標はまだ楽観を残している状況で、VIX指数は22pt台、F&G指数もこれでやっと中立といったところです。今後の米経済指標を市場が嫌気した場合にはそれなりの下値余地を残している状況で、年末ラリーが期待できないとなった場合の失望売りには警戒が必要と言えるでしょう。

 チャートの位置的には主要株価3指数の中でもNYダウだけが異色の強さを見せていますが、景気敏感株が売られるようですと米金利低下が意識されて金融株も下げを主導して案外もろいですので、引き続き米金利の逆イールド状況は監視し続けておくべきでしょう。かねてより12月後半の値崩れには警鐘を鳴らしてきたかと思いますが、これは年末から来年初めにかけてのところまで引きずる可能性は十分に考えられますので、安易な押し目買いなどは厳禁と言えるでしょう。

【日本株投資戦略】
12月後半の荒れ相場は例年どおりで押し目買い好機、安易な飛びつき買いは控えて来週の下げ止まりを確認すべき

 日本株は昨晩の米国株の大幅下落をさすがに無視できない状況になると思われますが、米金利が一段の低下を見せる中で為替の動きはドル高円安の方へと動いています。米景気というより世界景気悪化から安全資産としての米ドル買い需要を刺激している可能性が考えられますが、今後はこの為替動向が最大の注目ポイントになってきます。

 前回も指摘しましたように、為替と株価の関係で「円安=株高」「円高=株安」といったこれまでの通説を貫くのか、あるいはどこかの時点でこれが逆転して「円高=株高」というパターンが生じてくるかを見極めることが大事になってきます。従来であれば世界景気後退という材料で日本株はその景気敏感な特性から米国株をアンダーパフォームしやすかったと言えますが、最近では日米の株価動向で下値耐性は日本の方が優位な状況が見て取れます。

 これは日本株が相対的にバリュエーションが低いことで下値余地が限られるというのが買い安心感を誘いやすいという市場の論理でしょう。バリュー株の中には景気敏感株が多いという特徴がありますので、最初は下値を意識する向きが強まりやすいでしょう。よって、世界景気後退をある程度織り込むのを待血ながらギリギリまで引きつける意識を持っておくのが良いでしょう。

 本日は週末ですから手仕舞い売りに押されやすいというのがたいていの市場解説だと思います。そもそも論として、アノマリーとして節税売りが収まるまでは断続的な売り圧力がかかりやすいというのがこの時期の特性として押さえておくべきです。ひとまず来週いっぱいのところまで下値を見定めておいて、下げ止まりを待って押し目買いに動くのが有効な戦略でしょう。

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