【12/13日本市場の確認ポイント】
日経平均 27954.85(+0.40%)[27,907~28,116]
TOPIX 1965.68(+0.43%)[1,964~1,976]
マザーズ 785.47(+0.27%)[783~792]
値上がりセクターTOP5
1.海運(+1.91%)
2.医薬品(+1.49%)
3.倉庫・運輸(+1.32%)
4.保険(+1.31%)
5.空運(+1.05%)
値下がりセクターTOP5
1.ゴム(▲0.55%)
2.電気・ガス(▲0.24%)
3.小売(▲0.12%)
4.不動産(▲0.24%)
5.精密機器(▲0.03%)
13日の日本株は前日の米国株高を受けて寄付直後から日経平均28,000円を上回って推移しましたが、朝の買い一巡後には次第に戻り売りに押されて値を消す展開に、10:30前後で売りも一巡した後は米経済指標の結果待ちで揉み合いとなりました。そもそも前日の米CPI(消費者物価指数)の下振れ観測報道から米株高にも反応は限定的で、良くも悪くも米国株と日本株とではデカップリングの動きが鮮明になっているといえ、イベント週ということもあってか積極的な売買は限られている印象です。
この日は東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1075/値下がり658と値上がり優勢の中、強い上昇が目立ったのは海運株で、日本郵船(9101)などは市場全体が様子見の間隙を縫って足元2連騰し戻り高値を更新、セクター2位に入った医薬品の中では武田薬品(4502)がレーティング引き上げや直近材料を手がかりに商いを伴っての上昇、こちらも戻り高値を更新。それぞれ業界トップ企業に先導する動きが見られており、物色面としては他セクターでも同様の動きが広がるか注目されます。
市場全体は指数の荒い値動きの割に商いが低調で、典型的な閑散相場になっています。その中で値上がりランキングには普段パッとしないような低位株やボロ株などが名を連ねるなど、これも年末相場特有で中身のまるで無い物色も散見されます。この時期の特徴として個人投資家は値動きだけを頼りに無理な売買をしがちで、思わぬ損失を膨らませてしまいやすいということが挙げられます。
【米国株概況】
重要イベント週でまずは米CPI公表に相場は乱高下、ジェットコースター相場にご用心
NYダウ 34108.64(+0.30%)[33,890~34,712]
S&P500 4019.65(+0.73%)[3,993~4,100]
NASDAQ 11256.81(+1.01%)[11,160~11,571]
ダウ輸送株 14191.9(+0.08%)[14,096~14,635]
半導体SOX 2821.5(+1.52%)[2,788~2,913]
日経平均先物(CME) 27,970(+0.29%)[27,830~28,245]
ドル/円 134.68~137.97(高値151.93:10/21、安値113.48:1/14)
日10年債利回り 0.247%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.501%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 75.22(高値123.68:6/14、安値70.25:12/12)
金先物 1822.10(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.8383(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)22.55(高値37.79:2/24)
SKEW指数 122.73(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 61(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)76.11(安値70.30:10/13)
13日の米国市場は11月米CPI(消費者物価指数)発表を手がかりに、寄付直後のNYダウが700ドル高(時間外を含めると900ドル高)を演じたのも束の間、急転直下の下落で一時はマイナスに転じる場面を見せるなど株式市場は大荒れとなりました。債券市場でも米金利が軒並み急低下、米10年債利回りは再び3.4%台をつけたほか、米2年債利回りも4.2%を一時割り込む場面が見られました。米金利低下を受けた為替ドル円でも急激にドル安円高が進むなど、各市場で激しい値動きとなっています。
11月米CPIは前年比+7.1%、前月比+0.1%とともに市場予想を下回り、変動の大きいエネルギー、食品を除いたコアCPIも前年比+6.0%で前月比、市場予想をともに下回る結果でした。カテゴリ別にはガソリンや航空運賃、中古車などが大きく下落したことが寄与しており、エネルギー価格下落を反映しています。
これが市場のインフレ緩和期待を後押しして、米金融政策も利上げ停止や利下げ観測などまで囁かれ、上記にみられる各資本市場の動きにつながったわけですが、重要なのは今回の11月米CPIの伸び鈍化に関して前年比という数字のマジックに配慮することが大事で、そもそも前年の発射台が高かったために伸び率は鈍化しやすいのが一点。
また、結果的に米ドル安や米FRB利上げ見通しの鈍化などから商品市況高につながり、市場が期待しているインフレ緩和とは裏腹にかえって将来のインフレ懸念を再燃させるような動きが発現してきているというのが一点です。
米金融政策見通しに関しては今晩の米FOMC後のパウエル米FRB議長発言に注目が集まると思われますが、市場がインフレ緩和と米金融政策の軟化に対してあからさまに先走る動きを見せてしまっていますので、これを戒める牽制発言がなされるかが注目点です。米FRBからしてみればこの年末相場を崩せない政治的事情に配慮しなければなりませんので、滅多なことは言えないと思われます。
しかし、市場動向に焦点を当てる場合、調整トリガーになりそうな材料はそれ以外にも米小売売上高や米PCEなどの物価や消費にまつわる経済指標、そして欧州ECB理事会や英BOE、日銀といった金融政策会合が立て続けに控えています。13日の株式市場では日米双方で寄付天井と特徴的な動きになっていますので、今後の動向には細心の注意を払っておく必要があるでしょう。
また、前回解説しましたタックスロス・セリング(節税売り)とみられる売り物は現物株の売却が主で、仕掛け売りのように将来の買い戻し圧力を含むものではないことにも留意しておかなければなりません。もし昨晩の上げ幅を急速に縮小させる動きが仕掛け売りの類であったならばVIX指数などはもっと上昇したはずで、これがおとなしいということは逆に現物株を処分してヘッジ需要が低下しているという穿った見方もできるものです。つまり、何かの拍子に急落するような場合にはヘッジの手当てが遅れて下落幅が拡大しやすい状況であることも念頭に置きながら見ておくべきでしょう。
【日本株投資戦略】
1日1日と迫る日本市場の大転換に向けたカウントダウン、注目すべきは日経平均の節目と為替をめぐる重要ポイントが判断材料に
日本株は外部環境にらみで一進一退が続くと考えていますが、前回解説したように突発的に重要な節目を割り込んできた時は要注意です。念のため繰り返しておきますが、25日移動平均線を上回って強気サインと意識されたのであれば、まずこれを否定する動きが出た時が1つ目のポイント。さらに、12月9日のメジャーSQ値が日経平均27576.37円で清算されていますので、これを実体(終値ベース)で下回ってきた時が下落加速につながりかねない目安として2つ目のポイントになります。
そして最後に、米国株が下落する局面では明らかに米金利低下、それに伴う米ドル安という構図は米景気後退、日本の円高を意識させるものになります。実際の経済指標や実体経済の本当のところはさておき、金融市場の解釈としてこの米景気後退の目先のソフトランディングか、将来のハードランディングかという時間軸によっても異なる解釈の仕方、あるいはどちらを重視するかによって株価動向は大きく分かれてきます。また、それと合わせて為替動向、そして株価の為替感応度というものが非常に重要になってきます。
このあたりは非常にややこしい話になりますので省きますが、3つ目のポイントとしてもし米国あるいは世界全体でも景気後退を意識せざるを得ない状況なのであれば、日経平均は200日移動平均線を下回ってくる可能性が高くなります。当塾の見方としては来年の世界景気見通しを発表しているIMF(国際通貨基金)の公表データでも日本においては景気下振れを警戒する必要は無いと言いますか、仮に影響があっても限定的なものになると考えています。その場合、株価として一時的に景気循環線と呼ばれる200日移動平均線を下回り、世界景気の悪化を織り込む動きがみられた場合でも、織り込み済みとなった後の立ち上がりスピードは早いはずとの見方をしています。
つまり、今週から来週の市場イベントが集中する重要スケジュールを無難に通過するのか、波乱含みで通過するのかの違いはあれども、年末の大納会すなわち12月最終週までには節税売りなども一巡して、日本市場のアク抜けが期待できるとみています。ニュースではかなり大きな動きがどんどん出てきていますが、シンプルに考えるのであればノイズと捉えて待っておくのも手かと思います。しかし、真相を深く理解しておきたいという方には【先読みの近未来(スタンダード会員以上の方が対象)】では世界の動きを詳しく解説していますので、ぜひそちらも合わせてお読みください。
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