【12/9日本市場の確認ポイント】
日経平均 27901.01(+1.18%)[27,633~27,952]
TOPIX 1961.56(+1.03%)[1,948~1,965]
マザーズ 787.03(+1.59%)[778~788]
値上がりセクターTOP5
1.電気・ガス(+2.24%)
2.精密機器(+2.21%)
3.電気機器(+2.05%)
4.非鉄金属(+1.74%)
5.機械(+1.32%)
値下がりセクターTOP5
1.鉱業(▲1.48%)
2.空運(▲0.58%)
3.石油・石炭(▲0.51%)
4.建設(▲0.10%)
5.なし
9日の日本株は半導体株の大幅高を中心にグロース株が隆盛し、アドバンテスト(6857)が+5.8%高で戻り高値更新のほか、東京エレクトロン(8035)も+2.9%高して日経平均を押し上げました。全体でも東証プライムの騰落銘柄数が値上がり数1387/値下がり数372と値上がり優勢で、週前半の落ち込み分を取り返して余りある上昇を見せました。
朝方に算出の12月メジャーSQは27576.37円で清算された後は終始強含みで推移し、日経平均28,000円を窺う動きを見せました。原油関連株が調整色を強めて足を引っ張った一方、反発を強めたのが電力株で輸入燃料コストの軽減や政府の原発政策見直しなどが期待感を高める刺激材料になりました。
日経平均・TOPIXともに13週・26週の移動平均線が下値をサポートしたことで、テクニカルリバウンドが意識されて売り方の買い戻しを誘った動きと言えます。今週から始まるIPOラッシュ本格化を前に換金売りが目立っていた新興市場も持ち直しており、IPO案件だけでなく旧来の新興株にも物色の余地を残した好地合いの形を整えたと言えるかと思います。
【米国株概況】
直近の米金利、原油の不気味な価格動向に要注意、米国株はいずれにしてもリスクイベント通過まで手出し無用
NYダウ 33476.46(▲0.90%)[33,462~33,844]
S&P500 3934.38(▲0.73%)[3,933~3,977]
NASDAQ 11004.62(▲0.70%)[10,999~11,138]
ダウ輸送株 13762.8(▲0.34%)[13,718~13,850]
半導体SOX 2721.0(▲0.86%)[2,715~2,771]
日経平均先物(CME) 27,745(▲0.38%)[27,580~27,935]
ドル/円 135.61~136.87(高値151.93:10/21、安値113.48:1/14)
日10年債利回り 0.248%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.586%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 71.59(高値123.68:6/14、安値70.08:12/9)【安値更新】
金先物 1809.40(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.8855(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)22.83(高値37.79:2/24)
SKEW指数 119.24(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 54(NEUTRAL:中立)
High Yield Bond (HYG)75.04(安値70.30:10/13)
9日の米国市場は米経済指標の改善を受けた米FRBの金融引き締め長期化懸念から主要株式3指数が揃って反落、今週の11月米CPI(消費者物価指数)や米FOMCなど重要なリスクイベントを前に取引終盤にかけて一段安の展開となりました。WTI原油先物価格が一時70.0ドル台に突っ込む場面があり、エネルギー株のシェブロンなどが大きく売られました。
今週は12日の米10年国債入札にはじまり、13日は米CPI、14日に米FOMC、15日に欧州ECBと英BOEの金融政策決定のほか米小売売上高が予定されており、否が応でも警戒ムードが高まりやすい重要なスケジュールを迎えることとなります。
ある意味、9日に事前警戒で調整しておいたことは市場の慎重な姿勢が窺えるものとしてポジティブ。上記以外にも米景気動向についての手がかりとなる米経済指標の発表は国際会議などが相次ぐことから、何の警戒もなしの状態でリスク炸裂となった場合には、想定以上の値幅を伴った急落を演じやすいと言えるからです。
ただ、足元でやはり気になるのは不気味な程に米金利が低下したことと原油価格の下振れです。どちらも米景気後退懸念してを意識との市場解釈がなされるのは理解できるにせよ、本当にそうであれば現在の株価水準は異様に高止まりしている状況と言えます。そうなってくると、株価が大きく水準訂正を強いられて急落してくるか、あるいは需給絡みの特殊要因でむしろ将来のインフレ懸念が再燃して急反発してくる前の一時的かつダマシ的な沈み込みである可能性も考えられます。
◆見えてきた原油相場の新秩序 市場原理働きにくく(2022/12/12)
現在の市場環境は過剰流動性によってかなり投機色が強まっていますので、金利市場にしても原油市場にしても教科書通りに解釈しているだけだと梯子を外されるシーンが多くみられます。このように価格動向が不自然に下落するような場合、今後上昇に転じた時の反発が大きくなる前兆であったり、逆に価格が吊り上がっていく状態では急反落してくる可能性が高まります。一種の経済物理学としての現象と言えますが、それを増幅させているのがアルゴリズム取引などと呼ばれているプログラム売買です。
よって、前々から指摘してきましたように今週後半からはいよいよ12月後半にさしかかってきます。市場スケジュールなどを意識しながら、より警戒モードを高めていかなくてはならない時期です。少なくともタックスロス・セリング(節税売り)は12月下旬まで断続的に売り圧力となってきますので、押し目が来たからといって安易に飛びついてしまうと、意外なほどに下値を掘り下げることになりかねませんので注意しましょう。
【日本株投資戦略】
今週以降はとにかく戻り売りで厳戒態勢、節税売りが収まる最終週まで押し目買いもガマン
日本株は前週の下値テストから週末の大幅反発までレンジの上限・下限の両方に目印を置いたような形で、今週はこのどちらをブレイクしてくるか見定めていく一週間となりそうです。外部環境にらみですが、本当にもし米景気後退が意識されるようであれば前週につけた安値を更新してくることは避けられないでしょう。
テクニカルでは景気循環線とも呼ばれる200日移動平均線が日経平均27,200円付近に控えており、9月同様のパターンで下値ブレイクしてくると思いの外、下げがきつくなる可能性があります。目先は12月SQ清算値の27576.37円を切れてきた時点で警戒モード全開でリスク回避姿勢を強めておくべきでしょう。
一方で上値は、前週末にトライした28,000円手前のところに人気線とも呼ばれる25日移動平均線があり、これを上回ってくると物色意欲が再燃してきやすいと言えます。
「米国株概況」のところでも述べましたように、通常なら市場イベントへの警戒、そして年末相場特有の節税売り圧力といった需給要因があって下押ししやすいのがこの時期です。また、年末年始の長期休暇に向けたリスク回避から市場の商いが細りがちなところに売りが嵩んでしまうと、意外なほどに値幅を伴った急落となりやすいことも特徴としておさえておく必要があります。
一方で、市場が閑散となる時期に何らかのサプライズ材料が意識されて上昇相場となった場合、これもまた値幅を伴った急騰を演じやすいと言えます。特に年末ギリギリの最終週などにそうした特殊要因が発生しやすく、市場では「掉尾(とうび)の一振(いっしん)」と呼ばれる相場格言があります。仮に想定以上に市場が下振れる動きを見せた場合でも、今回の年末年始は休日が少なく休み明けのリスクは限定的と言えます。よって、12月最終週あたりには強気に転じていけばいいくらいの気持ちに余裕があると良いでしょう。
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