【12/8日本市場の確認ポイント】
日経平均 27574.43(▲0.40%)[27,415~27,643]
TOPIX 1941.50(▲0.35%)[1,929~1,944]
マザーズ 774.71(▲0.56%)[766~778]
値上がりセクターTOP5
1.海運(+0.84%)
2.医薬品(+0.48%)
3.卸売(+0.22%)
4.金属製品(+0.21%)
5.食料品(+0.20%)
値下がりセクターTOP5
1.電気機器(▲1.08%)
2.鉱業(▲0.88%)
3.電気・ガス(▲0.86%)
4.その他製品(▲0.82%)
5.その他金融(▲0.81%)
8日の日本株は続落となり、日経平均は一時27,500円を割り込みました。東証プライムの騰落銘柄数は値上がり630/値下がり1096で再び値下がり銘柄が1000超となったほか、レーザーテック(6920)や日本電産(6594)、ソニー(6758)などハイテクグロース株が全般的に軟調な展開。
米景気後退懸念から米金利低下する環境でグロース株を敬遠しつつ、バリュー株でも金融株が売られてTOPIXの重しになる状況。極端なリスクオフという動きは見られていませんが、原油安を受けてエネルギー関連株も警戒売り。しかし、商社株や海運株などが買い直されるなど粘り腰も見せています。大きな流れとしては日米株ともに景気後退を意識したリセッショントレードで、景気敏感売りのディフェンシブ買いの構図。
市場の下押し圧力がかかりやすいのは来週が本番で、これを警戒しての持ち高調整や年末の節税売りなども意識されやすい状況と言えます。ここから米経済指標や米欧の金融政策、重要な国際会議日程と立て続けになるイベントを通過するまでは買い手控えとなりやすい中で、機械的な需給面での売り圧力はかかり続けるため、リスクオフというよりもそれを警戒しての売りにつながりやすかったと言えるでしょう。
【米国株概況】
米景気後退を意識させるリセッショントレードの中でハイテク株が自律反発、ベア(弱気)トレンドマーケットが終わったかどうかを巡る最後の闘いが幕開け
NYダウ 33781.48(+0.55%)[33,642~33,899]
S&P500 39363.51(+0.75%)[3,935~3,974]
NASDAQ 11082.00(+1.13%)[10,939~11,119]
ダウ輸送株 13809.7(+0.30%)[13,731~13,960]
半導体SOX 2744.7(+2.67%)[2,668~2,749]
日経平均先物(CME) 27,685(+0.71%)[27,340~27,700]
ドル/円 136.26~137.23(高値151.93:10/21、安値113.48:1/14)
日10年債利回り 0.247%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.489%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 72.08(高値123.68:6/14、安値76.25:9/26)
金先物 1802.35(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.8855(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)22.29(高値37.79:2/24)
SKEW指数 117.54(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 57(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)75.04(安値70.30:10/13)
米国市場では米金利低下が一服したほかハイテクグロース株が買い戻され、S&P500は6日ぶりの反発を見せました。足元で大きく下落してきた半導体エヌビディアやアマゾンなどが上昇し、ナスダックも5日ぶりの反発。ひとまずは一旦下げ止まったという方が正しいかもしれませんが、このまま一方通行で売られながら来週のイベント週を迎えるよりも一息ついたという印象。
ただし、依然として物色内容は景気後退を意識したリセッショントレードが主軸で、一般消費財やヘルスケアといったディフェンシブ寄りが鮮明、NYダウ寄与度上位にはユナイテッドヘルス、ホームデポ、マクドナルドなどが名を連ねています。ただ、足元の動きからしますとハイテク株の大手ITが買い戻された意味合いは大きく、同じく米景気を占う上で先行指標としてされるダウ輸送株も下げ止まりです。
年末から来年初頭にかけて米景気後退をさらに意識するのか?米国ではあちこちで懸念が持ち上がっている年末ストライキの行方や大手ITをはじめとするレイオフ(解雇)など労働市場の環境が大きな注目を集めてくることになるでしょう。それと合わせて、その時に企業の業績下方修正などの話もセットで出てくるのかが、株式市場へ直接的な影響として注目すべきポイントになります。
◆イエレン財務長官、米経済は景気後退回避となお予想-訪中に含みも(2022/12/9)
米政権高官や米金融当局は米景気後退は回避できるとの情報発信を強めていますが、これが単に政治的な都合があっての演出なのか、市場が懸念するように実体経済は深刻な状況に見舞われるのかを見極めていく必要があります。ただ、真偽はどうあれ市場関係者の見解としては一旦投資家にリスク回避をさせたい(売らせたい)のが本音のようで、一定の下落リスクが生じることは覚悟しておかなければならないでしょう。
◆モルガンSのウィルソン氏、割安株に下振れリスク-景気鈍化に脆弱(2022/12/9)
ただし、これらの記事を額面通りに受け取らないことが大事で、下落リスクには一定の備えを行なっておきつつ、彼らが売らせたいという真意は、それに合わせて自分たちは下値を買いたいという意図が隠されていると考えるのが妥当です。今起きていることと、これから起こることはきちんと分けて考える、ニュースで言っていることはいつの時間軸に焦点を合わせたものなのかをきちんと読み取ることが大事です。もはや金融の知識/経験・スキルというよりも情報リテラシーが求められるところでしょう。
【日本株投資戦略】
日本の在り方を一変させる国家戦略が今動き出す、来週以降の相場を下振れ警戒すべき理由と投資好機の演出に関して
目先の日本株に関しては確認ポイントでも述べたように市場の下押し圧力がかかりやすいのは来週からが本番になってきます。本日は朝方に12月メジャーSQ算出があり、日経では27576.37円の推計値とされています。昨晩の米国取引時間における日経平均先物の値と比べて安く清算された印象がありますが、目先はこれをベースに高いか安いかで相場の方向感を占っていくことになります。
SQ値があまりに高い清算値となった場合、「幻のSQ」などと揶揄され相場上昇へのハードルがかえって高くなってしまいますが、年末相場への警戒感が高まっているところで安めに決着してきたことはむしろ先の相場にとってはポジティブ要因ではないかと思います。目先はどうしても節税売りが嵩みやすい上に、重要な市場イベントが相次ぐため、事前に下振れ警戒で空売りなどが入っておいた方が現実に市場が崩落した際の買い戻し圧力で相場が下支えされやすくなるからです。
また、日本株の足元における軟化はともかくとして、節税売りなども一巡して需給面での売り圧力が緩和してくる年末の相場においては日本独自要因としての政策期待が相場を押し上げてくる糸口になります。岸田政権の政策は「新しい資本主義へ」と大きな風呂敷を広げたまま、政権発足から一年以上経っても肝心の具体的な部分が不透明なままここまできてしまった印象ですが、少しずつですがようやく形になり始めようとしています。
◆新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画(2022/6/7)
将来ビジョンとしては実に立派な国家戦略が打ち立てられてはいても、それを実現するための技術基盤や実際問題としての資金支援が伴わなければ絵に描いた餅のまま終わってしまいます。しかし、それがようやく官民連携、つまり国家総動員で動き出す準備が整ってきたと言える大事な場面を迎えています。
◆国内投資拡大へ官民が会合、財政支援7兆円呼び水に(2022/12/8)
金融主導での産業構造の在り方や成長至上主義から脱却して持続可能な経済社会の実現、世界共通の社会課題解決を図りながら経済構造を変革する取り組みが本格化してくるのはこれからです。この年末相場や年明けの市場下振れは、いわば投資の種蒔きをするにあたり絶好の機会を演出するとみられ、それは既存の市場参加者だけでなくこうした政府・民間企業・年金やファンド、金融機関、グローバルな金融資本までもが投資を積極化させるチャンスを窺っているところです。
すでに投資している投資家が意識すべきポイントはその勝負所の見極めです。要は「上げに浮かれず、下げに怯えず」の心構えをもって、メリハリが大事ということです。来春にはまだ投資に二の足を踏んでいる潜在的な個人投資家層なども続々と参加し、市場の厚みも増してくると考えられます。せっかく投資家として先輩の立場にあるわけですから、チャンスを活かせなければ立つ瀬がありません。日本政府にしても「新しい資本主義」を掲げながら『成長』と『分配』を実現させるためにはまずその原資が必要になるわけです。それを稼ぎ出すための仕掛けが国家戦略であり、それが強烈な相場の上昇を促す原動力にもなってくるのです。
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