【12/6日本市場の確認ポイント】
日経平均 27885.87(+0.24%)[27,698~27,934]
TOPIX 1950.22(+0.12%)[1,942~1,953]
マザーズ 774.15(▲1.63%)[773~779]
値上がりセクターTOP5
1.保険(+1.59%)
2.鉄鋼(+0.45%)
3.その他製品(+0.92%)
4.銀行(+0.91%)
5.卸売(+0.88%)
値下がりセクターTOP5
1.鉱業(▲1.42%)
2.精密機器(▲1.07%)
3.サービス(▲1.06%)
4.石油・石炭(▲0.48%)
5.陸運(▲0.42%)
6日の日本株は前日の米国株安の影響は限定的で、むしろ足元の円高進行が一服したことが支えとなって外需株に買戻しの動き、また米金利上昇をうけて金融株も買い直される動きになりました。ただし、この日も東証プライムの騰落銘柄数は値上がり723/値下がり1044となり、値下がり銘柄数が1,000を超えたのは7営業日連続。また、前回の注目としてい新興株が崩れ始めてきており、為替よりもリスクマネーの退避を意識せざるを得なくなってきました。
米長期金利が上昇してナスダックやグロース株が売られやすい状況でしたが、主力株はファーストリテイリング(9983)やファナック(6954)、東京エレクトロン(8035)などが買われて日経平均・TOPIXは早々にプラス転換。一方、その他のグロース株は軟調でソフトバンクG(9984)のほか、エムスリー(2413)、サイバーエージェント(4751)などIT・サービス業種に売りが目立ちました。
主力株の動向と同じく、新興市場はITやサービスに分類されるグロース株が大半を占めており、これらから資金が流出し始めたことは市場の警告とも受け取れます。前回解説したようにマザーズはリスクマネーの動向を示しており、危機が近づくといち早く資金が逃げ出します。また、昨日のザラ場中は日経VIXは18ptを下回っていたのが、引け後に急騰しており機関投資家がプットオプションを大量に仕入れた痕跡があります。ここからしばらくは下値警戒が強まりやすいということでしょう。
【米国株概況】
株、債券、為替いずれも神経質な動き、VIX指数が急上昇で下値拡大への警戒を示唆
NYダウ 33596.34(▲1.03%)[33,418~34,006]
S&P500 3941.26(▲1.44%)[3,918~4,001]
NASDAQ 11014.89(▲2.00%)[10,956~11,241]
ダウ輸送株 13898.1(▲1.07%)[13,748~14,067]
半導体SOX 2673.5(▲2.36%)[2,650~2,736]
日経平均先物(CME) 27,685(▲0.56%)[27,620~287,870]
ドル/円 134.14~136.85(高値151.93:10/21、安値113.48:1/14)
日10年債利回り 0.249%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.533%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 74.48(高値123.68:6/14、安値76.25:9/26)
金先物 1783.35(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.8220(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)22.17(高値37.79:2/24)
SKEW指数 117.75(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 60(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.57(安値70.30:10/13)
6日の米国市場では再び米金利が低下すると同時に長短金利の逆イールドが拡大、ただし為替はユーロが売られたことで米ドル高に振れており、米国株は主要3指数が全て下落。ナスダックは前日に続いて▲2%の下落となったほか、懸念されるのはダウ輸送株で、こちらも5日に▲3.26%、6日に▲1.07%で、2日間に▲4%超を下げていることは、先導株の役割からみても警戒されるところです。
NYダウは11月末のパウエル講演後の急騰で作った貯金を全て吐き出したほか、昨日はその前の水準よりも下値を掘り下げてきました。米金利市場における逆イールド拡大と合わせて考えれば、年末ラリー期待が早くも剥落してきたとみるべきでしょう。
年末ラリーが期待できない可能性に関しては、すでに11月後半の雰囲気から予想できていたことではありますが、問題は単に年末の景気悪化懸念で済むかどうかという点です。何やらきな臭い話が出てき始めており、米ドルの流動性危機に類する話になってきますと、どこかの新興国債務に火がついて金融危機に発展してくる恐れがあるからです。
◆「見えない」65兆ドル、デリバティブ債務が危機対応を困難に-BIS(2022/12/6)
思い起こされるのは2018年の年末を襲ったブラッククリスマスで、当時も米FRBが金融緩和から引き締め方針に転換して、同時にトランプ前政権下で米中貿易戦争がサプライチェーンを脅かして景気後退懸念が市場の重しになっている状況でした。当時は10月から徐々に雲行きが怪しくなり始めて、12月のちょうど今頃あたりから急速に地合いが悪化し、年末ラリーと浮かれていた投資家が次々と撃沈し、退場者が続出した記憶があります。
今回はその時の教訓を生かしてといいますか、緊急時のドル資金供給の枠組みなどが創設されており、深刻な流動性危機などにはつながらないように、市場のレジリエンスを高くめていると考えられますが、国や中央銀行はその時の都合によって梯子を外してくることがあります。まだあくまでも前兆という段階ですが、直近まで違和感を覚えるくらいまで低下していたVIX指数なども急上昇してそれらしくなってきましたので、投資家はシートベルトを締めて警戒態勢に入っておくべきでしょう。
【日本株投資戦略】
市場の商いが細って乱高下しやすい相場に、個別株で勝負がニガテな場合は嵐が過ぎるのを待つのも手
日本株は米国株と為替の動向に翻弄されて強弱感を掴みづらい中、新興市場が崩れ始めたことでリスクマネー退避の動きとみるべきかと思います。本日も含めてあと数日は為替要因の下支えなどから逃げ場が用意されているかもしれませんが、少なくとも来週の米FOMCおよび重要イベントが集中する日程を通過するまではリスク回避の姿勢を固めておいた方がよいと言えるでしょう。
この年末相場は流動性が枯渇しやすい時期であり、価格が一方方向に振れやすくなるといった特徴があります。それが上方向であれば問題ないというか大歓迎かと思いますが、反対に下方向にいった場合には下落に歯止めがかかりづらいということを肝に銘じておく必要があります。
個別株で勝負する際には、全体安の中でも逆行高をみせるものがあって、他が弱い分よけいに上昇銘柄にリスクマネーが集中しやすいということが言えるかもしれません。ただし、中には低位株や業績の中身が伴わないボロ株のようなものまで不可解な上昇を見せる場合がありますので、安易に飛びつかないようにすることも大事です。前々から狙っていた銘柄が急動意してきたというのであればともかく、企業の中身が分からなかったり、財務状態が良くない企業などは株価がいくら上昇しても触らない方が無難でしょう。
◆ストックピッカーの逆襲 個別株が動かす相場到来か(2022/12/5)
米国株と同様に12月中旬は警戒感が強まるところではありますが、むしろ日本株においてはむしろそのクリスマス前後が買い場として狙い目になってくるところかと思われます。その時に手元資金が無いという状態では勿体ないですから、今現在株式を保有していて買値とほぼ変わらないようなものや直近で急騰を見せた後に小康状態になっている中小型株などは現金化しておいて、次に備えておくというのも一考だと思います。
前回もお伝えしたとおり、今週末はメジャーSQが控えていて乱高下が予想されますし、来週は外部環境としてやや警戒感が強まるところになってきます。できるだけリスクを抑えながら、嵐が過ぎ去るのを待つスタンスで臨むのがよいでしょう。
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