【12/2日本市場の確認ポイント】
日経平均 27777.90(▲1.59%)[27,662~27,983]
TOPIX   1953.98(▲1.64%)[1,945~1,969]
マザーズ 798.98(▲0.93%)[798~806]

値上がりセクターTOP5
1.なし
2.なし
3.なし
4.なし
5.なし

値下がりセクターTOP5
1.医薬品(▲2.62%)
2.不動産(▲2.45%)
3.卸売(▲2.23%)
4.精密機器(▲2.15%)
5.繊維(▲2.14%)

 2日の日本株は全セクター値下がりのほぼ全面安商状、為替の円高深耕とともに下値を拡大し、東証プライムの騰落銘柄数は値上がり167/値下がり1637でした。米雇用統計を目前に手控えムードの中で先物主導での売り圧力が強まる展開。前引け時点でのTOPIX下落幅が▲2%超となり日銀が6月以来となるETF買い入れを発動、後場に入ってからは徐々に下げ渋りました。

 下落を主導したのは医薬品株、不動産株などのほか、為替円高を嫌気した自動車株、精密機器なども強く売られ、直近の堅調さが目立っていた百貨店株などにも利益確定売りを急ぐ動きがみられました。為替の円高環境でも上昇してきた11月相場とは対照的で、円高=株安という従来の日本株売りの方程式になぞらえてリスクオフを懸念する向きが売り急いだ可能性もありますが、どちらかというと循環物色の最後に買われる銀行、不動産などが下げて、ローテーションが一巡した形と言えるでしょう。

 新興市場のマザーズは比較的下げ渋っていたようにみられましたが、主力株の戻りの鈍さを警戒してか後場もズルズルと下げる展開。TOPIXが日銀のETF買い観測で持ち直す動きをみせたのとは対照的となりました。新興グロース株は内需株としての特性が強い分、為替の円高に対して感応度は低いとみられますが、リスク感応度は高くなります。単に為替要因で日本株売りということであれば高値圏を維持する一方、市場がリスクオフに傾くようであれば値崩れにつながりやすい特徴があります。新興株の動向は今後の地合いの強弱を計る上でも注視しておきたいポイントになるでしょう。

【米国株概況】
米雇用統計発表後の米金利急騰で株安も売り一巡後は買戻し、米ドル安で商品市況には上昇圧力が継続

NYダウ 34429.88(+0.10%)[34,039~34,483]
S&P500 4071.70(▲0.12%)[4,026~4,080]
NASDAQ 11461.50(▲0.18%)[11,296~11,492]
ダウ輸送株 14521.0(▲0.14%)[14,320~14,604]
半導体SOX 2771.2(▲1.19%)[2,723~2,777]
日経平均先物(CME) 27,710(▲0.18%)[27,500~28,050]
ドル/円 133.64~135.97(高値151.93:10/21、安値113.48:1/14)
日10年債利回り 0.248%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.492%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 80.34(高値123.68:6/14、安値76.25:9/26)
金先物 1811.40(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.8550(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)19.06(高値37.79:2/24)
SKEW指数 118.11(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 63(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)75.56(安値70.30:10/13)

 2日の米国市場は11月米雇用統計発表をうけて米金利が軒並み急騰、米国株売りの反応となりましたが、売り一巡後は徐々に株価が持ち直してくると同時に米金利も急低下、乱高下激しい相場となりました。NYダウは34,000ドル付近まで売られた後に400ドル近く値を戻してプラス圏へと浮上、ナスダック、S&Pもそれぞれ小幅安の水準まで戻して引けました。

 直近の米経済指標は景気関連が弱い兆候を示す一方、雇用関連は依然として強く、その代わり物価関連が低下してきているため米金融政策の利上げ減速期待が相場を下支えするという見方がなされています。ただ、それにしては米金利低下はあまりに急速に進み、直近で米10年債利回りは一時3.3%台をつけましたので、やはり行き過ぎという感が否めません。

 ただ、足元でインフレ基調が一部緩和している状況をふまえれば、米金利低下で米ドル安となることでダメージを受けている米製造業が持ち直しやすくなるため、米経済にとってはプラスに作用することとなります。ただし、その一方で米ドル安によって米ドル建ての商品価格には上昇圧力がかかるため、原油や貴金属類などの資源価格が再び上昇してくるとまたインフレ懸念というのが持ち上がってきます。よって、非常に微妙なバランスの上で成り立っているのが米国株の現状と言えます。

 米国株にとってはこの絶妙なバランスに一部でも綻びが生じてしまうと、急速に値幅調整を伴った下げを演じる可能性がある状況ですので、この12月相場に関しては神経質な動きを警戒しておく必要があります。その一方、リスク指標はVIX20pt割れで、いわばノーガード戦法状態ですから、これらの定点観測データはよくよく監視しておく必要があると言えます。

 今最も注視されるのは米金利と為替の動向ですが、それと関係性の深い商品市況もチェックしておく必要があります。とくにこの週末のOPEC+会合では日量200万バレル減産の方針を継続するとの決定がなされた上で、5日には対ロシア制裁におけるロシア産石油価格の上限設定が行われます。これが実質的に資源価格の上昇を食い止めるかどうか実効性が疑わしいと言われていますから、今後のリスク管理上では原油価格の上昇には目を光らせておくことが重要と言えるでしょう。

【日本株投資戦略】
12月相場の幕開けは円高=株安の市場論理に翻弄されてスタート、11月に見せた日本株の円高耐性はホンモノかの検証相場

 日本株にとっては為替感応度を探ることが目先の課題として浮上、11月とは打って変わり急激な円高が株売りを招くとの見方が強まり始めました。市場の認識がコロコロ変わるのは今に始まったことではありませんが、10/21以降で約1カ月半かけてドル円が152円付近から138円近辺まで円高が進んだ11月は明らかに円高耐性を持っていた日本株ですが、企業の想定為替レートで135円設定が多く集まる水準に差し掛かってきた途端、急速に円高警戒感が台頭してきました。

 と言っても、米金利低下に一段の余地が残っているかどうかも含め、この12月の1日、2日の日本株売りは明らかに過剰反応し過ぎと言えます。少なくとも今週末の米PPI(卸売物価指数)などを確認した上で、景気後退リスクを意識せざるを得なくなれば、米金利の低下余地拡大から株売りということも納得できますが、現状では単に月替わりで海外勢のファンドが新規ポジションを売りから入ってきた仕掛け要因が強かっただけという見方しかできません。

 単に先物やオプションベースで売りポジションを構築したかっただけなのであれば、月初の下げは一過性のものとみなすことができます。ただその一方で、今週末には12月メジャーSQを控える市場スケジュールから、それを通過した後に米FOMCが控えていることを考えますと、むしろその付近をめがけて先に売りポジションで備えに入ったという可能性があると思います。

 つまり、このまま売り崩していくというより下落ヘッジを先に済ませておいて、そこで一旦売りの手を休めておきつつ市場のリスクイベント発生に備えるという構図です。それまでの間にもいくつか米経済指標などは発表がありますが、やはり12月の最重要日程は13日~14日にかけての米FOMCおよび13日の米CPI(消費者物価指数)に焦点があてられることは明白と思われます。また、それら来週のスケジュールの中には15日の米小売売上高なども控え、米GDPへの影響が大きい米個人消費の強弱感は景気後退か否かを見極める重要なものとして意識されることは間違いないからです。

 ただ、そうした米景気を横目に見ながら、日本株は外部環境の影響をたしかに受けやすいことは周知の事実であり、米国や国際情勢のいろいろなノイズよりも年末ラリーが期待できるのかどうかの方がよほど重要と言えます。上述したとおり、日本株はひとまずセクターローテーションが一巡したところで息切れ感が出ていることは事実で、ここからいま一度循環物色が始まるかどうか、株式市場自体から資金が流出するような現象がみられるのかどうかを重点監視しておかなくてはなりません。

 それを見極めるポイントはやはり出来高の推移であり、出来高が増大しつつ値幅を伴った下げを演じてくるようであれば、来週などはかなり正念場になってくると思われます。今週はSQ週ということもあり、ただでさえ相場が荒れやすくなるとも言えますので、乱高下を想定しながら週後半の動向に注意を払っておくのがよいと考えます。

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