【11/29日本市場の確認ポイント】
日経平均 28027.84(▲0.48%)[27,899~28,055]
TOPIX 1992.97(▲0.57%)[1,985~1,995]
マザーズ 803.32(+0.26%)[794~805]
値上がりセクターTOP5
1.鉱業(+1.89%)
2.空運(+0.86%)
3.非鉄金属(+0.79%)
4.銀行(+0.74%)
5.石油・石炭(+0.64%)
値下がりセクターTOP5
1.電気・ガス(▲1.51%)
2.金属製品(▲1.36%)
3.輸送用機器(▲1.30%)
4.電気機器(▲1.17%)
5.医薬品(▲1.10%)
28日の日本株は3日続落となり日経平均は一時28,000円の節目を割り込む場面がみられました。TOPIXも軟調でこちらも節目2000ptを割り込む動きですが、11/22終値付近で下げ渋る動き。他方でマザーズは4日続伸と堅調で中小型株の物色意欲はなお衰える気配がありません。
足元で中国におけるゼロコロナ政策抗議活動の激化に伴い下値調整の動きでしたが、中国当局のコロナ対策一部緩和の観測から持ち直す動きとなり、訪日客増加への期待からインバウンド関連に買いが向かいました。また、中国の政策転換で経済再開期待が高まるとして、直近売られていた資源関連にも押し目買いの動きがみられています。
この日上昇が目立ったのは髙島屋(8233)や三越伊勢丹(3099)など百貨店株、JAL(9201)や西日本旅客鉄道(9021)、資生堂(4911)など旅行・インバウンド消費関連株、住友金属鉱山(5713)やINPEX(1605)など石油・金属資源株で、全体に逆行高する動きを見せました。前回に引き続き中小型株は物色資金がぐるぐると循環しながら堅調さを維持しており、主力・大型株が調整から見直されてくる動きで資金移動が起きるのか、はたまた大小問わず全面的に買われていくのか注目です。
【米国株概況】
パウエル米FRB議長講演を控える中で調整には一巡感、中国コロナ抗議の影響懸念も和らぐ
NYダウ 33852.53(+0.01%)[33,662~33,933]
S&P500 3957.63(▲0.16%)[3,937~3,976]
NASDAQ 10983.78(▲0.59%)[10,944~11,086]
ダウ輸送株 14370.1(+1.59%)[14,202~14,402]
半導体SOX 2670.7(▲0.30%)[2,656~2,704]
日経平均先物(CME) 28,090(▲0.25%)[28,040~28,315]
ドル/円 137.87~139.36(高値151.93:10/21、安値113.48:1/14)
日10年債利回り 0.246%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.752%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 78.97(高値123.68:6/14、安値76.25:9/26)
金先物 1748.35(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.6450(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)21.89(高値37.79:2/24)
SKEW指数 118.47(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 61(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.54(安値70.30:10/13)
28日の米国株はまちまちで、前日の中国ゼロコロナ抗議活動激化でサプライチェーンへの影響懸念から売り圧力が和らぎ、景気敏感株に見直し買いの動きが目立ちました。ナスダックはアップルが引き続き中国工場での生産活動縮小が重しとなって下落し、NYダウと比べて戻りの鈍さを露呈するも、中国ハイテク株には中国コロナ政策転換の期待から買い戻される動きもみられています。
NYダウは朝方に前日安値を割り込んだものの、引けにかけては前日比プラスへと転換。エネルギー株のシェブロンや建機株のキャタピラー、化学大手のダウなどが上昇、また景気後退懸念で低下していた米長期金利も上昇に転じて金利敏感の金融株も買い戻されました。
米経済指標では住宅指標のケース・シラーで住宅価格の上昇圧力が和らぎ不動産株に見直し買いの動き、S&Pのセクター別では不動産が値上がりトップに浮上、一方で消費関連指標はカンファレンスボードの消費者信頼感指数が4カ月ぶりの低水準に沈んだことで一般消費財や生活必需品などのセクターでは多少売りが目立った形になりました。
米経済指標を勘案すれば今晩予定されているパウエル米FRB講演でタカ派発言が飛び出す警戒感は薄らいでいるようにも思えます。実際のところは米FRBの政策決定がデータ次第ということで、12/1のPCE価格指数を確認するまで市場はインフレ動向を見極めたいとの見方は根強い一方、パウエル発言がさほど警戒を誘うようなものでなければ先回りしてショートカバー(売り方の買戻し)が入る可能性が高いとみておくのがよいかもしれません。
とくに足元で米景気後退への懸念から低下していた米長期金利が、3.6%台前半から3.75%まで舞い戻ってきていますので、それと合わせて景気敏感株が見直されていることなどもふまえますと、米国株市場ではまだ上値余地拡大への期待を継続していると考えられます。
リスク指標もVIX低下やハイイールド社債の上昇などから再びリスク選好を示す動きともなっていまるほか、米景気を占うダウ輸送株平均も+1.6%とそれなりの反発を見せています。短期的にはいま一度上値を試して米株買いが強まる展開となる期待が持てそうです。
【日本株投資戦略】
月末への警戒売りも波乱なくこなして年末高への期待高まる、政府の大型経済対策も週内成立へ
昨晩の米国株下げ止まり、前日の中国株が急反発したことなどをうけて外部環境には好転の兆しがみられます。日本株もそれなりに調整を強いられはしましたが、日経平均は28,500円にタッチしたところから27,900円付近までの下押しに止まっており、想定していた押し目よりもだいぶ浅く済んだ印象があります。
「投資格言では押し目の浅い相場は大相場」などとも言われますが、今秋以降の日本株における下落耐性は目を見張るものがありますので、この程度の調整から切り返す動きとなればTOPIXがお預けを食らった年初来高値の更新も十分期待できると言えるでしょう。
11/22~24の急反発に代表されますように、足元では市場の過熱感も高まって騰落レシオ(25日)は120pt台が続いていますので、いつ反落してもおかしくないわけですが、見方を変えれば適度に調整をはさむことでかえって相場の上昇持続性は長持ちするとポジティブに捉えることができます。
日経平均など指数には上昇一服感が出ておりましたが、個別株では直近も循環物色の意欲は衰えておらず、新興市場にいたっては高値更新の上値追いが続いている状況にも現在の地合い堅調さが見て取れます。
また、直近の岸田政権における閣僚人事のゴタゴタで懸念していた政府の大型経済対策におきましても、昨日、2次補正予算案が衆議院を通過して週内での成立を見込めるとも報じられており、日本株には政策期待の後押しで追い風が吹く状況にあります。
国内の政治リスクという逆境は投資家にとっては押し目買い好機を演出し、問題が解消すれば一気に買われやすいといった相場の良いリズムを生み出す材料にもなります。前回まではこの月末のファンドリバランスでそれなりの下押しを警戒しておりましたが、足元を波乱なく乗り切れたとなれば年末ラリーへの期待も高まりやすくなります。12月は外部環境のノイズとどう向き合うかが重要となりますが、株式市場には海外勢の潤沢な資金が流入していることが明らかですので強気で臨みたいところです。
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