【11/25日本市場の確認ポイント】
日経平均 28283.03(▲0.35%)[28,263~28,399]
TOPIX 2018.00(▲0.04%)[2,013~2,020]
マザーズ 799.62(+0.38%)[796~801]
値上がりセクターTOP5
1.電気・ガス(+1.70%)
2.鉱業(+1.58%)
3.保険(+0.96%)
4.その他金融(+0.94%)
5.銀行(+0.93%)
値下がりセクターTOP5
1.ゴム(▲1.37%)
2.電気機器(▲0.67%)
3.鉄鋼(▲0.52%)
4.医薬品(▲0.52%)
5.精密機器(▲0.36%)
25日の日本株は前日の日経平均28,500円タッチからやや小休止、TOPIXはほぼ横ばいの高値圏維持で東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1019/値下がり728となり、値上がり数が優勢。マザーズは続伸で新高値を更新し、週末で大型株の動きが止まる中、中小型株に物色の矛先が向かいやすかったとみられます。
日経平均は3桁の下落でファーストリテイリング(9983)、ダイキン(6367)、東京エレクトロン(8035)など値がさ主力株が冴えず足場がゆるんだ一方、寄与度の小さい銘柄には幅広く買いが入りセクターの2番手、3番手銘柄が追い付いてくる動き。指数同士でも先んじて8月高値を上回ったTOPIXに対し、日経平均も追随しようと食らいつく動きとみてよく、主力どころの足踏みから一段高してくるのを待ちたい場面。
中小型株は堅調でW杯で日本がドイツ相手に大金星をあげたことを祝してスポーツ関連物色や、半導体関連やAI、DX、バイオといった中に値を飛ばす銘柄が続出。小型株ではないものの動意薄だった電力株が規制料金値上げの動きから一斉高したり、地銀株などに思惑買いが広がったりと物色の手が広がっているのが印象的でした。
【米国株概況】
感謝祭休場明けの米市場は短縮取引、NYダウが続伸で大手ハイテクが悪材料で失速、SKEW指数の急動意にも注目
NYダウ 34347.03(+0.45%)[34,199~34,386]
S&P500 4026.12(▲0.03%)[4,020~4,034]
NASDAQ 11226.36(▲0.52%)[11,206~11,261]
ダウ輸送株 14442.6(+0.43%)[14,352~14,492]
半導体SOX 2751.3(▲1.26%)[2,751~2,780]
日経平均先物(CME) 28,340(+0.04%)[28,255~28,500]
ドル/円 138.39~139.59(高値151.93:10/21、安値113.48:1/14)
日10年債利回り 0.247%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.691%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 76.55(高値123.68:6/14、安値76.25:9/26)
金先物 1755.00(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.6175(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)20.50(高値37.79:2/24)
SKEW指数 128.11(安値110.34:11/3)【※前日比+7.97%】
Fear&Greed指数 66(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)75.01(安値70.30:10/13)
25日の米国株はNYダウが続伸、感謝祭の翌日で短縮取引となる中でハイテク大手が悪材料で下落、ただ全体的には米FOMC議事録公表をうけた利上げペース減速への期待が下支えし、中小型株のラッセル2000も続伸とグロース株に売りが広がった印象はありません。
ナスダックは▲0.5%、半導体SOXは▲1.2%と24日休場前の上値を消す動きになっていますが、アップルが中国工場での抗議活動が激化して売られたことや、マイクロソフトの買収が否認されるなどネガティブ材料のあった割には値崩れにつながらなかっただけでも十分といったところです。この場面でハイテク大手が総崩れとなってしまえば、米国株全体の年末ラリー期待も萎んでしまいかねないため、ここは踏ん張りどころでしょう。
アマゾンはじめブラックフライデーの売れ行きで年末商戦への期待も高まりやすいところですが、どうやら今年はやや消費手控え志向が強まっている模様。感謝祭当日のオンライン売上高は過去最高を記録するなど滑り出しはまずまずと言える一方、年々セール前倒しの傾向が強まっている以上はこれから先、例年よりも早めに減速感が出てくるかが焦点。また、アマゾンでは年末商戦にあわせて従業員が大規模なストライキに踏み切るとの報道もみられており、米消費動向からはまだまだ目が離せない状況と言えます。
◆アマゾン、ブラックフライデーに世界中で抗議やストに直面-日本でも(2022/11/25)
足元で米FOMC議事録が公表されて金融当局の利上げスタンスが軟化するとの期待が強まる中、30日に控えるパウエル米FRB議長の講演が注目されており、株価が高い水準にある時はこれを牽制する発言が飛び出しやすいため注意は必要。ただその一方、12月米FOMCの利上げ幅縮小は年末の米景気を考えた際に支援材料としての側面が強いため、わざわざこのタイミングで相場を冷やすような発言はしないのではないかとも考えられます。
むしろ、ここで警戒売りがかさむようなのであれば、今週は米経済指標の発表予定が立て込んでいるため、米国の雇用、物価、不動産市況などといった注目材料が米金融政策の軟化を後押しするような結果となった場合には相場をもう一段押し上げる可能性は十分あり得る話でしょう。
やはり一番の注目は来週の米CPI(消費者物価指数)のコア指標のところで、それをきちんと確認するまでは金融当局者も市場を困惑させる発言などは控えるでしょうから、目先は短期ラリーが期待できるところと言えます。ただし、一つ注意点としては普段あまり話題にならないリスク指標でSKEW指数というのがあり、これが先日急上昇となっています。やはりその先に潜むリスクを意識しての動意とも考えられますので、その米CPI発表以降はやや警戒しておく必要があるでしょう。
◆焦点:FRBの利上げ減速示唆、新興国中心に世界中が一安心(2022/11/25)
SKEW指数に関しては、ちょうどこの週末に『まねまねコラム』でも取り上げたリスク管理の重要指標の一つでもあります。今までご存知なかった方におかれましては、合わせてそちらも時間を割いてお読みいただくことをオススメします。
【日本株投資戦略】
上値拡大への期待から引き続きTOPIX、マザーズの動向に注目、政府のNISA拡充案で日本株が生まれ変わるか
足元の日本株は堅調そのもの、やや月末のファンドリバランス警戒は必要かもしれませんが、TOPIXが上値を追っている以上、海外勢が上値を買いにきているのは明らかですので強気を維持したいところです。
少し国内の政治状況の雲行きが怪しくなってきてはいますが、この混乱はむしろ来年の相場を考える上ではプラス材料で、年内もしくは来年初めのところまでにゴタゴタを解消して膿を出し切ってくれれば、新たな市場期待にもつながっていきます。
個人投資家、あるいはこれから株を始めようとしている人々にとっては、岸田政権が資産所得倍増プランをまとめてNISA(少額投資非課税制度)拡充、恒久化させるとの議論が深まってきました。政治とカネ、宗教勢力との癒着などで逆風にさらされていますが、これで国内に預貯金として眠っている個人金融資産を掘り起こすことにつながれば、日経平均は来年にも史上最高値を更新しにいく動きが期待できるでしょう。
◆NISA、5年で3400万口座・投資額56兆円に倍増へ-政府が目標(2022/11/25)
他方、この週末には台湾で統一地方選が行われて与党が大敗、蔡総統が辞任を表明しました。これはかなり大きなニュースで、台北市長には蒋介石の曾孫にあたる蒋万安氏が勝利選出され、野党の急先鋒として台頭してきました。台湾は米国のペロシ下院議長が訪台して米中関係を揺るがすきっかけを作りましたが、彼女も米中間選挙後に辞任して蔡総統は後ろ盾を失った形でしょうから、今後の米国、台湾、そして中国をめぐる三国関係の進展には非常に注目です。
とくに半導体業界をめぐっては台湾勢の存在が大きく影響を及ぼしますので、台湾をめぐっての米中対立が軟化する方向に向かうようであれば、日本株にとっても半導体関連株の戻りを支援する大きな材料となります。半導体業界には政府も多額の支援を実施して日の丸半導体の復活に向けた動きを加速させていますので、来年以降も非常に注目しておくべきポイントは多いと言えるでしょう。
また、電力業界およびエネルギー価格の動向もまさに注目度が高まっており、足元では東北電力に続いて中国電力も規制料金の値上げを申請、ともに3割超の値上げ実施となれば家計への負担、企業のエネルギーコスト増加がやはり国内経済全体のネックにつながってきます。足元では西側諸国が対ロシア制裁として石油価格の上限設定に向けた動きを加速させていますが、その効力は極めて限定的とみられ電力各社は今回苦渋の決断を迫られている状況と言えます。したがって、電力価格の抑制策として政府が決断すべき事項は多く、原発再稼働の議論もペースアップさせる必要があるでしょう。
今週から来週においては重要な米経済指標の発表が相次ぎますので、国内の政治要因とあわせて米国発の外部環境変化には柔軟に対応していく必要があります。投資スタンスとしては強気を維持しつつ、下振れ時には押し目買いで対応しましょう。上値を追いかけて買うのも、現環境下においては上値拡大の期待があるうちは有効と思われます。ただ、中には材料株も多いですので、息切れ後の足が早いことにも注意してください。引き続きTOPIXとマザーズの動向に目を向けながら次の転換点を探っていく場面と言えるでしょう。
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