【11/24日本市場の確認ポイント】
日経平均 28383.09(+0.95%)[28,363~28,502]
TOPIX   2018.80(+1.21%)[2,013~2,023]
マザーズ 796.58(+2.13%)[785~796]

値上がりセクターTOP5
1.海運(+5.07%)
2.卸売(+2.64%)
3.銀行(+2.54%)
4.保険(+2.21%)
5.その他金融(+2.21%)

値下がりセクターTOP5
1.石油・石炭(▲0.46%)
2.ゴム(▲0.45%)
3.輸送用機器(▲0.08%)
4.なし
5.なし

 祝日休場明けとなった24日の日本株は休み前の22日に続いてほぼ全面高、東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1534/値下がり248で値下がりのセクターはわずか3業種でした。とくにTOPIXは8月高値を上抜けて1月の年初来高値に迫ろうとしています。新興のマザーズ指数も8月高値を上抜けて4月以来の高値圏に位置し、まだ年初の水準へのハードルは高いものの堅調な動きを続けています。

 11月米FOMC議事録公表待ちで足踏みしていたのが嘘であったかのように、休み前の22日に結果を先取りする形で日経28,000円の壁を明確に突破、24日は休場中の米国株上昇を織り込む動きで騰勢を強めました。米金利低下で半導体関連株が息を吹き返し、さらには海運が大幅高、景気敏感株が相場を引っ張っていくようにみえますが、金融株や電力株、建設株など内需セクターも引き続き堅調です。前回解説しましたバリュー株orグロース株や内需株or外需株といった物色傾向ではどちらかに偏重するのではなく、そんな理屈なんて関係ないというくらいに全方向的に買いの手が広がっています。

 トントン拍子に上昇してきて一旦利食い売りに押されたような銘柄におきましても、値幅・日柄の調整もほどほどにすぐさま買い直されてくるなど、ここに地合いの強さが表れています。11月上旬こそ米CPI(消費者物価指数)きっかけのショートカバー(売り方の買戻し)中心の上昇といった印象が強かった一方、足元では材料急落した銘柄などにもすかさず下値買いの手が入ってくるあたりは年末ラリー、あるいは来年相場を見越して腰の入った買い手の存在が窺える状況へと変化してきています。

【米国株概況】
FOMC通過後の堅調相場は戻り余地が残るナスダックに注目、月末のパウエル講演そして12月の経済指標も極めて重要に

NYダウ 34194.06(+0.28%)[34,004~34,262]
S&P500 4027.26(+0.59%)[3,998~4,033]
NASDAQ 11285.32(+0.99%)[11,174~11,310]
ダウ輸送株 14380.4(+0.32%)[14,280~14,446]
半導体SOX 2786.4(+1.07%)[2,756~2,814]
日経平均先物(CME) 28,345(+0.80%)[28,295~28,420]
ドル/円 139.19~141.61(高値151.93:10/21、安値113.48:1/14)
日10年債利回り 0.241%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.691%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 77.45(高値123.68:6/14、安値76.25:9/26)
金先物 1750.50(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.6430(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)20.35(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 66(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)75.16(安値70.30:10/13)

 24日の米国市場は感謝祭で休場。上記の定点観測データで動いているのは為替、商品のみです。23日の米国株は11月米FOMC議事録の公表で12月の利上げ幅減速を確認、将来のターミナルレート(金利の最終到達点)に関する具体的な言及はみられず、事前の市場想定どおり無難な内容だったことを好感して株価は上昇。米金利は低下、米ドル安となりショートカバー(売り方の買戻し)主導でグロース株が上昇、ハイテク株主体のナスダックが強含みました。

 あわせて足元の米経済指標が強弱まちまちで将来の期待インフレ率低下を素直に好感する流れが継続、次の焦点は米国のブラックフライデーで個人消費の動向、また月末にはパウエル米FRB議長が講演予定でタカ派発言がみられるかに注目が移ります。

 12月上旬のロシア産石油価格の上限設定をめぐり原油価格に反落の動きがみられており、インフレ軟化期待で上昇余地が広がりやすいグロース株の動向にかかってきます。NYダウは10月初旬からほぼ一本調子に上昇して34,000ドル台を回復、すでに8月高値を上回っていますが、ナスダックは11月FOMC後のパウエル米FRB議長発言をうけて急落したのが響き回復が出遅れています。

 直近で話題を振りまくテスラが年初来安値を更新した後、今度はアナリスト予想の修正で急伸するなど荒っぽい値動きを見せているほか、指数寄与度も大きく次々と悪材料が目立っている大手ハイテク株の影響でナスダックは伸び悩みが鮮明です。ただ、市場内では年末ラリーへの期待感も高く、それを先取りしているのが足元の反発です。(他にも裏ワザが講じられていますが)

 これには11月末にかけてファンド決算に伴うポジション手仕舞いが、今年積み上げてきた売りポジションが多くこれを買い戻すという反対売買がかさんでいるという需給面での影響も大きく関わっているとみられます。であるからこそ、11月末のパウエル米FRB議長講演が売り方を降参させるトドメの一撃になるのか、はたまた12月以降での新規に売りポジションを積み増すきっかけを作るのかという点で非常に重要視されます。

 実際には、米金融政策への関心が高い現在の市場環境では米雇用統計や米CPIのデータが重要視されていますから、12月上旬に出される米経済指標の諸々を確認するまでは今の回復トレンドを維持すると思われます。ただそうは言っても11月末の市場イベントとファンドリバランスは相場の一時的なリスク要因になる可能性には留意しておく必要があります。リスク指標は低下傾向を一段と強めていますが、これは同時に相場がチキンレース的な過熱へと向かっていることも示唆しているのです。

 米国株を取り組んでいる方にとっては今後の時間軸によって立ち回りが変わるところですが、あくまで年末ラリーを期待するにしても目先12月上旬まで、次はクリスマスラリーと欲張って足を延ばし過ぎないことも大事になってくる局面です。ここでは紙幅が限られますので詳しい解説は【先読みの近未来(スタンダード会員以上の方対象)】で述べますが、米国ではFRBのQT(量的引き締め)影響が実際に出始めてきている点にも注意しておく必要があるでしょう。

【日本株投資戦略】
年初来高値更新が視野のTOPIXで浮かび上がってきた日本株買い、相場の一段高を促す日本の独自要因

 日本株は休場明けで元気いっぱい、全面的に買い気が強く23日の祝日をはさんで22日は値下がりセクターがほぼゼロ、24日も原油相場の反落や為替円高で敬遠された石油株、自動車株を除いて幅広く買いが入り、物色対象の裾野が広がっています。

 好調なのはとくに大型株と小型株で、指数はともに8月、9月の高値を更新、中型株も頑張っており9月高値を抜けてきていますが8月高値にはあと一歩というところに迫っています。この22日、24日の2営業日連続でほぼ全面高商状でしたから騰落レシオ(25日)は124pt台まで上昇してきています。また、新高値銘柄数もこの2営業日はともに3ケタ超え、一方の新安値銘柄はゼロと、足元のリスク選好ムードが非常に強いことを物語っています。

 日本の個人投資家は逆張り志向が強いため、利益確定や戻り売りする方も多いかと思いますが、とりあえず足元では相場の天井を見定めてからでも遅くないと言えるでしょう。上記の【米国株概況】の解説と矛盾するのではと思われるかもしれませんが、基本的に日本株と米国株では置かれている環境が全く異なりますので、日本株は年末ラリーを期待してもよい状況です。

 ただし、11月末の市場イベントとファンドリバランスというリスク要因は共通ですので注意しておかなければなりませんが、日本株の場合はパウエル米FRB議長にタカ派発言で下押し材料になっても押し目買い好機を演出するだけですので、むしろこれをうまく利用して年末高に期待するという見方もできるところです。

 人によって時間軸が異なるかと思いますので立ち回りはそれぞれ得意なスタンスで構わないと思いますが、その中で一点注意をしておいてほしいのが日本は国内の政治要因が12月相場のカギを握ることになるということです。この際、米国はじめ外部環境を気にし過ぎるのはかえってノイズになる可能性が高いと言っても過言ではありませんが、その代わりに日本固有の要因というのに目を向けておかなくてはなりません。

 前回の解説で年末の大型経済対策に向けた審議が進められていることについてふれましたが、それと同時に岸田政権では閣僚辞任が相次いで歯止めがかからない状況に追い込まれてきています。この点は先週あたりから【先読みの近未来(スタンダード会員以上の方対象)】で今後の相場に与える影響についてまとめているのですが、実際のところ日本株の年末ラリーは岸田政権の去就にかかっているという側面は否定できません。

 目先の相場で12月上旬にかけて一段高期待という点は疑いの余地を持ちませんが、相場が過熱していくにしたがって盛大に梯子を外される可能性も高まっていくということは常に意識しておかなくてはならないことです。とくにNHKあたりが過去の金融危機についてわざわざ記事を書き下ろしているあたり、これはなぜこのタイミングで出てきたのかという点も含めてかなり重要な示唆と言ってよいでしょう。改めて今の自分の「欲望」と「恐怖」のパラメータが適正か、ポジションの管理はできているかなど、自問自答した上で健全に今の相場を楽しむ心の余裕を持っておきたいところです。

◆金融危機から25年 米利上げなどで新たな危機に警戒感強まる(2022/11/24)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221124/k10013902501000.html

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