【11/17日本市場の確認ポイント】
日経平均 27930.57(▲0.35%)[27,910~28,029]
TOPIX 1966.28(+0.15%)[1,962~1,972]
マザーズ 790.39(▲0.13%)[784~790]
値上がりセクターTOP5
1.陸運(+2.73%)
2.空運(+2.58%)
3.不動産(+1.79%)
4.その他金融(+1.57%)
5.農林・水産(+1.25%)
値下がりセクターTOP5
1.非鉄金属(▲1.72%)
2.鉱業(▲1.37%)
3.電気機器(▲1.12%)
4.卸売(▲0.96%)
5.鉄鋼(▲0.77%)
昨日の日本株は指数小動きとなる中で、直近好調だった半導体関連株に一斉売りが広がり、東京エレクトロン(8035)やアドバンテスト(6857)などが▲3%下落で日経平均を押し下げました。ただ、市場全体には波及せずに東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1279/値下がり489と値上がり銘柄が優勢、TOPIXは終日プラス圏で推移しました。
米マイクロンの見通し悪化が半導体関連株全般の重し、というよりも利益確定売りの材料にされたとみられる一方、10月の訪日外国人客数の発表を手がかりにインバウンド関連に見直し買いの動き、空運株や鉄道株、旅行・レジャー株などのほか、不動産株なども含めて内需株に物色資金が流れています。下落セクターでは非鉄金属がトップ、鉱業が2位と資源関連株が売られており、これはますます今後の動向が気になる動きと言えるでしょう。
最も注目を集めているレーザーテック(6920)が続落となる中で昨日は▲8.5%の急落、30,000円台目前で失速した今後は25,000円台を維持できるかに焦点が移ってきます。半導体関連株の利食いした資金が幅広い銘柄に流入して循環物色が継続するかが注目どころ、新興市場も売られたとはいえマザーズ指数が高値圏でよく踏ん張っていると言えます。来週前半まで持ち堪えることができれば、再び上値期待が高まりやすくなると思われますので正念場でしょう。
【米国株概況】
米金融当局発言で急落もすぐに値戻しでリスクオフは回避、足元の市場ノイズをうまくかわせれば短期ラリー再開の期待も
NYダウ 33546.32(▲0.02%)[33,239~33,616]
S&P500 3946.56(▲0.31%)[3,906~3,954]
NASDAQ 11144.96(▲0.35%)[11,006~11,198]
ダウ輸送株 14159.9(▲1.03%)[13,865~14,223]
半導体SOX 2719.1(+1.05%)[2,633~2,728]
日経平均先物(CME) 27,965(▲0.05%)[27,775~28,025]
ドル/円 138.89~140.75(高値151.93:10/21、安値113.48:1/14)
日10年債利回り 0.236%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.768%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 81.95(高値123.68:6/14、安値76.25:9/26)
金先物 1763.50(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.6775(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)23.93(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 63(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.07(安値70.30:10/13)
米国株は前日の半導体株安に続き、米FRBメンバーのブラード米セントルイス連銀総裁のタカ派発言をうけて、米金利が上昇し、米国株は下落しました。また、米ドルは上昇して原油先物価格は急落、と金融市場全般に米金融政策の見通しに対する警戒感が高まりましたが、米国株は中盤にかけて値を戻していきました。
債券市場では2年債-10年債の逆イールドが拡大した一方、30年債利回りの上昇は限定的で米経済にとっては米住宅ローン金利の低下といった朗報がもたらされています。ただし、足元の市場に関してはGood news=Bad newsと悪い材料の方が好感されやすいという風に、思春期の多感な時期というか複雑な時期ですので、市場動向は普段以上にノイズに振り回されやすくなっていると思った方がよいでしょう。
◆米住宅ローン金利、1981年以来の大幅低下-7.08%から6.61%に(2022/11/18)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-11-17/RLI946T1UM0W01?srnd=cojp-v2
もちろん今回のブラード総裁発言は後々非常に重要なものとなってくることなので見過ごすことはできませんが、現状としては一昨日の半導体企業マイクロンの見通し悪化のように単なる利益確定売りの理由付けに使われているとみてよいかと思います。米国株に明らかな上昇一服感がみられるようになってきましたので、上値期待が消失してくるにしたがい利益確定売りが出やすくなるのは仕方のないことです。
ただ、今晩の米国市場ではマイナーSQを通過し、来週には先日の米FOMC議事録公表から改めて米金融政策見通しに対する減速期待というものが再燃してくるとみられますし、米中間選挙のゆくえもなんだかんだ問題が取り沙汰されながらも、米共和党が下院で優勢を確保して「ねじれ議会」が実現しました。政治的にはレッドウェーブ空振りでしたがある意味、金融市場が期待していた展開にはなっていますので、米中間選挙後の株高アノマリーが実現されるというのを期待する向きも多いことと思われます。
為替の米ドル高によって原油価格は相対的に下落しており、米経済のインフレ緩和期待というのも月末の米経済指標発表において株価下支えにつながりやすくなるとみられますので、米国株にとっては目先の利益確定売り圧力を無難に消化しきれるかが焦点と言えるでしょう。小売株の需要先食いで見通しが悪化していることなどをふまえますと、今年の年末商戦含め、相場はとても年末ラリーまでは期待できそうにありません。よって、米国株は残りの期間、11月末に押し目買いして、12月上旬までの短期的なラリーを楽しめれば十分といったところでしょう。
【日本株投資戦略】
半導体関連株の急落でも市場全体では底堅い動き、日経・TOPIXの指数は膠着強めて中小型株の物色が活発に
日本株は前回同様に日経平均28,000円をはさんで一進一退、局所的に物色傾向の変化などが起こりつつも全体としては市場ローテーションでうまく資金が循環しているとみてよいかと思います。昨日も半導体株に対する売り圧力は売買代金などからみてもかなり強かったと言えますが、それが半導体関連株のみの範囲にとどまったことに注目しています。
これが仮に市場全体の需給を悪化させるような売られ方になってしまいますと、本格的なリスクオフということになるわけですが、そうなると押し目買いをしようとしている人も売買を手控えて様子見姿勢を強めてしまうので、売買注文の板が薄くなり下がり過ぎてしまうといったことが起こるのですが、今はその流動性リスクも売買高・売買代金がそれなりの規模を維持していますので、過度な心配は必要なさそうです。
ひとまず上昇一服感からの利益確定売りでもたついているように見えますが、今の水準で売り物を消化できれば資金の回転が効き始めてきたときにもう一段高が期待できるようになるかと思われます。この日経平均が28,000円を超えてきたところで戻り売りが出てくるのは、6月、8月、9月の高値をそれぞれ形成した時に高値づかみしている投資家の分だけと考えればそれほど量が多いわけではないと推察されます。
日本株の場合は米国株の需給状況とは異なり、機関投資家の空売りが記録的に積み上がっていたり裁定残が多いわけでもありません。つまり、足元では海外勢も現物買い・先物売りが基本のフローでコツコツと日本株を買い始めている様子も窺えますので、日本株の場合は年末ラリーが十分に期待できます。
今週末から来週にかけていやらしいニュースも出てきやすいかと思いますが、それに市場が過剰反応を示して瞬間的に売られ過ぎとなる場面はむしろ押し目買い好機となります。とくにこの11月後半は悪材料が出てきたときが買い場で、それ以外はあまり中途半端に売買する必要もないように思います。
決算発表が一巡して全体的には材料難となりやすいからこそ、中小型株の物色意欲が高まっているようにも見えます。足元で利益確定を済ませた個人投資家などは、日々の材料を手がかりに色々と物色したくなる衝動に駆られるかと思いますが、目先でまた良い買い場に恵まれる機会があるものと考えますのでそのチャンスをうまく活かしていきましょう。
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