【11/15日本市場の確認ポイント】
日経平均 27990.17(+0.10%)[27,903~28,038]
TOPIX 1964.22(+0.37%)[1,957~1,966]
マザーズ 780.41(+0.87%)[769~781]
値上がりセクターTOP5
1.非鉄金属(+2.41%)
2.鉄鋼(+2.34%)
3.銀行(+2.31%)
4.海運(+1.87%)
5.紙・パルプ(+1.79%)
値下がりセクターTOP5
1.サービス(▲1.99%)
2.鉱業(▲0.81%)
3.食料品(▲0.65%)
4.電気・ガス(▲0.57%)
5.機械(▲0.36%)
16日の日本株は全体小動きの中で個別株中心に物色が分かれ、半導体関連株がレーザーテック(6920)の+5.7%をはじめ関連小型株も一斉高、野村マイクロ(6254)やシキノハイテック(6614)、フェローテック(6890)などが値を飛ばしました。また、銀行株が三菱UFJ(8306)、三井住友(8316)の決算および自社株買いなどの材料好感で上昇、三井住友やりそな(8308)は新高値を更新する動きをみせました。
一方、決算材料で売られたリクルート(6098)をはじめ電通(4324)などが大幅安、サービス業セクターに連想売りが広がる動きもみられています。セクターでみるとトップは非鉄金属、住友金属鉱山(5713)が戻り高値を更新のほか、三菱マテリアル(5711)も大幅高でした。次点は鉄鋼で大手の日本製鉄(5401)はじめ神戸製鋼所(5406)が大幅高しており、とくに小型の日本冶金工業(5480)や山陽特殊鋼(5481)などが新高値更新の動きをみせています。
この日は日経平均、TOPIXと比べてマザーズがアウトパフォームしたことに表れているように小型株を物色する動きが目立ち、グロース株買いに広がりが感じられるようになっています。決算材料による物色が一巡したところで改めて見直し買いが入った銘柄が多くみられ、+5%超の大幅高となるものがグロース市場だけでも100を数える程で、市場のローテーションも最終段階に入ってきたとみられます。
【米国株概況】
売り方が降参して高値を形成してくるタイミングはもう目前、きな臭い地政学リスクは利益確定売りの材料として使われる
NYダウ 33592.92(+0.17%)[33,320~33,987]
S&P500 3991.73(+0.87%)[3,953~4,028]
NASDAQ 11358.41(+1.45%)[11,241~11,492]
ダウ輸送株 14617.0(+0.58%)[14,446~14,771]
半導体SOX 2810.6(+3.03%)[2,771~2,848]
日経平均先物(CME) 27,985(▲0.16%)[27,890~28,215]
ドル/円 137.79~140.61(高値151.93:10/21、安値113.48:1/14)
日10年債利回り 0.238%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.773%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 86.89(高値123.68:6/14、安値76.25:9/26)
金先物 1781.50(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.8213(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)24.54(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 67(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.55(安値70.30:10/13)
米国株は朝方の米10月PPI(生産者物価指数)が市場予想を下回り、先日の米10月CPI(消費者物価指数)と合わせてインフレ鈍化期待が膨らみ、朝方はNYダウが450ドル高となる場面がありました。しかし、その後のポーランドにミサイル着弾(ロシア発?)で死傷者が出たと伝わったことで急速に売られ、上げ幅を消失しました。
一方、米経済指標をうけて米金利が低下したことによりグロース株はしっかりで、地政学リスクを意識してNYダウがマイナスに転じた場面でも値を保ち、ナスダックは+1.45%で引けています。この日も上昇を先導したのは半導体関連株の面々ですが、ほかにウォルマートの+6.5%やナイキの+2.2%など小売株がしっかりのほか中国ハイテク株などもナスダックの上昇に寄与しました。
半導体関連株に関しては、バークシャー・ハサウェイのウォーレン・バフェット氏がTSMCに投資していたことが判明したことも話題を呼んでおり、足元の上昇基調に拍車をかけたとみられます。また、石油大手株の買い増しも継続していますが、着々と米国株以外にも投資対象を拡げている点なども注目されます。
地政学リスク材料なども含めて米国株には利益確定売りが出ているとみられますが、記録的に積み上がっているショート(売り)ポジションの整理も同時進行している状況で、株価が高原状態を維持している背景にはこうした需給要因が大きいと考えられます。とくに中国株などの快進撃もこれを原動力にしているとみられ、売り方が降参したところでようやくマーケットの局面転換が訪れることになりそうです。
◆ヘッジファンドのショート手じまい、さらに続く余地も-JPモルガン(2022/11/15)
◆JPモルガンのコラノビッチ氏、株式への強気後退-景気リスクで(2022/11/15)
◆米上場の中国株が急反発、空売り投資家はショートカバーを迫られる(2022/11/15)
【日本株投資戦略】
株価水準は一進一退、しかし海外勢からは着実に注目度が高まってきている日本株
日本株は日経平均28,000円をはさんで一進一退のもみ合いといった様子で、米国株や中国株の激しい上下動にも反応は鈍く、良くも悪くもデカップリングが進んでいるとみられます。
個別株の一角では激しい乱高下がみられて鉄火場のような相場つきになっていますが、市場全体としては商いが増加傾向で資金の動きが活発化していることはポジティブです。これにはレーザーテック(6920)やソフトバンクG(9984)などの売買代金が突出して多いことが挙げられますが、その他も全市場的に売買高は膨らんでおり、日本市場の注目度は以前よりも高まっているとみることができます。
過去に上記のウォーレン・バフェット氏が日本の5大商社株を大人買いしたことが話題となりましたが、結果をみれば一目瞭然で、当時の2020年夏から投資対象となった商社株は水準を大きく切り上げています。今、海外勢が次々と日本市場に参戦してきているのは、日本人が為替円安で海外に目を向けさせられている裏で海外の投資家は逆に日本を有望視していることが明らかです。
◆ピーター・タスカ氏、非鉄金属や化学に強気-日本株ファンドは好成績(2022/11/16)
足元では為替が一時期よりやや円高に振れてきていますが、これは単にインバウンドの観光客が増えたことだけでなく、海外勢からの日本投資が進められていることも見逃せません。12月には一旦また円安に振れる局面がみられるかもしれませんが、為替のドル高トレンドはもうしばらくすれば転換してくることでしょう。
ただ、その時にはドル安を背景とした商品市況が一斉高するシナリオも想定しておく必要があります。そう考えますとインフレのピークアウト期待というのも一過性要因となる可能性、さらに黒田日銀総裁が取り組んできたデフレスパイラルからの脱却で日本のインフレ期待率も上がってきますので、今度は日本も賃金と物価の上昇でインフレがよりテーマになってくるでしょう。つまり、インフレ環境に対応したトレードがより高パフォーマンスを発揮するようになっていくでしょう。
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