【11/11日本市場の確認ポイント】
日経平均 28263.57(+2.98%)[27,837~28,329]
TOPIX   1977.76(+2.12%)[1,961~1,980]
マザーズ 760.52(+3.41%)[746~760]

値上がりセクターTOP5
1.電気機器(+4.99%)
2.サービス(+4.00%)
3.化学(+3.93%)
4.ゴム(+3.88%)
5.精密機器(+3.63%)

値下がりセクターTOP5
1.空運(▲1.66%)
2.農林・水産(▲1.59%)
3.食料品(▲0.75%)
4.陸運(▲0.66%)
5.銀行(▲0.36%)

 11日の日本株は米10月CPI(消費者物価指数)をうけて米国株はじめ世界同時株高の様相となる中で大幅反発。日経平均は+3%、TOPIXも+2%超と急伸し、中でもグロース株の急速な買戻しが物色の中心となりました。主力どころでは半導体関連の東京エレクトロン(8035)、アドバンテスト(6857)が急騰したほか、エムスリー(2413)、リクルート(6098)など代表どころが強く買い戻されています。

 セクター別にみても景気敏感どころの半導体、電子部品が上昇を牽引、グロース株の多いサービス業もこれに続いた形です。個別株ではレーザーテック(6920)が+16%の大暴騰、米金利の急低下を手がかりにエムスリー(2413)やリクルート(6098)、メルカリ(4385)などのほか、設備投資関連のキーエンス(6861)や日本電産(6594)、安川電機(6506)なども急伸。

 金利低下を好感した動きは新興・小型株にも波及、マザーズ指数は+3.4%の大幅反発となり、フリー(4478)、JTOWER(4485)はじめウェルスナビ(7342)や弁護士ドットコム(6027)など時価総額が大きく、かつて人気化した銘柄を中心に幅広く買いが入りました。決算シーズンも終盤に入り、好地合いを引き継いだ状態で本日の千秋楽を迎えます。

【米国株概況】
ハイテク株主体のナスダックを中心に米国株は続伸、債券休場で個人投資家中心に買い遅れ組が飛び乗る相場に危うさも

NYダウ 33747.86(+0.09%)[33,394~33,817]
S&P500 3992.93(+0.93%)[3,944~4,001]
NASDAQ 11323.33(+1.88%)[10,069~11,352]
ダウ輸送株 14554.5(+2.11%)[14,312~14,619]
半導体SOX 2754.9(+3.08%)[2,655~2,769]
日経平均先物(CME) 28,120(▲0.53%)[27,970~28,325]
ドル/円 138.48~142.48(高値151.93:10/21、安値113.48:1/14)
日10年債利回り 0.234%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.811%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)【休場】
WTI原油 88.86(高値123.68:6/14、安値76.25:9/26)
金先物 1774.20(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.9360(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)22.52(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 66(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.45(安値70.30:10/13)

 週末の米国株は続伸、NYダウは小幅な伸びに留まったもののナスダックは+1.9%と大幅に続伸、相場の先導性が高いダウ輸送株も+2.1%、半導体SOXは+3.1%とそれぞれ大幅続伸でした。週間ではダウ平均が+4.2%、S&P500が5.9%、ナスダックが8.1%と、3指数そろっての大幅反発で、S&P500とナスダックは6月以来の大幅高を記録しました。

 債券市場はベテランズデーで休場、プロの機関投資家などは市場参戦を控えやすいところでハイテクグロース株が大きく続伸したのは個人投資家の買い意欲が旺盛なことを表しています。前日に続いてGAFAMの一角であるアマゾンが+4.3%、アルファベット(Google親会社)が2.6%と大幅続伸のほか、半導体関連でエヌビディアが+3.7%、AMDが+5.7%、アプライド・マテリアルズも+5.5%と飛躍し、ナスダックを押し上げています。

 一方、NYダウでは寄与度の大きいユナイテッドヘルスが▲4.1%となってNYダウを▲145ドル押し下げているほか、ジョンソン&ジョンソン、アムジェン、メルクなどヘルスケア、医薬品といったところの下落が足を引っ張り、NYダウは中盤にかけて前日比マイナスで下げ幅を広げる展開が続きました。

 ディフェンシブ性の高いセクターが売られてハイテク株やシクリカル(景気敏感)株が買われる典型的とも言えるリスクオン相場とみられ、リスク指標はそろって追い風ムード。VIX指数が22.5ptに低下、F&G指数もGREEDを示し、ハイイールド社債も10/28時点の水準に回復。

 引き続き足元の米経済指標をうけた米FRBの利上げ減速期待を背景に良好な地合いが続いているとみられる一方、商品市況も堅調な動きとなっています。これが景気下振れ懸念の後退によるものであれば景気敏感株の買戻しを刺激する支援材料となり得ますが、足元の反発ラリーが米経済指標鈍化を背景にした一過性のものであれば逆にスタグフレーション(不況とインフレの同時進行)懸念の再燃につながり、米FRBは金融引き締めの強化を迫られることになります。

 上述したように11日は前日の大幅高した勢いそのままに慣性の法則的な買われ方をした可能性もあり、その点は割り引いて考える慎重さも求められる局面と言えます。11月ミシガン大消費者信頼感指数の速報値では市場予想や前月の数値を大きく下回っており、金融当局の目論見どおり(?)の米景気減速となる一方で、将来の期待インフレ率は小幅ながらにも上昇しています。

 したがって、上記のシナリオで後者のインフレまたはスタグフレーションの懸念といった目が出れば、当然米FRBは物価安定を優先せざるを得なくなりますので、攻勢を強める株高期待にとっては商品高(エネルギー・金属資源価格の上昇)が大きな障壁となってくることに留意しておくべきでしょう。

【日本株投資戦略】
SQ値高水準の余勢をかって高値圏へと導かれる日本株、とくに今週半ば以降での飛びつき買いは要注意

 日本株は世界同時株高の流れをうけて日経平均の大きな節目となる28,000円台を回復、週末の11月SQ清算値は28225.86円となり8月限、1月限、9月限に続いて今年4番目の高水準で決着しています。
 この日の日経平均上昇幅は+817円(+2.98%)でしたが、むしろ注目すべきは売買代金が東証プライムで4.87兆円、全市場合わせれば5兆円超えの大商いとなったことで、いずれも大きな陽線を形成したという点でしょう。

 テクニカル指標では移動平均線がいずれも上向きで、オシレーター系を見ても一段の上値余地を残しているように見えます。11/4や11/10など途中途中で反落した日をはさんだことで良い具合に過熱感を削ぎ落しながら上昇してきたことが奏功しており、騰落レシオ(25日)もまだ102pt台です。新高値銘柄数を見てもまだ3ケタ台に達しておらず、天井形成という感じにはなっておりません。

 ただし、今年の相場において上記のSQ値で高水準を達成した後というのは、いずれもその後3~4日程度の上値を伸ばす動きが続いた後に急反落を見せており、今回も同様のパターンを辿るのか注意深く監視する必要があるでしょう。
 最も高いSQ値で清算された8月限28525.62円の後は、その後の3日間で29,222円まで上値を伸ばしており、同じように好調な地合いと決算発表後の株高局面という共通点を加味した場合に、日経平均は29,000円付近まで足を伸ばす期待もあるかと思われます。

 その一方で、【米国株概況】でも上述したとおり、足元の相場上昇に乗り遅れてはマズイと焦る個人投資家が上値に飛びつき買いをする売買が中心になるとみられ、機関投資家や熟練の投資家にとっては上昇局面の最後で大きく出来高が膨らむ場面を狙って売り抜けてくる構図が鮮明になってくるかと思われます。

 したがって、今週は前半のところで上値を伸ばしつつ、利益確定売りが嵩むと同時に売り買いが交錯し、最終的には来週の23日祝日休場となる前までのところで日経平均の28,000円台をキープできれば上出来と言えるかと思います。もし日経平均が早々に28,000円の足場固めに失敗して、敢え無く撃沈してしまうようなことがあれば、今度は高値を追いかけた投資家たちによる見切り売りが相場を下押しすることになりかねません。
 よって、勝負は今週前半までいかに高く売り抜けられるか、今週後半から来週前半にかけてのところでも基本的に利益確定スタンス、少しずつポジション整理を継続していく方が無難でしょう。

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