【11/10日本市場の確認ポイント】
日経平均 27446.10(▲0.98%)[27,370~27,485]
TOPIX 1936.66(▲0.66%)[1,930~1,939]
マザーズ 735.47(▲0.39%)[732~739]
値上がりセクターTOP5
1.紙・パルプ(+1.41%)
2.食料品(+0.65%)
3.銀行(+0.51%)
4.建設(+0.50%)
5.電気・ガス(+0.49%)
値下がりセクターTOP5
1.ゴム(▲3.95%)
2.石油・石炭(▲2.20%)
3.輸送用機器(▲1.71%)
4.鉄鋼(▲1.69%)
5.鉱業(▲1.69%)
10日の日本株は米中間選挙における米共和党躍進への期待剥落に加え、米国債入札の不調、仮想通貨市場の大混乱などが重なり、主要株式指数はそろって反落。日経平均は一時▲300円超の下落をみた後、夜に10月米CPI(消費者物価指数)発表を控えて戻りは限定的となる様子見ムードが広がりました。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり620/値下がり1141とやや値下がりが優勢で、前日の米国株がとくにグロース株の下落が目立ったことで、主力どころのファーストリテイリング(9983)、ソフトバンクG(9984)、東京エレクトロン(8035)がそろって軟調。ソフトバンクGは仮想通貨交換業者FTXの信用危機が波及する懸念などから▲2.7%安と日経平均の下落寄与度でトップになりました。
ただし、全体に上値の重さが意識されはしたものの、逆行高を見せる銘柄もそれなりに多く、決算材料で川崎重工(7012)が+5.3%の大幅高のほか、フジクラ(5803)、鹿島(1812)、ネクソン(3659)なども+5%超の大幅上昇となり、新興・小型株市場でもマザーズが一時プラス転換する場面やストップ高をつける銘柄が15銘柄に及ぶなど投資家の物色意欲に衰えは感じられません。
【米国株概況】
米中間選挙をめぐる混乱の最中に米CPI砲が炸裂、強烈なショートカバーを促してナスダック+7%高・半導体SOXは+10%高の暴騰劇に
NYダウ 33715.37(+3.70%)[33,167~33,727]
S&P500 3956.31(+5.54%)[3,859~3,958]
NASDAQ 11114.15(+7.35%)[10,779~11,119]
ダウ輸送株 14020.4(+3.83%)[13,751~14,059]
半導体SOX 2672.5(+10.21%)[2,539~2,675]
日経平均先物(CME) 27,975(+1.99%)[27,360~27,990]
ドル/円 140.21~146.60(高値151.93:10/21、安値113.48:1/14)
日10年債利回り 0.246%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.811%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 86.31(高値123.68:6/14、安値76.25:9/26)
金先物 1759.50(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.7832(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)23.29(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 63(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.18(安値70.30:10/13)
米国株は米中間選挙の投開票には時間がかかるとみられる中、10月米CPI(消費者物価指数)に関心が集まりました。結果は10月の伸び率が前年比7.7%と市場予想、前月対比でも減速したことを好感、インフレピークアウト期待を盛り上げつつ米FRBの利上げペース減速を後押しするものだとして米国株は総花的に買われる展開でした。
NYダウは終日にわたり力強い上昇を続けて+1,200ドル高(+3.7%)の大幅上昇、しかしそれ以上に弱気相場で売られたハイテクグロース株が軒並みリバーサルの動きからナスダックが+7.3%と暴騰し、S&P500も+5.5%の急伸となりました。
NYダウはマイクロソフトの+8.2%、ゴールドマン・サックスの+7.4%、ホームデポが+8.7%などがそれぞれ100ドル以上押し上げ、他にもセールスフォースが+10.0%、アップルが+8.9%、ビザが+6.0%と大幅高し、下落したのは直近上昇していたマクドナルドのみ。
ハイテク株主体のナスダックではGAFAM一角のアマゾンが+12.2%、メタ(旧フェイスブック)が10.3%と2ケタ急伸したのをはじめ、エヌビディアが+14.3%、AMDが+14.3%、ASMLが+14.5%と半導体関連株が軒並み大幅急騰しました。半導体SOX指数は+10.2%と暴騰しており、ナスダックを大きく押し上げました。
また、ハイテクグロース株の強烈なショートカバーを誘発したのは米金利の急低下であり、米10年債利回りは3.8%まで低下、他の短期・中期債も軒並み金利低下しました。米CPIデータをうけた米FRBメンバーがこれを歓迎する発言が相次ぎ、12月利上げ減速を正当化するとともに将来のターミナルレート(最終目標値)の低下を示唆、ピーク金利予想は米CPI発表前の5%を上回っていたところから4.75%付近までを織り込む形となっています。
米CPIの内容としてエネルギー以外は前月から低下しており、将来のインフレ期待率を押し下げる一助となったほか、米経済指標の総合的なファンダメンタル材料としてみた場合、月末のPCEにおいても期待感をつなぐ形となりました。米国株にとっては残るエネルギー価格の上昇懸念と、一方での高止まり懸念といったところで、しばらくは今回派手に敗北した空売り筋との間で激しいせめぎ合いが展開されることになりそうです。
少なくとも米FOMC議事録の公表までは、高値波乱を演出しながらも期待上昇しやすい展開と考えられ、米金利水準およびVIX指数ほか、商品市況などを監視しながら市場が総楽観に傾くのに歩調を合わせて売り上がりスタンスが有効とみられます。とくに今晩はベテランズデーで債券市場は休場となるため、米金利低下の波は一旦収まりやすく、特大のポジティブサプライズ演出の後というのはいつも以上に慎重な立ち回りが求められます。
【日本株投資戦略】
米経済指標のポジティブサプライズで世界同時株高を演出、多幸症マーケットの裏では次なる仕掛けも同時に進められる展開
昨晩の米国株が10月米CPI発表を手がかりに急騰劇を演じ、日経平均先物は再び28,000円手前のところまで急浮上しています。また米国株高・米金利低下に呼応したのは欧州株も同様で、ドイツDAXも+3.5%高、ユーロ・ストックスも+3.2%高となっており、債券市場ではイタリア10年債利回りが4.3%台から4.0%割れまで急低下しました。
これは米国市場だけでなく世界のインフレ高進懸念までも後退することへの期待を反映したようにも思えるもので、世界同時株高を演出するには十分の材料とみられます。とくに米金利の急低下に伴い、米ドル独歩高の状態だったのに対し諸外国の通貨が一斉に買い戻されており、ドル円においても一時140円台前半まで急落しました。
米CPIイベントによってもたらされたリスクオンは、足元で暴落していた仮想通貨市場にとっても朗報となっています。前日まで悪材料のオンパレードで総悲観だったコインの面々が総花的に上昇していることからも、資本市場全体のリスク選好ムードを高めることにつながっています。
こうした動きは投資家全体が総楽観になり、空売り筋を一掃するまでショートスクイーズが仕掛けられるとみられ、慌てて買い方に回った投資家は乗り遅れリスクを意識させられることになります。出遅れた投資家が結局は高値掴みしたところでマーケットは天井を形成することになると考えられますが、これは【米国株概況】でも既述のとおり11月後半の米FOMC議事録発表あたりに向けて乱高下を伴った高値波乱の展開を生み出すことになりそうです。
多幸症的な総楽観相場が一巡した後の展開として、その裏では地政学リスクや資源・エネルギー価格の再上昇といった前兆も確認されていることから、やがてはポジティブサプライズの反動として相応のネガティブサプライズも生じてくることを念頭に置きながら慎重にポジション整理を進めていくことが望ましいでしょう。
前回の解説と繰り返しになりますが、来週以降、11月後半のところではそれなりに上昇局面が続くように演出される一方、機関投資家やヘッジファンドなどは利益確定してくるとみられますので、売り上がりスタンスを基本とした戦略で臨みたいところです。非常に気になる今後の展開は【先読みの近未来(スタンダード会員以上の方対象)】で詳しく解説していきます。
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