【11/4日本市場の確認ポイント】
日経平均 27199.74(▲1.68%)[27,032~27,389]
TOPIX 1915.40(▲1.29%)[1,907~1,926]
マザーズ 731.56(▲0.85%)[725~733]
値上がりセクターTOP5
1.空運(+1.30%)
2.非鉄金属(+0.39%)
3.卸売(+0.30%)
4.銀行(+0.02%)
5.鉱業(+0.00%)
値下がりセクターTOP5
1.ガラス・土石(▲3.71%)
2.農林・水産(▲3.49%)
3.精密機器(▲2.80%)
4.海運(▲2.76%)
5.金属製品(▲2.63%)
祝日休場明け、かつ週末4日の日本株は大幅反落、米FOMCイベント消化という重要任務も重なる中で日経平均の寄与度が大きい主力銘柄がそろって値を崩しました。ソフトバンクG(9984)や東京エレクトロン(8035)が▲2%超の大幅安、KDDI(9433)は▲4%超とこれら3銘柄で日経平均を▲100円ほど押し下げ、東証プライムの騰落銘柄数も値上がり351/値下がり1437と地合いの悪さが目立ちました。
主力グロース株がとにかく旗色悪く、エムスリー(2413)の決算嫌気売り▲9%やZホールディングス(4689)▲14%を筆頭に一様に下落する中、バリュー株はまちまちの値動きで全体に逆行高をみせる銘柄も散見されました。とくに決算反応が良かった三菱自動車(7211)は+18%高と大幅急伸のほか、コニカミノルタ(4902)が+9%弱とこれに続き、同じく決算で買われた住友商事(8053)も+4%超と商社株の堅調さなども目立ちました。
材料株という観点では、連日の北朝鮮ミサイル発射報道から三菱重工(7011)や川崎重工(7012)、IHI(7013)など軍需関連銘柄が逆行高し、ウクライナ問題で火が付いたチタン関連の大阪チタニウム(5726)が決算材料との合わせ技で+18%の急騰、これに刺激された東邦チタニウム(5727)も+15%弱となり、全体が沈む中で値動きの良い銘柄に資金が集中しました。新興市場では、ブライトパス(4594)が2日連続ストップ高となった一方、10月中旬から暴騰を演じてきたバンク・オブ・イノベーション(4393)がとうとう値崩れを起こし▲26%のストップ安で取引を終えました。
【米国株概況】
米雇用統計の見方に揺れる米国株、しかし重要な論点はもはやそこではないと分析
NYダウ 32403.22(+1.26%)[31,938~32,611]
S&P500 3770.55(+1.36%)[3,708~3,796]
NASDAQ 10475.25(+1.28%)[10,262~10,553]
ダウ輸送株 13474.1(+2.07%)[13,236~13,482]
半導体SOX 2398.2(+4.60%)[2,339~2,401]
日経平均先物(CME) 27,505(+1.16%)[27,015~27,525]
ドル/円 146.55~148.40(高値151.93:10/21、安値113.48:1/14)
日10年債利回り 0.249%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 4.163%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 92.60(高値123.68:6/14、安値76.25:9/26)
金先物 1685.70(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.7010(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)24.55(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 58(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)72.90(安値70.30:10/13)
米国株は5日ぶりの反発、10月米雇用統計の発表をうけて株式指数は乱高下しましたが、非農業部門雇用者数が市場予想を上回ったものの米金融当局が引き締め強化に動くほどではないとの見方が広がり持ち直す動きでした。失業率も9月の3.5%から3.7%に上昇と、強弱入り混じる内容ではあったものの、シカゴ連銀エバンス総裁の過度な利上げによる金融引き締めを回避すべきとの発言を市場が好意的に受け止めたことが決定打につながったようです。
◆FRB当局者、小幅利上げ検討の意向示す 堅調な雇用統計でも(2022/11/5)
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-idJPKBN2RU1VL?il=0
ただし、米雇用統計や金融政策見通しだけでこの日の市場を説明するには無理があり、その裏側では他の米FRBメンバーからはターミナルレート(利上げ最終目標値)の引き上げやピーク金利の5%超えを織り込む金利市場の動きなどもみられました。
前日までの株価下落で、とくにハイテク大手を中心に下値不安が拡大する状況であったこともふまえれば自律反発の域を出ないかもしれませんが、特筆すべきは欧州の株高で主要国が軒並み+2%超の大幅高となりました。さらに、中国のゼロコロナ規制をめぐる憶測が飛び交う中で中国株が急伸、上海総合指数は11月に入って+6.2%と堅調なほか、香港ハンセン指数は1日で+6%超の上昇率となり、10月末からはなんと10%超の2ケタ上昇となっています。
金融市場を局所的に見ると激しい乱高下で、米国株にしても中国株にしても急落している印象の方が強く頭に残りやすいですが、実際にはリスク選好ムードが継続しているとみるべきでしょう。市場が強気というよりも投機色が強まっていると言った方が正しいのかもしれませんが、この日最も強く反応しているのは商品市場です。
現在の金利水準をめぐって米FRBの利上げ見通しが適正か、適正でないかという議論に市場が夢中になっている間に、その横では原油先物価格が+5%超で92ドル台まで急伸、さらに天然ガスも+8%超、さらには銅が+8%、アルミが+3.8%、ニッケルも+4.3%と三大非鉄金属が急動意し、金が+3.4%、銀が+7.6%、プラチナ+4.7%、パラジウム+4.1%と希少金属、産業用金属も軒並み大幅高となっています。
論より証拠、これらが示唆するのは米国のインフレピークアウトの再確認を促すのと同時に、ドル建て資産の急騰がすなわち近い将来における米ドル安転換を見越しての先回り買いが動き始めたという可能性です。足元における金融市場は、一見しただけでは非常に複雑な面が際立って難解に思えるかもしれませんが、その辺りは【先読みの近未来(スタンダード会員以上の方対象)】では詳しく解説してまいりました。実際にこれらはその中で推察していた将来のインフレ動向も含めて指摘してきた通りの展開になってきています。
一つだけ言えることは11月中旬~下旬のところにかけて、こうした市場の前兆がよりハッキリと金融市場を揺るがしていくこととなり、非常にボラタイルな展開が待ち受けているとみておいた方がよいでしょう。さらに年末までの米国株に関して考えますと、この波乱含みの11月が今後も米国と心中する覚悟があるかの重要な決断を迫られる最後のヤマ場になるとみておいてよいでしょう。
【日本株投資戦略】
世界同時株高で再び上値を試す展開、今年最も重要な一週間はじまる
前週末の米国市場では市場が注目した10月米雇用統計発表をうけてNYダウは乱高下、一時は高値32,611ドルまで上昇したのち、今度は31,938ドルまで急落して高安の日中値幅は673ドルと荒い値動きを見せました。その一方、この時の日経先物は我関せずといった具合にほぼ無風状態で推移し、引けにかけての米株持ち直しに合わせて上昇幅を拡大して取引を終えました。
注目すべきは週末の日経平均終値に対して280円程上昇したことよりも、米国株のボラティリティに対する感応度が極端に低かったことでしょう。これまでも日米株デカップリングの特徴はさまざまな局面で観測されてきましたが、米国株の動向に左右されることが少なくなったというのは見過ごせない事象です。とくに今後の年末に向けての展開ではこれが大きな意味を持ってくる可能性が高いと言えます。
また、日本株の独自要因としては前回解説しましたソフトバンクG(9984)とレーザーテック(6920)が連日大商いとなっている点に加え、その方向感についてが注目点であることに変わりありません。ソフトバンクGは引け後のニュースで、10/1付で子会社化したペイペイの再評価差益が2,948億円にのぼり、これを10-12月期決算に計上見込みである点と、さらには今後の上場計画について現状はまだ何も決まっていないとしながらも暗に匂わせる発言を行いました。
◆ソフトバンク宮川社長、ペイペイ企業価値は1兆円弱-上場向け準備中(2022/11/4)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-11-04/RKTCIMT0G1KW01?srnd=cojp-v2
ソフトバンクGは11/11に7-9月期の決算発表を予定しており、ここには上記ペイペイの収益計上がなされることはないという状況において、この材料を織り込みにいく株価が決算発表の前後でどのような高値形成をみせるのかが注目されます。ここから一段高となれば、日経平均への寄与度も大きい銘柄ですから日本株全体への追い風になるとみられますし、反対に大商いが大口にとっての利益確定の機会として利用されるのであれば、決算発表後の株価が値崩れすることになっても不思議ではありません。
また、一方のレーザーテック(6920)に関しましては、米国の半導体SOX指数が大崩れした11/3の翌日も反落の動きを見せつつ陽線を引いており、押し目買い意欲の高さを見せつけました。この辺りは他の半導体大手である東京エレクトロン(8035)やアドバンテスト(6857)などと比べて値保ちの良さが際立っており、11/4の米半導体SOX指数が+4.60%高と大幅急伸していることを好感して素直に上昇を見せるのかが注目点です。こちらも上値が伸ばせずに一段高に至らないようであれば、大口が利益確定で上値を抑えているということになり、上記ソフトバンクG同様に大口が売りさばいた後は他の半導体大手と同じくモメンタムを失うことになっても不思議ではありません。
日本株は前週末でだいたいの主力銘柄の決算発表が一巡して、今週は中小型株の決算発表が相次ぐこととなります。上記で挙げた代表銘柄のように個々の材料で株価の反応が大きくなりやすい局面と言えますが、この先は決算発表シーズンを終えて乱高下し始めた米国株のように外部環境に焦点が移っていきやすいということも念頭に置いておく必要があります。
そうした状況下で今週は早速8日(火)に米中間選挙が待ち構え、10日(木)には波乱含みとなりやすい10月米CPI(消費者物価指数)発表なども控えています。さらに週末は11月のオプションSQがあるとあって、相場が不安定化しやすいことも懸念されるところです。国際情勢などもこの週末に大きく激変しており、日米株デカップリングでボラティリティが抑えられていることに浮かれてばかりもいられない状況なのです。
そこで、日本株や中国株を大きく振り回す海外勢の動向などにも着目しつつ、本日の【先読みの近未来】では『米中間選挙目前!特別レポート[永久保存版]』として、これから起こり得るマーケットの真実、国際情勢の未来を余すことなく解説した盛り沢山の内容でお届けしたいと思います。市場の動向を読み解いて、確かな収益機会をしっかりモノにしていただくためにも、是非ともご一読ください。
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