【11/2日本市場の確認ポイント】
日経平均 27663.39(▲0.06%)[27,546~27,692]
TOPIX   1940.46(+0.10%)[1,933~1,944]
マザーズ 737.85(▲1.02%)[736~741]

値上がりセクターTOP5
1.鉱業(+2.76%)
2.鉄鋼(+1.51%)
3.農林・水産(+1.32%)
4.石油・石炭(+1.31%)
5.食料品(+1.30%)

値下がりセクターTOP5
1.精密機器(▲1.39%)
2.サービス(▲1.34%)
3.化学(▲1.27%)
4.電気・ガス(▲1.01%)
5.陸運(▲0.99%)

 祝日休場前の日本株は米FOMCイベントを控えていることもあって、それなりに手仕舞い売りが出やすい状況の中で健闘。前日の米国株安をうけながらもTOPIXはプラス圏のまま取引を終えました。東証プライムの騰落銘柄数は値上がり739/値下がり1019と全体に売り優勢ながら、決算材料で買われた銘柄が全体を下支えしました。

 決算で大幅高したソニーG(6758)は一時+10%超の大幅高となったことに加えて、パナソニック(6752)やSUBALU(7270)、TDK(6762)など円安メリットを差し引いても業績着地に健闘がみられる銘柄は高く評価され、その他にも商社株や鉄鋼株などバリュー株が見直される動きも同時に強まりました。

 一方で、東京エレクトロン(8035)やリクルート(6098)などグロース株の代表どころが軟調、ただしソフトバンクG(9984)は続伸で年初来高値を再び更新する動き。決算材料では花王(4452)やサイバーエージェント(4751)などが▲8%超の大幅安と物色の二極化が目立つ展開。決算材料で売られた東京電力(9501)はともかく、電鉄株などディフェンシブ株が総じて弱含みでした。マザーズも時価総額上位陣が冴えずに反落の動き、直近IPO株は活況と新興・小型株の中でも物色の明暗が分かれています。

【米国株概況】
米FOMCイベントを通過して米金利上昇、GAFAMに代表されるハイテクグロース株の嫌気売りが鮮明

NYダウ 32001.25(▲0.45%)[31,727~32,185]
S&P500 3719.89(▲1.05%)[3,698~3,750]
NASDAQ 10342.94(▲1.72%)[10,319~10,486]
ダウ輸送株 13200.7(+0.81%)[13,089~13,618]
半導体SOX 2292.9(▲1.53%)[2,259~2,330]
日経平均先物(CME) 27,255(▲1.39%)[27,170~27,400]
ドル/円 147.11~148.43(高値151.93:10/21、安値113.48:1/14)
日10年債利回り 0.246%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 4.184%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 88.02(高値123.68:6/14、安値76.25:9/26)
金先物 1632.00(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.4218(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)25.30(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 54(NEUTRAL:中立)
High Yield Bond (HYG)72.40(安値70.30:10/13)

 米国株は2日の11月米FOMCを通過して声明文がハト派の内容だったことから大幅高になった後、パウエル米FRB議長の会見が進むにしたがって値を消していき、記者の質問に対して市場期待を打ち消すタカ派発言を連発したことで一転、大幅安の展開となりました。

 NYダウは2日の米FOMC直後は33,000ドル目前に迫る場面があったものの、その後に32,000ドル台前半へと下落、3日は32,000ドルを割り込んで31,700ドル台に落ち込むなど短期間に▲1,200ドル超の値幅で下落しました。昨日は前日比で一時プラス圏に浮上する場面もありましたが、32,000ドル台を回復するのがやっとで節目の攻防に悪戦苦闘している様子が窺えます。

 一方、パウエル米FRB議長が利上げペース減速を示唆しながらも市場が望んでいる性急な利下げ転換期待は打ち消し、投資家は高金利環境が長引くとともにターミナルレート(最終到達点)が一段高となることを予想し、金利市場では短期債から長期債まで幅広く金利が上昇してこれを織り込む動きがみられています。

 ハイテク株主体であるナスダックは米金利上昇を嫌気して大幅安、とくにこの2日間で主力のGAFAMが軒並み急落して指数を押し下げました。GAFAMで唯一、下げ渋っていたアップルも3日の取引では▲4.2%安となり年初来安値に接近、すでに底割れしているアマゾンやアルファベット(Google親会社)、メタ(旧Facebook)に追従することとなっています。

 他方で堅調さを保っているのはボーイングをはじめとするオールドエコノミー株で、建機大手のキャタピラーやエネルギー株のシェブロンなどは逆行高を見せる展開。グロース株売り、バリュー株買いの物色傾向が鮮明なコントラストとなり、まさに10月下旬に指摘してきたバリュー株優勢の構図が浮かび上がってきた形となっています。

 米金利上昇をうけながら米ドル独歩高が再燃、11月中旬の総仕上げに向かっていく動きを見せ始めています。米ドル上昇によりドル建ての原油は上値が抑えられ、金は米金利上昇によって相対的な魅力が薄れて一段と売られる展開。

 ただし、リスク指標などは依然として平静を保っており、米FOMC前にWSJのニック砲などであらかじめ政策内容をリークして、ある程度浸透させていたことが奏功しています。ハイテク大手は先の決算失望売りとも重なって凄惨な売り圧力に晒されていますが、市場全体ではパニック売りには程遠い状況で米FOMCイベントを冷静に消化した印象です。

 今晩の米雇用統計や来週の米中間選挙と市場に影響を及ぼす重要イベントはまだまだ目白押しですが、米中間選挙ラリーは機関投資家にとっては絶好の利益確定の機会を提供するとみられ、この戻り高値圏での上げ下げはまだしばらく続く可能性があるでしょう。NYダウなどは下押しも浅いために再び上値を試しにいく場面がみられるかもしれません。

【日本株投資戦略】
投資家の物色意欲は依然旺盛とみられる中、米グロース株売りに動揺するかに注目

 祝日休場明けの日本株は2日、3日の米国株下落を織り込む必要があり、朝方は軟調スタートが予想される一方、主要企業の決算発表は続いているため個別株によって好悪材料が入り混じる展開となります。

 米国株や中国株が大きく乱高下しているのを横目に、意外と冷静に決算材料を消化しながら淡々と進んでいる印象です。休み前においても東証プライムの売買代金も3兆円超えとなっており、重要イベントが相次いで様子見ムードが強まりやすい時でもそれなりの活況さがみてとれるでしょう。

 米国株の値動きを消化して無難に週末を乗り越えることができれば、イベントを一つ一つこなしていきながら警戒感も和らいでいくことが期待されます。決算発表をうけて個別株の上下動は大きくなっていますが、異様な強さを発揮しているソフトバンクG(9984)や連日で大商いとなっているレーザーテック(6920)の動向がとりわけ注目されます。

 米国の半導体SOX指数が直近の高値から▲8%近く急落していますので、上記のような先導株が値崩れしてくるかどうかが重要な鍵となります。日経平均やTOPIXなどは今週で大方の主要企業決算が一巡してくるため、来週以降はどうしても外部環境の影響を受けやすくなっていきます。目先は11/11に控えるソフトバンクG(9984)決算発表あたりを境目にして、どこまで戻りの上値を伸ばせるかに注目しておきたいところです。

 他方で、来週は大型株と代わって中小型株の決算発表がピークを迎えてきます。これを前にしてマザーズ指数が高値圏より脱落している動きが気になりますが、個別株の材料物色は活況であることから投資家の意欲が削がれているようにはみられません。

 直近IPOのソシオネクスト(6526)やプラスゼロ(5132)あたりがどこまで上値を伸ばしていけるのか、旧来の新興グロース株においてはこうしたIPO株に物色資金が移りやすい環境で、米国のグロース株売りを見せられた投資家がどこまで踏ん張れるのかが見どころと言えるでしょう。

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