【10/27日本市場の確認ポイント】
日経平均 27345.24(▲0.32%)[27,330~27,450]
TOPIX 1905.56(▲0.66%)[1,905~1,916]
マザーズ 747.82(▲0.07%)[745~752]
値上がりセクターTOP5
1.鉱業(+1.33%)
2.電気・ガス(+0.57%)
3.石油・石炭(+0.47%)
4.機械(+0.42%)
5.医薬品(+0.30%)
値下がりセクターTOP5
1.銀行(▲3.06%)
2.海運(▲2.60%)
3.繊維(▲1.53%)
4.紙・パルプ(▲1.47%)
5.その他金融(▲1.35%)
日本株は前日の米国市場でハイテク大手の決算不調にナスダックが▲2%超の大幅安を演じながらも下げ幅は限定的なものに止まり、一定の下落耐性を示したと言えます。米金利低下をうけてグロース株も下げ渋ったほか、今週注目された為替の円高に対しても自動車株には逆風ながら全体としては底堅さを確認。
日経平均は4日ぶりの反落でしたが小幅安で済んだ一方、TOPIXの方が米金利低下をうけた銀行株の下落や自動車株の軟調など時価総額の大きいセクターが下げたことでアンダーパフォームしました。原油価格の急伸からエネルギー株が息を吹き返したほか、為替円安に対する処方箋として原発再稼働でLNG輸入の減少を促せるとの議論も深まってきており、東京電力(9501)が逆行高を演じています。
米金利低下を背景に新興・小型のマザーズ銘柄も堅調な出足でしたが、全体の上値の重さを意識してか引けにかけてはマイ転の動き。しかし、レーザーテック(6920)やソフトバンクG(9984)などの強さを見る限りでは、米ハイテク大手の急落に怯んだ様子はなく、グロース株全般にリスクオフの兆候は感じられず健闘したとみてよいでしょう。
【米国株概況】
米ハイテク株の総崩れでも市場センチメントは強気継続、各国中銀の金融引き締め懸念緩和が相場を強固に下支え
NYダウ 32033.28(+0.60%)[31,993~32,388]
S&P500 3807.30(▲0.60%)[3,803~3,859]
NASDAQ 10792.68(▲1.62%)[10,780~10,998]
ダウ輸送株 13369.1(▲0.43%)[13,337~13,616]
半導体SOX 2340.6(▲1.50%)[2,338~2,430]
日経平均先物(CME) 27,075(▲0.82%)[26,930~27,475]
ドル/円 145.11~146.93(高値151.93:10/21、安値113.48:1/14)
日10年債利回り 0.249%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.927%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 88.60(高値123.68:6/14、安値76.25:9/26)
金先物 1666.90(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.5405(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)27.39(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 57(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)73.98(安値70.30:10/13)
米国市場はハイテク大手の相次ぐ決算失望売りに狂乱状態となりながら、NYダウは続伸、S&P500とナスダックは続落となりました。
朝方発表の7-9月米GDPでは市場予想を上回る前期比年率2.6%増となり、個人消費も予想比上振れ、設備投資も堅調な値を示したことで、一応のリセッション(景気後退)懸念は回避されました。家計の弱含みに関しては事前想定どおりとも言え、米金融当局が気にしているPCE(個人消費支出)は+4.2%増、コアPCE(エネルギー、食品除く)は4.5%増にとどまり、インフレ高進への懸念が後退する形となっています。
前回解説しましたとおり、大手ハイテクが軒並み決算ミスに喘ぐ結果となる一方で、オールドエコノミー企業は反対に見直されてコントラストが際立つようになっており、NYダウはGAFAM一角のアップルやマイクロソフトなどの下落をキャタピラーやマクドナルドなどの上昇で相殺できています。
一方、ハイテク株主体のナスダックではメタ(旧フェイスブック)の▲25%暴落やアマゾンの▲4%、アップルの▲3%などの大幅安に引っ張られており、GAFAM神話の崩壊を象徴した下落に見舞われていることが一目瞭然です。決算発表前25日の株価を起点として、アルファベットが▲12%、マイクロソフトが▲10%、メタが▲29%、さらに現在の時間外含めてアップル▲5%、アマゾン▲25%とアップル以外は2ケタの下落をみせていることにより、ナスダックは▲3.7%の大幅安となっています。
ただし、米利上げ減速期待に伴う米金利低下を背景に、GAFAM以外の株価は概ね堅調なことからリスクオフにはなっておらず、リスク指標はVIXが30ポイント割れ、F&G指数もむしろGREED(貪欲)で投資家の楽観姿勢を示すなどしており、米国株全体での下落懸念とはかけ離れた状態と言えます。
この金融当局の引き締めスタンス緩和へ向けた市場の期待というのは、昨晩行われた欧州ECB理事会や前のカナダ中銀による予想外の利上げ幅縮小といった他の中央銀行における金融政策にも影響を受けているとみられ、これにはインフレ高進への懸念が和らいでいるということが考えられます。
これにしたがって米ドル独歩高に関しても一旦トーンダウンしているわけですが、それによって再び原油価格が押し上げられてきているほか、昨晩の欧州ECB理事会でのQT12月開始に言及がみられなかったことなどをうけて金融引き締めの手綱が緩められたとの見方が支配的であり、これでユーロがパリティ価格(1ドル=1ユーロ)から再び下落に転じたことなども考えますと、先々の懸念としてはまた金融引き締め強化のアナウンスが出されても仕方ない状況になりつつある、ということは頭に入れておく必要があります。
米国株に関してはこれまでの解説どおり、足元の決算をふまえた調整相場はともかくとして、株式も債券もここまでの間にリバランスも終えてくるとみられますので、目先、とくに11/2の米FOMC以降では米中間選挙に向けて再び上値志向を強めていくと考えには変わりありません。
【日本株投資戦略】
米ハイテク株急落の影響は限定的で押し目買い好機を演出、月末のリバランス時に照準
日本株に関しては上述した米国市場の変化もふまえつつ、目先は調整が入るものと思われますが、来週31日の月末にともなうグローバルポジションのリバランスを通過してしまえば、調整懸念も短期間に収束へと向かうものと考えています。
足元では企業の決算シーズン入りに伴い個別株での売り買いは交錯しやすい状況である一方、政府も前倒しで総合経済対策を打ち出すなどして相場への援護射撃を惜しみなく行っていると言えます。いわば政策的な株価下支えが効果を発揮するとみられ、国際情勢悪化の悪材料を打ち消すまではいかないまでも和らげるものとみられます。
◆経済対策の補正29.1兆円 電気代軽減など、政府28日決定(2022/10/27)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA272XV0X21C22A0000000/
とくにこの週末のところではウクライナ情勢や中国共産党大会を終えた中国と米国との間での緊張が高まってくることを懸念しつつも、この月末から11月初旬の米FOMC前後における相場下振れの場面は押し目買いの好機に映るものと考えます。
直近の企業決算においては元来、インフレによるコスト増や為替円安の深耕に伴う業績への影響などを注視してきましたが、それらを差し引いても日本企業の収益力は底堅さを確認できるものとなっています。世界的な金利上昇圧力がかかる中ではむしろ日本株のバリュー特性が活かされるものとなり、足元における米国GAFAMの株価急落や中国のハイテク株急落などに起因した逃避資金などは、回りまわって相対的な日本株優位の展開を形づくるものになるとみております。
前回も解説しましたように、今週は為替の円高テストで日本株のアンダーパフォームも懸念されるところでしたが、為替影響の大きい自動車株やエレクトロニクス株にしても直ちに売り浴びせられるという事態にはなりませんでしたので、ひとまず調整相場をはさむ程度だったとみてよいものと思われます。
この背景には為替テスト期間が終わればまたドル高基調に回帰するとの思惑が強いという面もあるのかもしれませんが、それはいずれ来月のところでひっくり返されることになるかと思われます。この辺りはまた時期が来た時に改めて詳しく解説することにしますので、目先は米国株同様、11/8の米中間選挙あたりに照準を合わせた上で、押し目買いする機会を窺っておくようにしましょう。
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