【10/20日本市場の確認ポイント】
日経平均 27006.96(▲0.92%)[26,872~27,092]
TOPIX 1895.41(▲0.51%)[1,886~1,899]
マザーズ 727.75(▲0.68%)[725~729]
値上がりセクターTOP5
1.空運(+1.65%)
2.鉱業(+1.65%)
3.銀行(+0.50%)
4.ゴム(+0.42%)
5.保険(+0.21%)
値下がりセクターTOP5
1.精密機器(▲1.90%)
2.ガラス・土石(▲1.63%)
3.海運(▲1.61%)
4.金属製品(▲1.49%)
5.非鉄金属(▲1.46%)
日本株は主要株式指数がそろって下落、日経平均は一時▲400円弱下げる場面がありながらも後場に下げ幅を急速に縮小して27,000円を回復して大引け。東京エレクトロン(8035)やファーストリテイリング(9983)など値がさ株の日経寄与度が大きい銘柄を中心に下落が目立ち大幅安でしたが、中国発のヘッドラインから持ち直す動きを強めました。
日本時間でも米金利上昇に歯止めがかからずNYダウ先物が軟調に推移、断続的な売り圧力が続いて東証プライムの騰落銘柄数は値上がり497/値下がり1250と弱含み。景気後退への懸念からとくに海運や金属など市況関連株、景気敏感株が売られやすかったとみられる一方、グロース株も朝方の軟調から中国の米国による半導体輸出規制に対策を講じるとの材料をうけて半導体株が買い戻され、レーザーテック(6920)は+3%超の大幅高と急伸。
新興・小型株のマザーズ指数は主力グロース株に弱含む動きがみられる中でも案外下げ渋ったといえ、直近で材料物色が活発な銘柄に資金が集中。ログリー(6579)、バンクオブイノベーション(4393)、PBシステムズ(4447)は2日連続ストップ高となり、同じくストップ高明けのコラボス(3908)も大幅続伸と快調に値を飛ばす展開。直近IPO後に初の陰線形成したソシオネクスト(6526)も続落商状から切り返して高値更新、ただし長い上ヒゲ形成と勢いに陰り。この日新規上場のビジネスコーチ(9562)は公開価格2,070円に対し、初値4,155円と2倍に上昇して寄り付いた後、結局ストップ安引けでなんとも後味の悪い船出になりました。
【米国株概況】
米金利上昇継続で4%台が恒常化、ドル円は150円突破、トラス英首相辞任で極短命政権に
NYダウ 30333.59(▲0.30%)[30,265~30,822]
S&P500 3665.78(▲0.79%)[3,656~3,736]
NASDAQ 10614.84(▲0.61%)[10,574~10,837]
ダウ輸送株 12429.6(▲2.55%)[12,419~12,801]
半導体SOX 2255.2(+0.78%)[2,240~2,320]
日経平均先物(CME) 27,020(+0.07%)[26,865~27,290]
ドル/円 149.55~150.27(高値150.27:10/18、安値113.48:1/14)【高値更新】
日10年債利回り 0.247%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 4.230%(高値4.243%:10/19、安値1.668%:3/7)【高値更新】
WTI原油 85.00(高値123.68:6/14、安値76.25:9/26)
金先物 1632.80(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.3990(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)29.98(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 40(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)71.80(安値70.30:10/13)
米国株は米10年債利回りが4.2%をつけるなど米金利上昇に歯止めがかからない状況で続落。昨日引け後にIBMの好決算やテスラの決算嫌気売りなど好悪材料が混在する中、NYダウは一時400ドル近く上昇する場面もありましたが、その後は軟化して前日比マイナスに転じました。
米金利市場の動揺がいっこうに収まらない中で株式も荒っぽい値動きが続きますが、同じく市場に混乱を巻き起こした英国では9月の政権発足から間もないトラス英首相が辞任を発表、後任にはボリス・ジョンソン前首相復活の声も挙がっています。
今週は米FRBメンバーのタカ派発言に米長期金利が上昇反応を示し、株価上値が抑えられています。一方、今週末には米FOMC前のブラックアウト(米FRBメンバーは米金融政策に関する発言禁止)期間入りすることで、米金利上昇には一服感が出て不安定な状況は幾分緩和されるとの期待があります。
また、昨晩は米20年債入札が行われ初の4%台を記録しましたが、米財務省はここ最近でコロナ禍での発行過多になった国債買戻しを検討しているとの報道もみられており、これによって米金利が安定に向かうようであれば市場の不安定な動き改善も期待できるようになってくるかと思われます。
◆米財務省、国債買い戻しの是非巡り大手銀に意見求める(2022/10/17)
https://jp.reuters.com/article/usa-bonds-buybacks-idJPKBN2RC027
◆米国債買い戻しプログラム、創設に向けた機運高まる-市場機能改善で(2022/10/18)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-10-18/RJX41KT0AFB401?srnd=cojp-v2
そうなりますとやはり来週は、米企業決算が本格化を迎えるにあたり、事前の業績悪化への警戒感から実際の決算内容を確認して業績面への不安が後退するかどうかが注目がされます。これまでの経過では過去に市場波乱を巻き起こしたネットフリックスやテスラなどの決算発表があり、テスラなどは時間外から▲6%超売られていましたが、昨晩はやや下げ幅縮小する場面もありました。この大きく足を引っ張ったテスラ大幅安をうけてもなお持ち直す動きを見せた米国株はある意味、市場の底堅い部分を示したようにも思えます。リスク指標もハイイールド債を除いて改善の方向へ。
ここから25日にアルファベット(Google親会社)、マイクロソフト、テキサス・インスツルメンツなど大手IT・半導体の決算、26日はメタ(旧Facebook)、ボーイングと続き、27日にアップル、アマゾン、インテル、キャタピラーなどがあり、28日にエクソン・モービル、シェブロンとエネルギー企業の決算と注目企業決算のオンパレードになります。これで実態を確認しながら業績悪化懸念を振り払うことができれば、株式市場は押し目買い好機から自律反発への期待感が再浮上してくる局面に入っていくでしょう。
とくに足元では原油先物市場がOPEC+による日量200万バレル減産合意による供給不足懸念と世界景気悪化観測からの需要減退予測が綱引きして乱高下しています。これだけドル高が進めばドル建てベースの原油価格は相対的に下押し圧力がかかって当然ですが、85ドル台に戻してきました。これにバイデン米政権は戦略備蓄の再放出を訴えて米中間選挙の逆風に抗おうとしていますが、この手の選挙対策は同時に株価対策にも通じることになるため、月末から選挙前の株価下押し場面はむしろ買い場とみてよいかと思います。
◆原油先物まちまち、供給不足懸念と需要減退予測が交錯(2022/10/20)
https://jp.reuters.com/article/global-oil-oct-20-idJPKBN2RF03A?il=0
◆バイデン氏、石油備蓄追加放出へ 中間選挙控えガソリン高騰対策(2022/10/20)
https://jp.reuters.com/article/usa-oil-biden-idJPKBN2RE1RF?il=0
【日本株投資戦略】
中国発の材料好感し株式市場は下振れ回避、日本株は経済対策の本筋投入に期待
昨日の日本株は【10/20日本市場の確認ポイント】で見たとおり、序盤から断続的な売り圧力に晒されていたところ一転して、後場は下げ幅を縮小して引けたほか、時間外の日経先物市場では27,300円に迫る動きを見せました。
日本株が突如として切り返した背景には、空運株の物色再燃や半導体株の買戻しなどに大きな反応がみられたことをふまえますと、下記の中国がらみのニュースが材料視されたものとみられます。とくにコロナ規制緩和や半導体関連の話は今の市場にとってホットトピックであり、これらが本日以降の景気敏感株を見直す動きにつながってくるかが重要なポイントになります。
◆中国当局、入国者のコロナ隔離期間短縮を議論-関係者(2022/10/20)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-10-20/RK1ATPT1UM0W01?srnd=cojp-v2
◆中国当局、国内半導体企業と緊急会合-米国の半導体輸出規制受け(2022/10/20)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-10-20/RK19BIT0G1KY01?srnd=cojp-v2
足元のマーケットにおける関心事は米金利上昇、それに伴っての米ドル独歩高、そして米FRBによる金融引き締めのターミナルレート(最終着地目標)などに集約されますが、これらによって企業業績や経済全体への影響を探っているところです。上述した米企業決算の途中経過をみるに、市場が懸念するほどには悪化していないという事実を確認して株価上昇といった反応(今のところ)で、案外底堅いという印象かと思われます。
日米ともにメインディッシュはこれからであり、足元の状況だけで大丈夫と決めつけることは早計ですが、とくに日本の場合は来週初めの日本電産(6594)の決算発表を皮切りに企業決算シーズン本格化するにあたり、これが目下、年初来安値の底値圏に位置している日本電産ですので決算をうけて買われるのか、売られるのか、はたまた売られた場合の下値としてどのくらい掘り下げて業績を織り込んだことになるのか、といった注目点が多々あります。
ただし、上記【米国株概況】や中国がらみのニュースを重要視するのであれば、世界経済全体としてみた時の景気悪化懸念に対してはかなりポジティブで、期待感を醸成するのは一時的であるにせよ足元の金融市場を下支えする要因となり得るものです。
日本株はちょうど日経平均もTOPIXも200日移動平均線(景気循環線)と、それぞれ27,000円、1900ptの節目を巡る攻防戦ですので、これをはさんで±3%程度のボラティリティで動くことを想定します。今後、来週の企業決算を順次消化していった先に、この27,600円~800円の価格帯を上抜けてくるようであれば、米中間選挙前の短期ラリーも期待できるものと思われます。
どこの国を見渡しても国政が不安定ですので、政治の迷走は国民としてはたまったものではありませんが、マーケットに主眼を置くだけであれば経済対策を講じて政策的な株価吊り上げ効果を期待する分には良い投資時期を迎えていると言えます。とくに国際情勢も乱れれば乱れるほどに国家管理相場の色合いは濃くなっていくとみられますので、ノイズ(市場の雑音)や一過性の乱高下に惑わされずに売買判断していく心構えが大事になってきます。
◆経済対策、膨張と未消化の連鎖 巨額予備費で拍車(2022/10/19)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA101EN0Q2A011C2000000/
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