【10/18日本市場の確認ポイント】
日経平均 27156.14(+1.42%)[26,910~27,229]
TOPIX   1901.44(+1.16%)[1,889~1,905]
マザーズ 733.40(+2.57%)[722~733]

値上がりセクターTOP5
1.精密機器(+2.65%)
2.サービス(+2.19%)
3.医薬品(+1.77%)
4.保険(+1.60%)
5.電気機器(+1.58%)

値下がりセクターTOP5
1.電気・ガス(▲0.10%)
2.鉱業(▲0.09%)
3.石油・石炭(▲0.02%)
4.紙・パルプ(▲0.01%)
5.なし

 日本株は安定さを欠きながらも27,000円を値固めしつつ、200日線の上値抵抗ラインとの攻防戦。引き続き米金利上昇と世界の景気後退懸念が重しとなる中でも10/3以降の上昇基調は継続しています。昨日はグロース株の反発が際立ち、代表株のリクルート(6098)が自社株買い好感で大幅高、エムスリー(2413)も+5%高となったほか、マザーズ指数も+2.5%と大幅上昇。

 朝方は日経+400円高スタートの寄り天からじわじわと押し込まれて上げ幅を縮小、一時は27,000の節目を割り込む場面を見せながら、10:30頃より徐々に持ち直す動きへ。前引け前には英中銀が国債買入停止からQT開始予定だった計画を延期するとのヘッドラインが流れて急速に切り返しました。後場は戻り一段高となって前場の高値を更新、終値はわずかに始値を下回り陽線形成とはなりませんでしたが、マザーズはほぼ高値引けとなりました。

 グロース株の強さが際立ったことは、決算発表のマネーフォワード(3994)をはじめ、Sansan(4443)やラクス(3923)など前日にきつめに売られた銘柄の一角が急伸した動きにも表れています。USEN(9418)やテラスカイ(3915)、UUUM(3990)などの直近決算組や材料物色のKLab(3656)、直近IPO後のセカンダリー相場も好調なソシオネクスト(6526)などからは地合いの良さが窺えます。

【米国株概況】
欧州発の金融危機懸念が後退して米株続伸、米企業決算は事前の厳しい見方をクリアして見直し買いも

NYダウ 30523.80(+1.12%)[30,301~30,837]
S&P500 3719.98(+1.14%)[3,686~3,762]
NASDAQ 10772.40(+0.90%)[10,670~10,972]
ダウ輸送株 12949.3(+1.15%)[12,838~13,145]
半導体SOX 2221.0(+0.42%)[2,183~2,296]
日経平均先物(CME) 27,095(▲0.35%)[26,910~27,310]
ドル/円 148.66~149.31(高値149.31:10/18、安値113.48:1/14)【高値更新】
日10年債利回り 0.249%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 4.007%(高値4.067%:10/18、安値1.668%:3/7)【高値更新】
WTI原油 82.82(高値123.68:6/14、安値76.25:9/26)
金先物 1657.50(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.4112(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)30.50(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 34(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)72.90(安値70.30:10/13)

 日本時間に流れてきた英中銀のQT(量的引き締め)開始時期は11/1~と正式発表されたことをうけて、一時の市場混乱が収束に向かうとの期待から欧米株も反発しました。

 米国株は取引開始時が最も高く、日本株同様に寄り天となった後にNYダウは高値から▲500ドルも反落する荒々しい値動きですが、今週末にSQが控えていることもありS&P500の3700pt付近では熾烈な攻防戦が繰り広げられているとみられます。

 米企業決算も悪化が避けられないと事前予想のハードルが下がっているのに対して、それなりに善戦する形で地合いの強さは保たれていると言えます。おそらく投資家は足元の反騰がベアマーケットラリーと思いつつも、乗り遅れて持たざるリスクを意識させられるのではないかとの警戒心から寄付で突撃しているフシがあり、直後の売り浴びせを食らってプットオプションを手当するといった動きが見て取れます。

◆激しい為替変動、北米企業の利益直撃-第2四半期に340億ドル押し下げ(2022/10/18)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-10-18/RJY7H4T0AFB601
◆ドル高による北米企業への打撃、第3四半期に一段と深刻化=調査(2022/10/19)
https://jp.reuters.com/article/usa-results-dollar-idJPKBN2RD1VO

 米国市場は大幅高した翌日も続伸となったことで、売り方はすでに半数近くの旗色が悪くなっている模様で、今週末のSQ算出までにもう一段の買い仕掛けがあればショートスクイーズ(売り方が踏み上げられる相場)が発生しやすい状況になっているとみられます。

 ただし、気に留めておきたいことは昨晩の米国市場でも軍事関連株が急伸したり、ウクライナ南部での報道ブラックアウト規制がしかれたとの噂も伝えられており、英国やスイスなど金融市場発の危機は一旦回避との見方ですが、今度は地政学リスクの再燃にも注意を払っておく必要があるかもしれません。

◆ロシア軍に広範な圧力、「状況緊迫」=ウクライナ戦総司令官(2022/10/19)
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-surovikin-situation-idJPKBN2RD1VQ

 とくに欧米、G7各国は12/5付でロシア産原油の価格上限設定に踏み切り、ロシアがこれらの国々には原油を売らないと警告していますから、これがまたあらゆる資源価格の高騰を引き起こし市場の波乱要因、企業にとっては根深いコストプッシュインフレの圧力にさらされる懸念などにつながる恐れもあります。

 大手ハイテク決算がいよいよ本格化してきますので、ここで米国株が浮上できないようだと年内、そして来年はますます苦しい立場に追い込まれていく、というのが米国株の置かれている現実でしょう。とにかく米国株はこの10月から11月前半のうちにどれだけ貯金を作っておけるかが大事になってくるかと思われます。

【日本株投資戦略】
乱高下続くも好調な地合いは健在、本格化する企業決算で今回注目するべきポイント

 日本株は指数や主力株が米国株など海外の動きに振り回されやすくなっている一方、見逃せないのは直近で決算発表の個別銘柄が非常に良い動きを見せている点。これは米国株も同じことが言え、売られている場面の印象では一見弱そうに見える相場かもしれませんが、実は大事な局面ではしっかりとした買いが入っており、地合いの強さは維持されています。

 昨日の英中銀の発表が日本の取引時間中のヘッドラインとして流れてきたのは意外ですが、結局はイギリスの混乱やクレディ・スイスの経営危機的な懸念も一種の市場ノイズとして消化され、まだまだ続報で騒がれそうでも市場ボラティリティの観点では織り込み済みといった扱いになっていくでしょう。

 足元では企業決算が始まってきて米金融株はJPモルガンに続いてバンク・オブ・アメリカなども株価が好反応、組織再編を発表したゴールドマン・サックスも上昇を強めて、金融株全般に見直しの動きが広がっています。

 さらに引け後に決算発表のネットフリックスも大幅高して日本のプレマーケットは先物が上昇しており、本日は10/6高値あるいは75日移動平均線の27,500円手前までのところを試せるかという場面。来週以降の企業決算が本格化する前に、ある程度は好地合いが継続することに期待したいほか、市場が軟化する前に出来るだけ貯金を作っておきたいところでもあります。

 とくに市場の注目度が高いのは今晩の米テスラの決算であり、米国グロース株のゆくえや、さらに中国景気を占う上で重要視されていると言え、おそらくは大幅増収増益の着地が予想されている中で、その予想に対しての株価反応が注目されます。

 もし足元のグロース株見直しや中国懸念の後退などでセンチメントが一段と改善すれば、来週の日本電産(6594)を皮切りにスタートしてくる日本企業の決算発表にも期待感が高まります。もちろん反対に出足でつまづいてしまいますと、決算時期の商いが手控えられることとなり、日経やTOPIXの上値抵抗ブレイクなど期待できなくなる恐れがあります。

 日本企業に関してはとくにこの7-9月業績をふまえて下期の見通しにこそ注目すべきところで、一時はインフレピークアウト期待が持ち上がったこの時期に、各企業が4-6月期と比べてどの程度新しい環境にキャッチアップできているかが試されているところになります。

 海外勢などは足元では決算真っ只中の米国株に熱い視線を注いでいるように見えますが、その実来年の本命としては日本株に照準を合わせている動きが顕著になってきています。為替の歴史的なドル高攻勢や派手な米国株のリバーサルの動きなどに目を奪われてしまうかもしれませんが、熱狂の集まるところには必ず落とし穴が用意されていることを忘れないでおきましょう。

◆ディスカバー・ジャパン 海外勢、「安い日本株」再発見(2022/10/17)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD14DN30U2A011C2000000/

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