【10/14日本市場の確認ポイント】
日経平均 27090.76(+3.25%)[26,595~27,180]
TOPIX   1898.19(+2.35%)[1,880~1,906]
マザーズ 715.58(+2.35%)[708~718]

値上がりセクターTOP5
1.精密機器(+4.20%)
2.医薬品(+3.46%)
3.その他金融(+3.17%)
4.卸売(+2.98%)
5.電気機器(+2.76%)

値下がりセクターTOP5
1.なし
2.なし
3.なし
4.なし
5.なし

 日本株は日経平均を中心に全面高商状、決算が好感されたファーストリテイリング(9983)が+8.4%の大幅上昇で、日経平均を226円押し上げています。そのほか第一三共(4568)が+6.0%、オリンパス(7733)が+5.3%と続き、セクター別には精密、医薬品、その他金融が+3%超の大幅上昇となりました。

 前日の米国株が底値形成から急反騰を見せた後でリバーサルはやはりグロース株の優勢が目立ちましたが、景気敏感かディフェンシブかで比較しますと景気敏感株の戻りがやや物足りなかった印象。TOPIXも+2%超の大幅高でしたが、米金利よりも今後の景気悪化懸念に市場目線が移った可能性を考えますと合点がいきます。

 マザーズも前日の下げ分を埋め戻して+2.3%高で25日線、75日線にからむ動き。米国株の値動きの荒っぽさを考えますと、リスク性の高い新興・小型株は忌避されやすいと言える中で、主力株の動きに追随できたことは評価できるでしょう。足元では大型IPO案件のソシオネクスト(6526)が順調な滑り出しを見せたおかげで市場環境はまずまずと言え、主力株、小型株ともに眼前の移動平均線、上値抵抗ラインとの攻防が繰り広げられるとみられます。

【米国株概況】
米株V字反騰後の急反落で逆N字チャート形成、ナスダックが終値ベースの安値更新、決算で明暗分かれる展開

NYダウ 29634.83(▲1.34%)[29,614~30,428]
S&P500 3583.07(▲2.37%)[3,579~3,712]
NASDAQ 10321.39(▲3.08%)[10,308~10,766]
ダウ輸送株 12503.4(▲1.89%)[12,491~12,896]
半導体SOX 2162.3(▲4.46%)[2,158~2,285]
日経平均先物(CME) 26,625(▲1.57%)[26,580~27,175]
ドル/円 147.08~148.88(高値148.88:10/14、安値113.48:1/14)【高値更新】
日10年債利回り 0.244%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 4.023%(高値4.031%:10/14、安値1.668%:3/7)【高値更新】
WTI原油 85.55(高値123.68:6/14、安値76.25:9/26)
金先物 1650.20(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.4055(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)32.02(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 21(EXTREME FEAR:極度の恐怖)
High Yield Bond (HYG)71.51(安値70.30:10/13)

 米国株はNYダウが30,000ドル回復も束の間、米金利上昇をうけてグロース株中心にリバーサルの動きが加速して急反落。NYダウはユナイテッドヘルスGやJPモルガンなど好決算銘柄の上昇が下支えするも、ナスダックは▲3%超の急落。ただし、前日の底値は死守しながら引けに間際にまとまった売り物が出て13日の終値を割り込んで引けています。ナスダックは終値ベースでの年初来安値を更新。

 主要銘柄ではアップル▲3.2%、アマゾン▲5.0%をはじめテスラ▲7.5%、とくに半導体株は総崩れでエヌビディア▲6.1%、AMD▲5.1%、ラムリサーチ▲7.5%、アプライド・マテリアルズ▲5.8%、ASML▲6.5%などSOX指数は▲4.46%、原油価格の▲4.0%下落をうけてシェブロン▲3.1%も大幅安となりました。

 相対的にNYダウは下げ渋ったと言えますが、それでもこの日の高値が30,428ドルでここからの落差では▲800ドル超の値幅が出ています。また、金融株でも決算が好感されたJPモルガンはプラス引けに対して、決算が嫌気されたモルガンスタンレーは▲5.1%と売り浴びせられており、これから決算本格化を迎えるにあたっては個別株の市場反応は極端なほどに明暗がくっきり分かれる可能性が高いと言えます。

 米国株が再び売り直された背景には、ミシガン大消費者信頼感指数で1年先の期待インフレ率が予想4.6%に対し5.1%と上振れ、5-10年先の期待インフレ率は予想2.8%に対し2.9%とこちらも上振れと市場のインフレピーク期待が剥落したことです。

 ただし、前日のCPI結果である程度予想がついたことでもあるだけに、どちらかと言うとここでようやくFRBターミナルレート(最終金利目標)が4.75%あるいは5.0%まで上昇し、米金利上昇に伴うテック株売りという構図であったとみられます。

◆米金利4.5─5%に上昇する「公算大」=SF連銀総裁(2022/10/15)
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-daly-idJPKBN2R91KG

 為替はCPI発表直後の日本為替介入の観測も取り沙汰された147円台後半も欧州時間からじりじりとドル高が進展しました。BOE(イングランド銀行)の買いオペ措置終了に伴う英ポンド安や利上げ打ち止め観測のある豪ドル安のほか、米国の小売、消費関連指標をふまえて米利上げ加速の期待が拍車をかけた形で148.8円まで急伸しました。

 米国株は前日の急反騰後における反動安と言ってしまえばそれまでですが、実際のところ前週は一週間を通してS&P500が終値ベース3600pt割れで低空飛行を続けている中に、イベントドリブンとして大きなボラティリティが投げ込まれた印象です。

 そんな米国株をフォローするわけではないですが、米FRBメンバーのデイリー総裁にしても年内あと2回で1.25%利上げというスタンスに変化なく、ジョージ総裁にしても政策の不確実性を抑えて慎重を期すべきと述べており、ハト派姿勢をにじませることによって市場の行き過ぎてしまう反応を制御しようとしているとみられます。

◆米FRB、慎重な利上げ必要=カンザスシティー連銀総裁(2022/10/15)
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-george-idJPKBN2R91RN

 つまり、高金利政策を続けながら市場の流動性も担保し続ける公算が高く、これはインフレ退治に本気でないともとれますが、同時に市場への最大限の配慮とも言えるものです。要するに、利上げのやり過ぎと米国経済のオーバーキルはやらない(今はやらないというだけかも)というのが米FRBの基本スタンスと言えます。とすれば、年内あと1回は米中間選挙の前後で大きめのラリーが起こる可能性があるかもしれません。

 米国はかつて1980年代にも同様のインフレ危機に見舞われました。当時のボルカ―FRB議長は超高金利政策でインフレ退治に邁進するも執拗なインフレ圧力はなかなか収まらず、やがて現在のようにドル高が世界経済を蝕んで邪魔をしてきました。
 そこで歴史的にも有名なプラザ合意で人為的なドル安政策を断行し、通貨価値を半減(借金を棒引き)させた上で、最終的に日本の平成バブルにもっていったという偉大なる教訓があります。
 金融市場は形を変えながらも同じことの繰り返しですので、過去のお金の歴史を振り返ってみると市場への理解が深まるでしょう。(⇒『まねまねコラム ~お金のルール変更と歴史編~』を参照)

【日本株投資戦略】
相場の乱高下に動揺する必要なし、ただし決算プレイの注意点は要確認!

 米国株のジェットコースター相場に振り回されそうな日本株ですが、今週はむしろ中国の動向を横目に監視しつつ上値を試す時期とみられます。前週末の日経平均が上述したファーストリテイリング(9983)の急騰で引っ張り上げられたことと、その夜の米国市場で半導体株が大きく売られたことから東京エレクトロン(8035)がこれに引きずられる懸念を考慮しますと、この2社の動向次第で日経平均は大きく揺さぶられることになります。

 ただし、個人投資家にとってはこうした値がさ株を手がけている割合も少なく、指数の上下動よりも個別株の値動きの方が重要になります。そうした点においてはやはり関心が高くなるのは来週から始まる企業決算シーズンであり、足元でも決算発表前に業績修正するリリースが増加しています。

 週末の無料配信『まねまねコラム』でも第27回は「決算発表と売買テクニック」をテーマに書いておりますので、決算時期を迎える前にお読みくだされればと思います。それにしたがえば、この時期は投資家の期待先行や思惑交じりで相場の変動が大きくなりやすいわけですが、今週から来週いっぱいのところは積極的に決算プレイを狙うというより相場の乱高下を利用して下値を拾っておきたい局面になります。

 とくに足元では中国時間が始まると同時に相場の急変動が起こりやすくなっており、元々10時過ぎというのは機関投資家の売買による影響が強まりやすい時間帯ではあるものの、先週は決まって上値が重くなっていました。これは必ずしも売られるというわけではありませんが、この時間までは市場の方向性を決めつけるのは早計ともいうべきで、とくに売買するつもりが無くても朝方の寄付、10:30、後場寄り、14:00、引け前の動きくらいはそれぞれチェックしておいても良いでしょう。

 そして、今週の上値テスト、来週の下値テストをある程度こなしたら米中間選挙ラリーが生じるかというのが焦点になってきます。日本企業の場合、ここで業績修正を出す可能性よりもまだ世界の不確実性を理由に温存する可能性の方が高いと思われますので、無理に先回り買いするよりも来週後半まで引き付けてから買う戦略も有効かもしれません。

 ただそう言っているうちにどんどん下値を拾われてしまう可能性もあり、ポイントになるのは次のラリーが再び政策的な株価吊り上げが起こる可能性が考えられることです。米国にしても米中間選挙はとてもお金がかかるので市場ボラティリティが大きくなっているわけで、この政策的な国家管理相場という場合にはファンダメンタルや先の景気見通しなど関係なく株価上昇が起こりますので、ヘッドラインニュースのノイズに惑わされないように注意すべきでしょう。

◆自公で経済対策大枠の方向性確認、来週に策定本格化=岸田首相(2022/10/14)
https://jp.reuters.com/article/japan-kishida-idJPKBN2R9109

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