【10/13日本市場の確認ポイント】
日経平均 26237.42(▲0.60%)[26,237~26,408]
TOPIX   1854.61(▲0.77%)[1,854~1,866]
マザーズ 699.13(▲2.03%)[698~714]

値上がりセクターTOP5
1.鉱業(+0.96%)
2.ゴム(+0.36%)
3.海運(+0.31%)
4.農林・水産(+0.30%)
5.輸送用機器(+0.09%)

値下がりセクターTOP5
1.空運(▲2.86%)
2.サービス(▲1.73%)
3.電気・ガス(▲1.48%)
4.陸運(▲1.28%)
5.不動産(▲1.44%)

 10月ミニSQを前日に控えた日本株は3日続落で、日経平均は26,250円を割り込んで安値引けとなりました。ただし、前日に年初来安値を更新した東京エレクトロン(8035)やSCREENHD(7735)など半導体製造装置の大手は寄付き後から自律反発を見せて+2%近い上昇、その一方、底割れして下落を主導したのはダイキン工業(6367)や日本電産(6594)などでした。

 前日の米国株も年初来安値圏で底割れ回避したこともあり、自律反発狙いの買いが見込まれるところでしたが、先月の米CPIショックの残像もあってか様子見ムードが強く、時間の経過とともに全体的に売り圧力が広がり、ジリジリと下値を掘り下げる展開でした。

 直近で年初来高値を更新していた経済再開期待のJAL(9201)やANA(9202)、髙島屋(8233)などの百貨店株が値を崩したほか、日揮(1963)や千代田化建(6366)などプラント関連、丸紅(8002)などの商社株も直近の下げ幅としては大きくなっています。そんな中、新興・小型株のマザーズ指数は▲2%超の下げで節目の700ptを割り込む動きを見せました。

【米国株概況】
NYダウの日中値幅は1500ドル超、9月米CPI後の急落を見た後にV字反騰の切り返し、ショートスクイーズを巻き込み大幅高に

NYダウ 30038.72(+2.83%)[28,660~30,168]【安値更新】
S&P500 3669.91(+2.60%)[3,491~3,685]【安値更新】
NASDAQ 10649.15(+2.22%)[10,088~10,697]【安値更新】
ダウ輸送株 12727.9(+0.87%)[12,172~12,840]
半導体SOX 2263.2(+2.94%)[2,089~2,299]【安値更新】
日経平均先物(CME) 26,790(+2.17%)[25,860~26,830]
ドル/円 146.51~147.65(高値146.96:10/13、安値113.48:1/14)【高値更新】
日10年債利回り 0.243%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.950%(高値4.011%:9/28、安値1.668%:3/7)
WTI原油 89.10(高値123.68:6/14、安値76.25:9/26)
金先物 1671.00(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.4650(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)31.94(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 24(EXTREME FEAR:極度の恐怖)
High Yield Bond (HYG)71.74(安値70.30:10/13)【安値更新】

 事前段階から注目度の高かった9月米CPI(消費者物価指数)発表で、米国株は急落し主要株式指数は軒並み年初来安値を更新しましたが、ほぼ寄り底となった後は目を見張る程の切り返しを見せてNYダウは前日比+3%超の急反騰、日中の高安値幅は1500ドルを超えました。

 S&P500も節目の3500ptを一時割り込みましたが、その後は11セクター全てが上昇する急反発となり、特に上昇が大きかったのは金融+4.1%、エネルギー+4.0%、IT+3.1%と今週の下げ分をまるっと包む大陽線を形成しました。

 CPI発表直前まで警戒感が強まっていた分、下落ヘッジで空売りを溜め込んでいたポジションが逆回転し、オーバーヘッジのショートカバーが炸裂して強力な反発ラリーとなりました。最安値圏での3日連続陰線を包み込む陽線出現で、S&P500は3600pt台を回復したあたりから上げ幅を拡大させていくとともに、売り方が降参してショートスクイーズ発生につながったものとみられます。

 9月米CPIは前月比、前年比ともに市場予想を上回り、変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数も前年比6.6%増と記録的な伸びが確認されました。これを受けて米FRBが積極的な利上げ政策を継続するとの懸念が強まった一方、米金利は長期金利が4.08%まで急伸しましたが9/28の年初来高値を超えることはなく、株式・債券ともにイベント通過で買戻しの動きが強まったと言えます。

 とくにCPIショックはこれまで度重なる株価急落を演出してきたことで、空売り主体のショート筋や機械売買のアルゴリズムが事前にリスクオフを織り込んできたこともあり、カバーラリーにつながりやすかった点と、S&P500の3500pt近辺のテクニカルサポートから買い出動した投資家も多く参戦したとみられる大商い(出来高急増)になりました。

 他方で、為替市場はドル円が一時32年ぶりの高値147.6円まで急伸したほか、CPI直後の急激な円安進行が突如として1円超の急落で円高に振れた瞬間もあり、市場内では日本が再び為替介入したのではないかとの観測も流れました。

 また、米債券市場では10年債利回りなどは4.0%近辺で上昇一服感がみられるも、インフレ継続への懸念から米利上げを見越して2年債利回りは高止まりしており、4.46%と2008年10月以来の高水準をつけています。

 来週は米国のSQが週末に控えているため、それまで昨晩のカバーラリーが継続する可能性を残しており、米金利の動向次第でハイテクグロース株の買戻しが優勢となるか、あるいはエネルギー価格上昇によってインフレ懸念が深まって株価の重しとなるかを見極めていくことになるかと思われます。

【日本株投資戦略】
米CPIイベント通過で急転回の株式市場、為替動向も注視しながら日経27,000円台回復を期待

 日本株は昨日の半導体株に底入れの兆しを確認できたことで、米国株同様に来週にかけて戻りを試す動きが強まるものと考えられます。日経平均は東京エレクトロン(8035)次第とも言えますが、為替の円安基調が強まっていることもあり、TOPIXに影響の大きい自動車株、エレクトロニクス株の自律反発や、米金利上昇をうけた銀行株の動きなど時価総額上位銘柄の動きを中心にみていくこととなります。

 ひとまず米CPI確認で米2年債利回りが4.5%に接近したということは、米FRBの年内上限金利と近似した水準ですから、米金利上昇の織り込みがある程度進んだことを意味することにもなります。米金利の上昇に歯止めがかかってくれば、グロース株を中心に自律反発が起こりやすくなり、企業決算シーズンと相まって短期ラリーにつながる可能性は十分にあると思われます。

 目先はまず来週どこまで戻せるかが焦点になると考えられ、さらにそこから再来週の欧州ECB理事会、日銀金融政策決定会合にかけてのところで市場波乱が持ち出されるかどうかを注視していく必要がある場面です。

 とくに昨晩の為替市場観測では日銀・財務省が2度目の為替介入に動いたのではとの憶測も広がっていることから、実際にどれほどの規模感で実施したのかなどが出てくれば警戒感につながって急速に円高に振れてくるといったこともあるかもしれません。株式市場にとっては、その円高局面で下落するのか、一定の耐性を示しながら上昇するのかを見極めていかなければならない重要な場面と言えます。

 それらとあわせて、再来週からは24日の日本電産(6594)を皮切りに企業決算シーズンが本格化してきますので、マクロ環境の悪化要因と企業の業績期待要因とで綱引きする展開を想定しつつ、メリハリをもって投資していく姿勢が大事になってくるかと思います。

 少し先走りして11月後半の展開についてばかり書きましたが、目先来週にかけてのところでは市場の動きとは別に週末の中国共産党大会が開かれることに注目しておかなくてはなりません。足元では米国が対中敵視政策で半導体製品に輸出規制をかけるなど挑発を強めており、中国側はこの共産党大会を控えているためにあまり相手にしていませんが、これを通過して権力基盤が確立されてくると対米姿勢を硬化させてくることも考えられます。

 そうなった際に、2018年パターンで米中対立の激化から企業業績やサプライチェーン寸断の懸念などが広がってくるといった余計なリスクも変数として考えなくてはいけなくなります。来週をきっかけにして再来週、そしてその先へと地政学リスクが段階的にどのように市場に影響を及ぼすのかも注意深くみておくのがよいでしょう。横やりのリスクが炸裂したとしてもあらかじめ想定しておけば、市場の急落を押し目買いのチャンスとして活かすこともできることと思います。

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