【10/11日本市場の確認ポイント】
日経平均 26401.25(▲2.64%)[26,369~26,759]
TOPIX 1871.24(▲1.86%)[1,867~1,888]
マザーズ 716.87(▲1.15%)[715~722]
値上がりセクターTOP5
1.空運(+2.24%)
2.海運(+0.67%)
3.陸運(+0.26%)
4.電気・ガス(+0.17%)
5.銀行(+0.04%)
値下がりセクターTOP5
1.農林・水産(▲4.74%)
2.精密機器(▲4.23%)
3.電気機器(▲3.89%)
4.機械(▲3.33%)
5.化学(▲2.57%)
3連休明けの日本株は大幅安スタート、米雇用統計をうけた米FRBの積極利上げ観測、米金利上昇が止まらず日本の取引時間で米10年債利回り4.0%突破に加えて、10:30以降の香港や台湾などアジア株安が下落に拍車をかけました。
半導体株の軟調をはじめ、日経平均を大きく押し下げたのはやはりファーストリテイリング(9983)で、引けにかけて下げ幅を拡大、さらにネガティブ報道のあった日本電産(6594)が一時▲10%超の急落となり、決算で業績下方修正を発表した安川電機(6506)の影響も設備投資関連全般に波及しました。
株式主要3指数の下落率を見比べても分かるとおり、日経平均の下落が突出しており主力の値がさ株中心に売られたほか、米金利上昇を警戒の割にはグロース株売りがやや小甘い状況。東証プライムの騰落銘柄数は値上がり211/値下がり1594で、日経平均が▲2%超の下落となった割には個人投資家の被弾は少ない模様。ただ、大陸系の売りが主体であるとすれば、今週いっぱいはまだ断続的な売り物が出てきやすいことに留意しておきたいところです。
【米国株概況】
米金利が一段と上昇してハイテク株売り進む、下値模索の展開続く中でダウ輸送株は下げ渋りの兆候も
NYダウ 29239.19(+0.12%)[29,074~29,608]
S&P500 3588.84(▲0.65%)[3,568~3,640]【安値更新】
NASDAQ 10426.19(▲1.10%)[10,351~10,608]【安値更新】
ダウ輸送株 12539.8(+0.03%)[12,409~12,692]
半導体SOX 2218.5(▲2.50%)[2,188~2,262]【安値更新】
日経平均先物(CME) 26,350(▲0.30%)[26,275~26,725]
ドル/円 145.42~145.89(高値145.88:9/23、安値113.48:1/14)
日10年債利回り 0.249%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.945%(高値4.011%:9/28、安値1.668%:3/7)
WTI原油 88.59(高値123.68:6/14、安値76.25:9/26)
金先物 1673.20(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.4205(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)33.63(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 18(EXTREME FEAR:極度の恐怖)
High Yield Bond (HYG)71.46(安値70.94:10/10)
米長期金利が再び4.0%台をつける中でハイテクグロース株売りが継続、ナスダックが連日での年初来安値更新のほか、S&P500も9/30以来の安値更新となりました。いわゆる米国を代表する成長企業が売られているだけでなく、新安値をつけている銘柄が1,300超にも達しています。
なかなか底入れが見えない米国株ですが、この日のNYダウは5日ぶりに反発。製薬大手のアムジェンがアナリストの投資判断引き上げを手がかりに急伸したほか、小売大手のウォルマートも堅調に推移して指数押し上げに貢献しました。9/30の底値に接近していますが、なんとかサポートラインの土俵際で粘っている状況です。
とは言ってもまだ底値圏での出来高が全然膨らんでいないため、アク抜けには程遠い状況と言えますが、この先の展開で期待されるのは米CPI発表後の米企業決算です。米FRBの利上げ動向に対する関心が集まりやすいのは今更言うまでもないことですが、株価底入れという点に関しては今週末から本格化する主要な米企業の決算発表で、各企業が投資家の手替わりを促すくらいに出来高が膨らむかの方が重要になってきています。
足元では主要株式指数が軒並み年初来安値を更新してきている中で、リスク指標のVIX指数などは30ポイント台に乗せてはいるものの、2月のロシアによるウクライナ侵攻時ほどには届いておらず、同類のSKEW指数などもほとんど無風状態です。以前も指摘しましたが、これらは投資家が比較的冷静にポジションを整理できている、あるいはプット・オプションなどでヘッジするというより現物株自体を処分している可能性も考えられます。
相場サイクルで言えば、米FRBの利上げスタンスが徐々に市場に浸透してきたことで逆金融相場の真っ只中にいるのが現状とみられ、おそらく今回もしくは次回の企業決算では業績悪化懸念を株価が織り込む過程で逆業績相場へとローテーションが進むことになるでしょう。
直近で米金融大手JPモルガンの有名なジェイミー・ダイモンCEOが、さらなる一段の株安と米景気のリセッション入りの可能性について言及しました。株式市場ではおよそこの6~8カ月ほど先の見通しを織り込むと言われますから、やはりこの10~11月が金融市場にとっての大きなヤマ場であるとみてよいでしょう。ここでいかに荒波のリスクをコントロールしながら適切なペース配分でポジションを作れるかが重要になることと思います。
◆米、6─9月後にリセッション入り JPモルガンCEOが警告(2022/10/11)
https://jp.reuters.com/article/jpmorgan-recession-idJPKBN2R51J5
【日本株投資戦略】
昨日の日経26,500円割れからさらに低下、日経平均の下落と個別株の強弱は別個に考えたい局面
3連休明けの日本株は日経平均26,500円割れとこの連休中の安値を更新してきましたが、下落を引っ張ったのが主力の値がさ株を中心とした指数下げでしたので、個人投資家の多くが体感ベースではそれほどポジションが痛んでないように思えたかもしれません。
昨日は10:30頃を境ににわかに売り圧力が強まった感じでしたので、おそらく中国系の金融資本による資金移動がこの一因にあると考えられますが、昨晩の米国市場でも3:00過ぎ頃から急落してNYダウですと▲300ドル近く下げてました。これも英中銀のオペ云々の表向きの話よりも欧米の国際金融資本によるグローバルなポジションの整理が背景にあるものと推察されます。
したがって、来年の世界景気後退などを見越してファンドや年金なども活発にポジションのリバランスを行っている最中かとは思いますが、おそらく当塾での見立て通りであればグロース株からバリュー株へのシフトがより鮮明になってくるものと考えられます。
また、その過程においてグローバルな主要プレーヤーの交代を伴うものであれば、ヘッジファンドの破綻や解約売りなどで問答無用でのポジション手仕舞いや大胆な入れ替えなどが生じても不思議ではなく、それは10月中旬および11月中旬にまとまって出てきやすいかもしれません。
しかし、そこはむしろ買い場としてみておくべきところで、年末ラリーの仕込み場としても市場下落を有効に活かしていきたい場面になってきます。米国株にしても日本株にしても11月前半は大きく切り返すことが期待できそうな状況で、昨日一様に売られた国際優良株などが決算発表をきっかけに出直ってくる期待値を考えれば、十分にリスクテイクする価値があると思われます。
昨日の日経大幅安を演出したのは、ファーストリテイリング(9983)や東京エレクトロン(8035)などが後場にかけてジリジリと軟化していることから、市場全体が弱含んだというのは単なる印象に過ぎないものかもしれません。指数はこうした寄与度の大きい銘柄が下がればその分下落幅も大きくなりますし、日経平均ルールも10月の見直しをきっかけに徐々にこの偏りも是正されていく過程ということになります。
また、各個別の銘柄をよく見てみると、日経平均の安値をつけた時間帯と個別株の安値をつけた時間帯では大きく違っており、足腰がしっかりしている銘柄は前場取引の早々に安値を叩いて、その後は堅調に値戻ししていたりします。
したがいまして、日本株も米国株同様に指数寄与度の大きい銘柄に振り回されやすい展開と言える中で、指数の強弱は必ず寄与度の大きい銘柄の動きを確認して、理由を明確にしながら相場の強弱感を計るとよいでしょう。たとえファーストリテイリング(9983)などが重しになって指数が弱くても、あまり影響を受けない個別株であれば逆行高で上値を伸ばしていく展開も十分にあり得ます。
先ほどは国際優良株の出直り期待について言及しましたが、国際情勢の不透明な状況が解消に向かうまでにはもうしばらく時間を要するかと思います。であるならば、日本国内でビジネスが成立する内需株を中心に、有名な一流企業でなくとも個別株の興味・視野を広げて物色の対象を少し拡げてみるのもよいかと思います。ただし、銘柄数が増えて管理しきれなくなるくらいにまで手を広げ過ぎるのは危険ですので注意しましょう。
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