【10/6日本市場の確認ポイント】
日経平均 27311.30(+0.70%)[27,137~27,399]
TOPIX   1922.47(+0.50%)[1,914~1,930]
マザーズ 735.25(+1.18%)[725~737]

値上がりセクターTOP5
1.鉱業(+2.09%)
2.電気機器(+1.38%)
3.海運(+1.28%)
4.不動産(+0.96%)
5.卸売(+0.81%)

値下がりセクターTOP5
1.電気・ガス(▲1.10%)
2.食料品(▲0.29%)
3.小売(▲0.23%)
4.精密機器(▲0.06%)
5.なし

 10月に入り負けなし4連騰で日経平均は200日移動平均線に到達、27,000円台の定着に向けた動きが強まっています。6日は半導体株の物色が際立ち、東京エレクトロン(8035)はじめアドバンテスト(6857)、レーザーテック(6920)など主力のほか周辺銘柄も含めて反騰攻勢を強めました。

 また、材料系ではOPEC+会合の原油大幅減産からエネルギー株のINPEX(1605)などが強含みに加え、みずほFG(8411)による楽天証券への出資報道から楽天G(4755)が底値圏から上放れの動きがみられています。引き続きインバウンド期待で三越伊勢丹HD(3099)や朝鮮半島情勢の不穏な動きを背景に防衛関連株にも散発的な買いが入っています。

 足元にモメンタムの強さも感じさせつつ、1つ気になるのは出来高の推移がやや失速気味な点です。この先は週足でも本格的な抵抗ラインが控えていますので、3連休前および米雇用統計前という特殊な日柄事情を割引いて考えますと、本日よりも連休明けの立会でどれだけ出来高を膨らませて上値トライできるかが重要な見どころになると言えます。

【米国株概況】
急ピッチ上昇にブレーキかかりスピード調整、米経済指標にらみで米金利が上昇再開、インフレ懸念が再燃するのも時間の問題

NYダウ 29926.94(▲1.15%)[29,859~30,329]
S&P500 3744.52(▲1.02%)[3,739~3,797]
NASDAQ 11073.31(▲0.68%)[11,051~11,230]
ダウ輸送株 12838.8(▲0.11%)[12,774~12,959]
半導体SOX 2508.8(▲0.59%)[2,502~2,563]
日経平均先物(CME) 27,025(▲0.97%)[26,985~27,395]
ドル/円 144.35~145.13(高値145.88:9/23、安値113.48:1/14)
日10年債利回り 0.244%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.828%(高値4.011%:9/28、安値1.668%:3/7)
WTI原油 89.02(高値123.68:6/14、安値76.25:9/26)
金先物 1719.90(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.4375(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)30.52(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 28(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)73.01(安値71.02:9/27)

 米国市場では経済指標結果から米金利の動向が揺れており、とくに雇用指標に対して敏感な反応をみせています。今晩の米雇用統計がいわば本戦になるわけですが、直近の米FRBメンバー発言からは利上げ見通しに対して、次回11月米FOMCで0.75%、さらに12月会合で0.5%の利上げで、2022年末の政策金利4.5%着地を示唆しています。これは前回解説の年末4.25%→4.50%へと実質的に米金利の上限が切り上がったとみてよいでしょう。

 市場内では足元で経済指標の弱含みの方がかえって好材料に受け止められやすい地合いと言えますので、今晩の9月米雇用統計や来週の9月PPI(生産者物価指数)、9月CPI(消費者物価指数)、9月小売売上高、10月ミシガン大消費者信頼感指数も市場予想を下振れる方が米FRBのタカ派姿勢に変化を促すことを期待していることでしょう。

 しかし、米金利上昇は原油価格が急反騰している足元の状況から、今後のインフレ圧力が高まる懸念が再燃してくることも同時に織り込んでいかなくてはならない以上、これは致し方ないことです。つまり、いくら市場が米経済指標に神経質になるにせよ、そんなことお構いなしに金融当局者が金融引き締めの手綱を緩める可能性は低いというのが当塾の一貫した見方です。よって、足元の株高が続くのも9月CPI発表までが良いところで、インフレピークアウト期待は次第に分が悪くなっていかざるを得なくなると思われます。

 さらに、来週末の小売指標は米個人消費の強弱を表すもので、この時期は年末商戦の好不調にも大きく関係してくるものになります。いつまでも経済指標悪化を喜んでいると、いつの間にか米景気全体の悪化が懸念されるようになり、米金利低下はそのまま米経済のハードランディングを警戒する動きに直結してきかねません。
 その時、仮に米金利水準が低下していても米ドル高の環境が続いている場合には、米企業業績への悪影響だけでなく新興国経済への下押し圧力で再び世界同時株安を誘発しかねない状況となるので注意が必要です。

 米国株においては来週末から決算発表シーズンが始まってきますので、ここまでにどのくらい戻りの上値を試せるかにもよりますが、S&P500で4,000ptまで届けば十分といったところかと思います。その間にロシア-ウクライナ情勢で一段の緊迫化や共産党大会を乗り切った中国との相剋が再び強まってくるかと思いますので、10月後半は市場を乱高下させる変数が多くなり、同時にノイズも増えるはずです。

 一般的な市場解説で取り沙汰される表向きの材料よりも、本質的には年金勢やグローバルマクロのヘッジファンド勢が11月の米中間選挙前にポジションを大きくリバランスしてくる需給要因が重要になってくると考えられます。よって、ハイテクグロース株の騰勢が続くのはあくまでも決算発表前までと割り切っておいた方がよいでしょう。一方では、原油価格や資源価格上昇からインフレ圧力が再び強まってくる流れから、バリュー株優位の展開に切り換わる物色内容の変化にも目を向けておくべきでしょう。

【日本株投資戦略】
指数は戻り一服で個別株の物色が二極化していく場面、需給面の優位性を確認して強い銘柄のみに集中

 日本株は前回指摘した反騰目安の日経平均が200日移動平均線(27,316円)、TOPIXは1920ptの水準に到達してきたことで目先目標には達成感、次の展開では節目27,000円台の定着を目指して買い方と売り方が攻防戦を繰り広げます。

 上述しましたように、今晩の米雇用統計を皮切りに米経済指標で米国市場が揺れ動きますので、来週は上値を追いかけるというよりも市場が下振れした時の押し目買いの強さを測りながらの相場になると思われます。要するに、日経平均やTOPIXの指数上昇は上値が重くなりやすいため、個別株の局地戦に変わっていくことを前提に見ておくべきです。

 昨晩の米国市場では続落で足元の急ピッチな上昇にブレーキがかかり、スピード調整の段階に入っています。ここから空売りを誘い込みつつ、もう一段の踏み上げを狙ってくる可能性を考慮しつつ、個別株では需給面から選別物色が強まってこぼれ落ちてくる銘柄も散見されてくると思います。
 
 直近の【まねまねコラム(10/2号)】では株価チャートの移動平均線を用いて売買タイミングを計る具体的な見方について述べておりますが、この中で応用編として移動平均線のパラメータを任意に設定する方法を解説いたしました。足元の相場では9/13、あるいは8/17で戻り天井を記録していますので、これを下げの起点とするとそれぞれ16日、35日となります。この期間における移動平均線を上回っている個別株は需給面で優位、下回っていれば需給面で劣後していることになります。

 もちろん前回の【日本株投資戦略】で解説しましたように、指数の上値が重くなり始めたらセクターローテーションに移行してくるという段階ですので、景気敏感株と鈍感株では戻りの強さに違いがあって然るべきです。しかし同業種間で見比べてみると、セクターの一番手銘柄がグングン上値を伸ばしているのか、あるいは後続銘柄が戻り余地の大きさから上昇率が大きくなっているのか、など多くの判断材料が得られるかと思います。

 相場の特徴としては、すぐさま下落トレンド再開というよりも一旦ここで揉み合いになりやすいと言えますので、個別銘柄の強弱感がはっきりと分かれやすい時期です。上記の移動平均線における期間パラメータをいじって、需給面に優位性のある銘柄だけを選んで物色するようにしましょう。

 もしこの35日移動平均線に届かず息切れしてしまっている銘柄、あるいは一旦上抜けたとしても再び下回ってきたような銘柄はいつまでも期待したところで報われる可能性は低いと言えます。日本株も米国株に続いて10月後半から決算発表シーズン入りしてきますが、現段階で需給面が劣後している銘柄は業績期待が乏しく、決算でも一発逆転が狙えるという見込みは薄いと言えます。

 また同時に、足元では決算シーズンから1ヶ月を切ってきましたので、業績修正発表が相次いできます。この材料発表があったかどうかにもよりますが、出来高のボリュームも過去平均(とくに8/17以降)を上回っているかどうかも必ずチェックしましょう。ここまでの4営業日で出来高が膨らんでいないような銘柄は戻り期待も薄いということになりますので、長期視点で仕込み途中ということでなければ見切り売りした方が、他の銘柄に資金を振り向けられるでしょう。

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