【9/30日本市場の確認ポイント】
日経平均 25937.21(▲1.83%)[25,805~26,273]
TOPIX 1835.94(▲1.76%)[1,830~1,861]
マザーズ 695.35(▲1.35%)[691~702]
値上がりセクターTOP5
1.不動産(+0.21%)
2.医薬品(+0.00%)
3.なし
4.なし
5.なし
値下がりセクターTOP5
1.輸送用機器(▲4.41%)
2.ゴム(▲3.22%)
3.電気機器(▲2.71%)
4.その他製品(▲2.39%)
5.機械(▲2.13%)
9月最終立会日は事前観測どおりに月末の大きなリバランス売りが生じたほか、自動車株を中心に主力どころが軒並み安となり、半導体株なども一段と下値模索の動きを強めました。米ニューヨーク州ではガソリン車販売禁止を表明、これまで頑強に値を保ってきた三菱自動車(7211)、SUBALU(7270)、マツダ(7261)などのほか、自動車部品株のデンソー(6902)や日本電産(6594)などが大幅安になりました。
為替円安を背景に買い進まれてきた自動車、エレクトロニクスなどが一気に値崩れを起こしたことにより、製造業とくに景気敏感の色合いが濃い業種ほど大きく売られ、反対に医薬品や食料品などは相対的にパフォーマンスで優位に立ちました。世界銀行など国際機関が景気悪化懸念を表明する中、度重なる危機対策で膨れ上がっている過剰債務への懸念との合わせ技で持ち高調整の売り圧力が強まっているとみられます。
日経平均・TOPIXともに直近安値を更新して6月安値をテストする動きを見せる一方、マザーズ指数はグローバルのリバランス影響は軽微であるとみられ比較的下げ渋りの動きと言えます。リスク回避でパニック売り的な状態には至っておらず、主力どころほど機関投資家売買の影響が濃くなったと言えます。1日あたりの出来高では5月末や6/17の水準ほどに届いておりませんが、週間ベースでは今年有数の出来高を記録しており、投資家の手替りが進んでいる点は注目です。
【米国株概況】
市場総悲観ムードの演出で底入れ近づいたと分析、大幅株安でもリスク指標の水準は土俵際でも大きな変化なし
NYダウ 28725.51(▲1.71%)[28,715~29,355]【安値更新】
S&P500 3585.62(▲1.51%)[3,584~3,671]【安値更新】
NASDAQ 10575.62(▲1.51%)[10,572~10,883]
ダウ輸送株 12058.3(▲1.63%)[12,051~12,357]
半導体SOX 2306.7(▲1.73%)[2,306~2,380]【安値更新】
日経平均先物(CME) 25,930(▲0.31%)[25,795~26,270]
ドル/円 144.18~144.81(高値145.88:9/23、安値113.48:1/14)
日10年債利回り 0.241%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.829%(高値4.011%:9/28、安値1.668%:3/7)
WTI原油 79.74(高値123.68:6/14、安値76.25:9/26)
金先物 1668.30(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.3885(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)31.62(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 15(EXTREME FEAR:極度の恐怖)
High Yield Bond (HYG)71.39(安値71.02:9/27)
米国市場は大幅続落でNYダウ、S&P500が再び年初来安値を更新、NASDAQは辛うじて底割れ回避となりました。8月米PCEデフレーターのデータが市場予想を上回り、米FRBの積極的な金融引き締めスタンスやそれに伴う景気後退への懸念が重しとなり、悲観の波が広がってきました。
同時に米ウォール街強気派の投資家が降参する記事が出始めるなど投資家の悲観ムードを助長し、しまいにこの週末には世界の膨張債務懸念に加えて世界有数のスイスの投資銀行であるクレディ・スイスの信用不安が再浮上し、リーマン・ショックの再来となるのではとの懸念が投資家心理悪化に拍車がかかりやすい状況となっています。
◆ウォール街屈指の強気派コラノビッチ氏、市場リスクの高まりに警鐘(2022/10/1)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-09-30/RJ1831DWX2QA01?srnd=cojp-v2
◆[FT]世界で増すFRBへの不満 債務危機の再来も(2022/9/30)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB277WR0X20C22A9000000/
◆クレディ・スイスCEO、平静を呼び掛け-CDSは09年以来の高水準(2022/10/3)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-10-02/RJ4OERT1UM0W01?srnd=cojp-v2
ついこの前の夏にはバリバリ強気の市場ムードも完全に景色が一変し、徐々に総悲観ムードが蔓延してきました。世界同時発生的な株安・債券安・通貨安の一方で、米ドルだけ独歩高という歪な市場形成がより深刻さを増しており、ようやく大衆的なマスコミ記事でも金融危機不安を警告し始めました。
◆世界の債券・株の価値、44兆ドル減 4~9月で減少幅最大-危機の芽、各国に拡大-(2022/10/2)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB29A0H0Z20C22A9000000/
◆ドル「焼け太り」の先 広がる金融・財政危機の火種(2022/10/2)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB00017_Y2A920C2000000/
これで凡そ最悪シナリオである金融危機の一端が認識され始めたことで、市場は不用意な楽観シナリオが否定されると同時に下値警戒を強めて織り込む動きを見せています。加えて、景気後退シナリオについても中東勢が世界原油需要減退への備えとして次回OPEC+会合での減産協議が行われる見通しであると、単なる懸念ではなく現実味を帯びさせる動きが加速しています。
◆OPECプラス閣僚級会合、5日にウィーンで対面開催-減産協議へ(2022/10/1)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-10-01/RJ2C3WDWLU6801?srnd=cojp-v2
株式市場ではこれで希望的観測たっぷりの妄想相場から現実に引き戻されたことで価格調整が進んできたとみられ、あとは決まって出てくる市場ノイズと事実の見極めが大事になってくる局面です。よって、金融リテラシーというよりも情報リテラシーが求められることとなりますが、先日のロシア勢がウクライナ東部・南部の住民投票で併合を決定した際に行われたプーチン露大統領の演説内容一つとっても西側メディアの切り取り記事の内容は偏向報道がひどいものとなっています。いわばマスコミが作る演出なのか、相場の実態は現実に即しているものなのかの見極めが重要というところで、米国株だけを例にとるならば一旦の底入れが近いことを示しているとみてよいでしょう。
◆プーチン大統領演説 2022年9月30日
http://eritokyo.jp/independent/Ukraine-war-situation-aow1589.htm
◆プーチン氏「米が核兵器使用の前例」、日本への原爆投下に言及(2022/9/30)
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-putin-nuclear-idJPKBN2QV1FU
【日本株投資戦略】
市場底入れを感じさせる悲観記事が目白押し、メディアが暴落を煽り出したら逆読みの買いサインに
米国株の年初来安値更新の動きを受けながら日本株も主力株を中心としてこれに付き合う素振りを見せています。半導体株の東京エレクトロン(8035)やアドバンテスト(6857)、信越化学(4063)にソニーG(6758)なども年初来安値に沈み、下値不安に警戒感が強まる格好となっています。
ただし、日本株は世界の株式と比べるとだいぶ下げ渋っているとみられ、欧米株の軟化について伝える記事とともにアジアなどの新興国株式は下落率がリーマン・ショック以来と大きな見出しが付けられています。さらに通貨安も重なる状況ですから、資金流出規模は想像するよりも殊更に大きいと言えるでしょう。
◆アジア300指数、4~9月は23%安 下落率リーマン以来(2022/9/30)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB307DI0Q2A930C2000000/
上記の【米国株概況】では株式市場に対する悲観記事の見出しが踊っている状況を取り上げましたが、その中にあってまだ年末にかけての株高シナリオを提示する記事もあります。こうした観測記事はある意味、市場の完全な底入れを期待することができず、おそらくは年末ラリーの前に最後のひと山が控えているということなのだと思われる一方、目先は一旦底入れが近いとみてよいでしょう。
◆悲惨だった株式投資家、年末ラリーに期待寄せる-堅調決算きっかけも(2022/10/3)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-10-02/RJ4MDIT1UM0W01?srnd=cojp-v2
当塾としての見方ではこれまで複合的なリスク炸裂のシナリオから最大限の警戒を促して参りましたが、ようやく市場認識も織り込みが進んできたとみられ、あとはここから2週間ほどの調整期間を経て徐々に局面が転換していく段階にきたと言えます。これは単純に株価が下がったからというものではなく、不透明なリスク要因がその姿をはっきりと正体を表してくる中で、危機対応といった動きが出始めることで、金融市場には再び期待が復活する土壌が作られるからに他なりません。
おそらく金融当局が金融引き締めの手綱を緩めるということは考えづらくとも、これが金融危機を誘発しかねないと分かった時点ですぐにとはいかずとも方針転換の議論がなされ始めるからです。また、その典型例が先日の英中銀ショックでもみられましたような国債売却するといった矢先に国債買い入れに動いたわけですから、金融引き締めしたくとも出来ない世界中銀のジレンマを浮き彫りにしたようなものなのです。これに例えばクレディ・スイスのような世界有数の金融機関における財務懸念といった話が持ち上がってきたわけですから、金融当局が方針転換を余儀なくされるということもまた現実と言えます。
もしかすると本当にこうした大きくて潰せないはずの金融機関が連鎖破綻するような事態にならないとも限りませんが、仮にそうなるとしても今ではないというのが私の認識です。米景気後退にしろ金融危機にしろ、ここまで延命させてきた以上、本格的な金融危機というよりも市場底入れの材料としてプチ・ショック安、フラッシュ・ショック安がどこかで生じて理由づけにされるといった具合かと思われます。
その一方、資本市場では金融政策面だけでなく財政政策面も一緒に追っておくことも大事です。欧州ではすでに深刻な経済危機に見舞われていることへの対策として大規模な経済対策が打ち出されていますが、日本でも経済危機という状況では無いながらも秋の臨時国会が開催され、さらにコロナパンデミックからの回復支援で経済対策が打ち上げられる期待があります。日本の場合は落ち込み具合が欧州のそれと比べてだいぶ小さく、インフレ懸念としてもまだマシな状況ですから積極財政も検討されるでしょう。日本も英国のようにいずれは財政懸念などで大騒ぎすることになるのかもしれませんが、それも上記と同じくまだ先の話になるでしょうから、まずはこの目先の株価下落を押し目買いに利用したいところです。
◆臨時国会が3日召集、参院選・内閣改造後初の論戦にー岸田文雄首相、3日午後に所信表明演説ー(2022/10/3)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA021W60S2A001C2000000/
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