【9/29日本市場の確認ポイント】
日経平均 26422.05(+0.95%)[26,221~26,458]
TOPIX   1868.80(+0.74%)[1,853~1,872]
マザーズ 704.84(+2.38%)[699~714]

値上がりセクターTOP5
1.医薬品(+3.10%)
2.繊維(+2.13%)
3.陸運(+2.05%)
4.鉱業(+1.97%)
5.サービス(+1.87%)

値下がりセクターTOP5
1.海運(▲13.16%)
2.鉄鋼(▲2.05%)
3.銀行(▲0.83%)
4.電気・ガス(▲0.05%)
5.電気機器(▲0.03%)

 日本市場は9月配当権利落ち分を吸収してなおも一段高となる切り返しを見せて、日経平均はおよそ250円高でしたが配当落ち分230円程を合わせますと+480円(+1.8%)程の上昇を見せたことになります。足元における地合いがすこぶる悪化している状況と言える中、権利落ち後の押し目買いや空売りの買い戻し需要に一定のポテンシャルを感じることができたと思います。

 ドル建て日経平均は米株安に連れて安値更新の動きとなっていますが、日経平均・TOPIXともに辛うじて6月安値を死守している状況で、これは日経の寄与度トップのファーストリテイリング(9983)、TOPIXは時価総額トップのトヨタ自動車(7203)がどこまで粘れるかにもよるかと思いますが、個別でみていった場合はある程度新安値銘柄数にも頭打ち感が出てきていることにより、安値圏での手替りも進んで底入れの観測も出てきやすいところです。

 おそらく指数は米国株の下げ止まりを確認する必要ありと思われますが、グロース株への売り圧力が続く以上、指数の上値は抑えられやすいと言えます。しかし、それよりも商品市況やビットコインなどドル建て資産がドル高による逆風を跳ね返して上昇し始めているあたりをふまえますと、指数の反転を待つより先に個別株の中から反発を強めてくるものが出始めるでしょう。つまり、指数を見ながら相場の強弱感を計ろうとしてもダマされる可能性が高く、例えばファーストリテイリング(9983)の軟化によって日経が下がりやすい特徴をふまえずに売買判断してしまっては、せっかく良いところで買えた株なども余計な狼狽売りで手放してしまう恐れがありますので注意しましょう。

【米国株概況】
米金利上昇に一服感から再び底入れ時機を見極めるとき、リスク炸裂は浮き彫りになった課題を解決できる企業への投資チャンス

NYダウ 29225.61(▲1.54%)[28,997~29,513]
S&P500 3640.47(▲2.11%)[3,610~3,687]【安値更新】
NASDAQ 10737.51(▲2.84%)[10,623~10,899]
ダウ輸送株 12257.9(▲1.60%)[12,134~12,335]
半導体SOX 2347.9(▲3.29%)[2,313~2,386]【安値更新】
日経平均先物(CME) 26,175(▲0.63%)[26,025~26,495]
ドル/円 143.91~144.86(高値145.88:9/23、安値113.48:1/14)
日10年債利回り 0.246%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.782%(高値4.011%:9/28、安値1.668%:3/7)
WTI原油 81.61(高値123.68:6/14、安値76.25:9/26)
金先物 1668.80(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.4270(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)31.84(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 15(EXTREME FEAR:極度の恐怖)
High Yield Bond (HYG)71.72(安値71.02:9/27)

 米国株は前日の大幅反発を打ち消し、上げた以上に下げるといった典型的な弱気相場の特徴を現出して、S&P500および半導体SOX指数が再び年初来安値を更新しました。やや意外なのはナスダック総合が未だ年初来安値を死守しているところですが、足元でアップルやテスラなどの主力ハイテク株の値崩れが目立っており、時間の問題となってきた感があります。

 ただし、その一方で英国のBOE(イングランド銀行)が緊急措置として英国債買い入れを表明して金融市場では、欧米金利が低下しました。時限的措置に過ぎないかもしれませんが、しかし金融危機寸前のところまでストレスがかかっていた市場に一定の緊張緩和をもたらしたことは事実で、この影響はじわりと金利市場のボラティリティ低下につながってくることと思われます。

 足元では9月米FOMCを通過して再び米金融当局者たちの発言がみられるようになってきましたが、米雇用はじめ消費、住宅といった経済指標の悪化がこれからデータとして表出してきた際に金融政策見通しをどう説明するのかが注目されやすくなります。また、直近でタカ派姿勢を鮮明にした以上、実際のデータが下振れした際に不用意なハト派寄りの発言などをしても今度は景気悪化懸念が深刻化するのではとの疑念も浮かびやすくなってしまいます。

 非常に難しい局面ながら、金融当局者発言はむしろこの先はノイズになる可能性が高いと言え、ある程度米金利の高止まりの現実を受け入れていく必要があると言えるでしょう。そして同時に、欧州勢では英国、独国などが大型経済対策を講じることを表明していますので、これらに準拠した形で金融市場におけるエネルギー危機の影響緩和、すなわちエネルギー価格上昇の現実を織り込んだ上でリスク資産価格もまた連れ高していく状況に変化していくシナリオも想定していかなくてはなりません。

 危機には必ずセットで対策が講じられ、投資家はどうしても危機発生時の印象(極端な値下がりなど)が強く残るため、それに関連したニュースを見ると反射的に損失回避で売りたくなる衝動に駆られたりします。例えば足元でのノルドストリーム複数損傷といった衝撃的なニュースなどは、エネルギー危機発生時よりも状況が深刻化していることは明らかですが、市場インパクトとしては影響が緩和していると言えます。すでにロシアからの供給量が減っていた中でガスストップしたとしても、フル稼働時に突然ストップするより実害としては少ないと考えれば分かりやすいでしょう。

 したがって、この9月末から10月、さらに11月と進み米中間選挙を迎えるまでの間はこれまで出てきた複合的リスクの問題点があちらこちらで噴出してくることになると思われますが、それらが株価下落にインパクトをもたらすというよりもここから先、世界でどういった対策が打たれてリスクを解決させようと動くのかを見ながら、課題解決に直接関わってくる企業のバーゲンハンティングを狙っていく時期になると思われます。

 まずは目先で10月は米企業決算が集中してくるところになりますので、当然ながらリセッション懸念を業績見通しに反映してくる企業も目についてくるかと思いますが、決算反応で下振れしたとしても11月中旬まで1ヶ月もみておけば悪材料の織り込み完了して出直ってくるでしょう。つまり、各企業ともに下落トレンドに終止符を打つための仕上げが本格化してきたとも言えるわけで、悪材料出尽くしから反発に転じてくる企業群がどのセクター、あるいはテーマになって次の展開が広がるのかを見極めていくタイミングなのだと思います。

【日本株投資戦略】
紆余曲折の岸田政権の株高政策は結実するか、海外勢の日本株投資スタンス転換を見越して買い向かう

 日本株は9月後半に入り怒涛の展開ですが、いよいよ調整局面も大詰めとなってまいりました。岸田総理が訪米してNY証券取引所において改めて「インベスト・イン・キシダ」演説を行ったわけですが、皮肉にも日本株の現状としては岸田政権発足以来の安値に沈んでいます。日経平均などで見ますと年初来安値までまだ貯金がある状態ですが、実のところはかなり下駄を履いている状態とも言え、そうした色眼鏡を除いてもドル建て日経平均ではすでに年初来安値を更新中となっているのが現状です。

 問題はここから岸田総理の演説を聞いてというわけではもちろんあリませんが、海外勢が日本株に投資妙味を感じるかという点が最も注目されるところとなります。ご存知のとおり2022年に入り、コロナパンデミック影響にウクライナ危機、エネルギー危機はじめ資源価格高騰、食糧危機といった地球規模でのリスクが加わったことで、世界景気の回復期待は著しく阻害されただけではなく投資対象の受難といった様相を呈しています。

 過剰流動性に支えられてきた株式市場もとうとう将来期待よりもリスク長期化懸念の方に目を向け始めたことによってバリュエーション調整を余儀なくされているのが現実であり、先進国・新興国問わず資金流出が顕著となっています。こうしたリスク回避で現金化された資金は唯一の逃げ場となっている米ドルに集まっているわけですが、その米ドルを使って米国株や米国債に投資できるかといえば株式益利回り、米金利に対して価格変動が大きくなり過ぎる現状から、とてもリスクリターンが見合わない投資先になりつつあります。

 そうしたグローバルマネーの手詰まりした状況を打破できる投資先はどこになるのが?といった視点で見ることが重要であり、米国債の4.0%という高い利回りよりもリスクを取るに値するマーケットが求められているわけです。ではそうした観点で日本株を見た場合、足元での日経平均は26,000円の攻防として年初来安値は3/9の24,681円を基準としますと、大体5%程度の値幅とみられます。あくまでも3月時安値を切らないという前提に立ちますが、ここから先の下振れがあった場合のリスクは5%である一方、足元の調整局面が底入れして反発に転じた場合のアップサイドリスクはどのくらいかという視点で見ることが大事だと思います。

 仮に、足元の日経PERが15倍程度であるのに対して、グローバルマネーが日本株を選考した場合にはPER20倍でも悠々と買い上がってくる可能性があるわけです。米国も欧州も中国も新興国も投資先としては妙味が感じられなくなっている現状、こうして行き場を失って滞留するグローバルマネーが日本に流れ込んでくる可能性を考えますと、十分にリスクリターンが見込める投資になると思うわけです。

 とくに世界的なインフレ環境において、日本人としてはだいぶ生活物価の上昇圧力を感じ取るところになってきたかと思いますが、食品にしてもエネルギーにしても世界から見れば全てが割安です。また、不動産価格なども世界の住宅価格、住宅ローン金利で見比べてみたら破格とも言えるレベルです。つまり、私たち日本人の感覚とたとえ先進国であってもインフレおよび社会情勢が混乱して治安が悪化している状況で暮らす人々の感覚とでは、日本というモノに対する価値の捉え方が違っているはずなのです。

 したがって、賛否両論というより最近では批判が強まっている岸田政権ではありますが、一連の日本叩きが続いているマスコミの報道を切り離して考えますと、政策としては日本買いにつなげるための施策を着々と進めているとみられ、これらの諸政策がとりわけ外国人にとってみれば大きなチャンスを演出しています。直近の投資主体別売買動向でも海外勢の売り越しが目についてしまいますが、彼らの姿勢が真逆に転回してきた時、日本株への見方が大きく変わる合図になるものと考えておいた方が良いでしょう。

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