【9/22日本市場の確認ポイント】
日経平均 27153.83(▲0.58%)[26,955~27,197]
TOPIX   1916.12(▲0.24%)[1,903~1,918]
マザーズ 712.50(+0.32%)[698~715]

値上がりセクターTOP5
1.陸運(+0.96%)
2.輸送用機器(+0.83%)
3.空運(+0.75%)
4.卸売(+0.55%)
5.電気・ガス(+0.36%)

値下がりセクターTOP5
1.海運(▲1.49%)
2.保険(▲0.99%)
3.繊維(▲0.98%)
4.サービス(▲0.93%)
5.銀行(▲0.75%)

 3連休前に海外市況悪化で日経平均は一時27,000円割れ、後場は徐々に持ち直して下げ幅縮小するも、半値戻しがやっとの状況でした。昼過ぎに日銀会合を終えた黒田総裁の発言中から為替市場は猛烈に円安が加速、ドル円は145円を突破する勢いで引け後には146円まで接近しました。

 為替の円安深耕と政府のコロナ規制緩和などを手がかりに押し目買いも入りやすかったとみられ、3連休前にもかかわらず商いはまずまずの水準でした。今年の地合い悪化局面で押し目買いを入れたトレードが、短期トレードでは悉く報われてきたために、触手が伸びやすいといったところかもしれません。

 とくに個人は日経新聞にも取り上げられる程、逆張りに前のめり傾向で信用買い残の高さはやや懸念される点でしょう。この日もマザーズは朝方の急落からプラス圏に浮上し、中小型株の物色意欲は旺盛とみられる一方、デイトレードで高値掴みしたまま取り残されていそうな銘柄も多く見受けられます。個人投資家の信用損益状況が悪化してくる場合、話題株の値崩れなどから一見関係ないと思われる銘柄にも追証回避売りが波及してくる恐れがありますので、移動平均線からの乖離が大きい銘柄などはとくに注意すべきでしょう。

◆株、個人の押し目買い鮮明 信用買い残3カ月ぶり多さ(2022/9/21)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB217VI0R20C22A9000000/

【米国株概況】
欧米市場で金利上昇圧力、欧州は株・債券・通貨のトリプル安、原油も急落でリスクマネーが一斉退避

NYダウ 29590.41(▲1.62%)[29,250~29,955]【安値更新】
S&P500 3693.23(▲1.72%)[3,647~3,727]
NASDAQ 10867.93(▲1.80%)[10,732~10,958]
ダウ輸送株 12129.3(▲1.83%)[11,960~12,214]【安値更新】
半導体SOX 2408.9(▲2.81%)[2,369~2,422]【安値更新】
日経平均先物(CME) 26,415(▲2.28%)[26,250~26,850]
ドル/円 141.76~143.45(高値145.88:9/23、安値113.48:1/14)【高値更新】
日10年債利回り 0.230%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.712%(高値3.811%:9/23、安値1.668%:3/7)【高値更新】
WTI原油 79.43(高値123.68:6/14、安値78.04:9/23)【安値更新】
金先物 1651.45(高値2,085:3/8、安値1,647:9/23)【安値更新】
銅先物 3.3475(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)29.92(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 24(EXTREME FEAR:極度の恐怖)
High Yield Bond (HYG)72.13(安値71.90:9/23)【安値更新】

 日本が3連休の間に米国市場は下値模索でとうとうNYダウが年初来安値を更新、これで4日続落となったほか、先行指標のダウ輸送株、半導体SOX指数もさらに下値を掘り下げており、下げ止まりの兆しが確認できません。

 また、海外市況全体で見渡しますと、欧州がやや壊滅的とも言える状態で株安・債券安・通貨安のトリプル安で、とくに株式では主要国の下げもきついですがイタリアなど周辺国が▲3%超の大幅下落となっています。さらに市場懸念を強めたのがイギリスで大型財政出動策発表で国債利回りが急騰し、これがかえって英財政懸念につながるとして英ポンドが急落、やや意外(?)にもイギリスの信用不安に先に火が付く形となりました。

◆英国債利回り急騰、財政懸念で「トリプル安」 減税策受け(2022/9/23)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR2345J0T20C22A9000000/

 もちろんイギリスだけが悪者というわけではありませんが、米国時間では米国債の利回りが急騰し米2年債利回りは2007年以来となる4.27%の高水準、また米10年債利回りも最高3.8%台をつけて高値更新の状況、深刻なのは2年-10年の逆イールド現象がより悪化しておりリスク資産売りの圧力を強める大きな要因となっていることです。

 さらに、リスク資産を象徴する原油相場が大幅急落で1バレル=80ドル割れの年初来安値更新、インフレ鎮静化というよりも世界景気後退の懸念をより強く反映した動き、というのは表向きの理由としても投機的なリスクマネーが一斉に引き揚げられている状況には変わりありません。

 こうした中で、リスク指標はVIX指数が一時30ポイントの大台を突破、さらにF&G指数も久しぶりにEXTREME FEARレベルに突入してきました。しかし特筆すべきはジャンク債とも言われるハイ・イールド債の需給悪化で、HYGは3カ月ぶりに安値更新でこちらもリスクマネーの流出が鮮明になっています。

 これらから現状としてまだ下値模索の状況が続いているとみられますので、どこまで、あるいはいつまでこれが続くのかというのを見極める必要がありますが、例えば米国株に限定した場合ですと米中間選挙アノマリーというのが存在します。おそらくは目先で一旦リバーサルの動きが出てきたとしても、米中間選挙後の11月後半が最も警戒すべき時期でしょう。下落の深さは米金利水準にもよりますが、景気後退懸念が強まれば金利低下要因となりますので、他のリスク要因と複合連鎖的に爆発が引火していくことがなければS&P500の3600ポイントでサポートされ反発も見込めるかもしれませんが、最悪のケースでは3200ポイントまであともう一段の下値余地までを警戒しておく必要があるでしょう。

【日本株投資戦略】
金融当局が動いた歴史的瞬間、すなわち歴史的相場の裏には必ず大きなチャンスが隠されている

 3連休で欧米市場の混乱をまだ織り込めていない週明けの日本市場は波乱要素が満載ですが、状況見極めが最も困難なのは実に24年ぶりの金融当局による市場介入が実施された為替市場でしょう。連休前の日銀金融政策決定会合時には政策スタンスの維持、利上げ否定と指値オペ継続でドル円は146円間近まで円安が進展、その日の夕方に日本単独為替介入の実施を発表して140円台前半まで急激な円高に振れました。

 急激な円安を阻止するとして急激な円高を演出した金融当局の対応は、為替だけでなく金融市場全体のボラティリティを高める要因になったとみられます。結局はその後の英財政出動などで欧州通貨売り・ドル買いからドルインデックスは高値圏を保った状態ですが、当局の対応は今後もいつ実弾が飛んでくるか分からないという心理的な抑止効果にはなり得るものとして、向こう数カ月の為替動向が非常に重要となってくるかと思われます。

◆政府・日銀、24年ぶり円買い介入 急激な円安阻止へ(2022/9/22)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA12A5H0S2A410C2000000/

 そんな中、日本株も為替円安の支援材料が期待しづらくなったように思えるかもしれませんが、仮にこれ以上の為替円安が進んでも、業績押し上げ効果としては影響限定的、むしろ一部の輸出企業より広範な企業にとって交易条件の悪化をもたらし、コストプッシュインフレの悪影響が強く出てしまいかねない水準と言えますので、全体最適を考えればここが限界といったところでした。

 そこで前回も少し解説しましたが、この先は為替水準・金利水準がこれまで常識となっていた枠組みを外れる瞬間、すなわち為替は円安、金利は低金利が日本株にとっての追い風とされてきた市場の常識のようなものを打ち破る動きが出てくるかが重要です。

 現状ではまだ為替が急激に円高に振れてくればリスク回避の円買い需要発生、金利が高騰し始めるとバリュエーション見直しの必要性からグロース株売りといった、まさに相場の教科書的な市場解説がメディア記事に踊ることになるものと想像がつきますが、私たちが日本株に期待すべきはその先にある展開です。

 この市場のタガが外れる瞬間が垣間見えた時こそ、日本株にとってはレンジ下限での押し目買いとか、そういう次元の話ではなく今後の数十年先の未来を決定づける大いなる買い場、さらに日本の産業構造が大きく変革していく重要な局面であると考えるべきです。

 まずは今週前半の逸る気持ちを抑えながら、中途半端な位置で適当に買ってみるといったことは極力控えた方が賢明でしょう。9月配当取りの権利付き最終売買日の出来高が膨らみやすい場面、あるいは月末のファンドリバランス発生までも見越した上で、なるべくひと呼吸置くことを意識していきましょう。できるだけ下値まで引きつけて、買い向かう気持ちだけは強く持っておきながら、市場の底入れサインを見逃さないようにしておきましょう。市場着眼点として具体的な買いポイント、空売りを買い戻すタイミング判断などについては【先読みの近未来(スタンダード会員以上の方対象)】で詳しく解説していきます。

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