【9/20日本市場の確認ポイント】
日経平均 27688.42(+0.44%)[27,627~27,907]
TOPIX   1947.27(+0.45%)[1,944~1,956]
マザーズ 727.94(▲1.20%)[722~741]

値上がりセクターTOP5
1.ゴム(+1.34%)
2.食料品(+1.29%)
3.鉄鋼(+1.14%)
4.卸売(+0.99%)
5.繊維(+0.94%)

値下がりセクターTOP5
1.海運(▲1.77%)
2.不動産(▲1.02%)
3.精密機器(▲0.83%)
4.医薬品(▲0.45%)
5.陸運(▲0.25%)

 3連休明けの日本市場は米国株高をうけて反発、ただし日経平均の上げ幅は寄付直後に300円超となる場面がみられるも買いが続かず、ほぼ寄り天となって値を消しました。主力値がさ株に左右されながらも日経平均・TOPIXはプラスを確保、新興マザーズは朝方から売りに押されて終始マイナス圏での推移となりました。

 前日の米国市場では米10年債利回りが3.5%台をつけて6月時の年初来高値を更新、グロース株への逆風が意識されやすい中でエムスリー(2413)などが売られたが、それ以上に海運株や不動産株への売り圧力が強く、直近で物色意欲が旺盛だった旅行・レジャー関連の鉄道株なども売られました。その割にはインバウンド需要期待の大きい百貨店株や空運株などは高値圏で値を保ったと言えます。

 新興・小型株の中では、話題性とともに売買代金で上位に食い込むほど物色が賑わっていたダブル・スコープ(6619)が9/15高値形成から2営業日連続ストップ安、gumi(3903)も高値圏で商いが交錯しながらも大きめの陰線を形成し、材料株の需給悪化が目立ってきています。話題株の急落などは信用買いしている個人投資家の懐を傷めてしまし、追証回避売りなどから他の銘柄への波及も考えられますので、新興・小型株の市場からは一旦退避のスタンスが望ましいでしょう。

【米国株概況】
FOMCイベントを前に米金利が高騰、米10年債は3.5%突破で年初来高値のほか2年債も4.0%接近

NYダウ 30706.23(▲1.01%)[30,465~30,888]
S&P500 3855.93(▲1.12%)[3,827~3,876]
NASDAQ 11425.05(▲0.95%)[11,343~11,520]
ダウ輸送株 12778.7(▲2.27%)[12,673~13,010]【安値更新】
半導体SOX 2539.5(▲1.49%)[2,523~2,563]
日経平均先物(CME) 27,230(▲0.80%)[27,100~27,690]
ドル/円 142.93~143.91(高値145.00:9/7、安値113.48:1/14)
日10年債利回り 0.251%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.569%(高値3.604%:9/20、安値1.668%:3/7)【高値更新】
WTI原油 83.63(高値123.68:6/14、安値81.20:9/8)
金先物 1673.25(高値2,085:3/8、安値1,695:7/14)
銅先物 3.4995(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)27.16(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 37(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)73.72(安値72.92:6/13)

 米国市場は9月米FOMCが開かれ今晩の公表結果に注目が集まる中、これを先取りする動きか債券市場では米10年債利回りがとうとう3.5%を突破して年初来高値を更新、一時は3.6%台をつけるなど2011年以来の水準に上昇しました。短期債も軒並み金利高騰で米2年債利回りも3.98%と4.0%に肉薄してきました。

 金融当局は意図的に景気減速でインフレ鎮静化を期待しながらも、やはりまだQT(量的引き締め)本格化に踏み切れない矛盾を抱えたまま政策運営をしているのが現状です。市場では今回の0.75%利上げ幅を完全に織り込んだとみられますが、金利が先走っているところをみますと1.00%利上げの可能性も否定できず、仮に今回見送られるにしても最終的な政策金利誘導目標は上振れしていく可能性が高いと言えるでしょう。

 米金利上昇が加速してきた以上、米国株の割高感は一層強まることになりますので、単純に考えても6月底入れ説を否定する可能性が高まったと言えます。前回は物流業界の混迷がサプライチェーン悪化懸念を再燃させる可能性を取り上げましたが、これに加えて米自動車大手のフォード・モーターが物価上昇で部品や原材料費の高騰に伴う収益圧迫懸念を示し、米景気に対する懸念が深まってきています。

 したがって、FOMCイベント通過後はどこかで金利上昇が一服すると思われますが、その反面景気悪化懸念によって金利が低下してくる場合は要注意です。株式やリスク資産全般にとって金利上昇は逆風となりますが、景気の実体が下振れて売られる時の方が下げはきつくなります。株式市場から退避した資金が債券市場に向かうため、金利が低下するわけです。

 ただでさえ米ドル高の恩恵があり、インフレ抑制できているはずの米国自動車業界が不振に陥る可能性があるのだとすれば、諸外国の製造業はより一層の採算悪化を心配しなくてはならなくなります。安全志向を強めたマネーがもはや債券市場も退避場所として選ばれなくなってきている以上、キャッシュ・イズ・キングのリスク資産全売りのSell Allも覚悟しておかなければならないでしょう。

【日本株投資戦略】
重要イベント日程と米金利上昇で警戒感高まる、株式市場は金利・為替との感応度を確認できるまでは安全性重視

 日本市場も9月中旬の自律反発で底堅さを披露しましたが、主力値がさ株の上昇に一服感がみられていることから、それ以外の銘柄にいたってはより上値の重さが意識されやすくなってきました。

 9月末の配当取り狙いもありますので、依然として押し目買い意欲は強い状況が続いていると言えますが、配当利回りが高い海運株などの下値模索が強まっている動きから、売り圧力は一段と強まっているとみることもできます。

 日経平均でみた場合には9月初旬とほぼ変わらず、間の自律反発をはさんで往って来いの相場と言えますが、状況的には下値不安が拡大してきたとみておくべきでしょう。

 とくに米国市場における米金利上昇の影響が為替ドル円にも波及するはずですが、政府・日銀の円安牽制、為替介入の警戒からドル高基調にストップがかかっています。しかし、ここで注意しておきたいのは金利上昇懸念ではなくて、景気後退懸念での株安時に為替が米ドル・日本円どちらを選好するかということです。

 基調どおりで考えれば当然に安全資産としての米ドル買いと思われるかもしれませんが、上記の【米国株概況】でも述べた現実問題として、米ドルに換金してもそれを米国債で運用する選択肢が狭まっているということが考えられます。

 米国のインフレ連動債の投資熱が高まることも考えられますが、マネーの受け皿として米国債の代わりになることなどあり得ません。そうした場合に、市場需給がリスク回避の米ドル買いではなく、日本円買いへと転換する可能性も考慮しておく必要があるのではないかと思います。同じようにスイスフランも有事の安全資産需要として機能してきましたが、欧州はインフレで通貨価値が著しく毀損してしまう恐れがあるため、もはや安全資産とは言えなくなっています。

 つまり、リスク回避時に為替円安がクッションになって衝撃を和らげてきたのが今年の3月以降と言えるかと思いますが、これが円高基調になった場合の株式市場における下落耐性を見極めていく必要があります。とくにここから年末にかけてのところでは米中間選挙なども控えており、市場に波乱が持ち込まれることは容易に想像がつきますので、金利・為替との感応度をじっくり見極めながらチャンスを窺いましょう。

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