【9/13日本市場の確認ポイント】
日経平均 28614.63(+0.25%)[28,530~28,659]
TOPIX 1986.57(+0.32%)[1,977~1,987]
マザーズ 753.48(▲0.06%)[752~760]
値上がりセクターTOP5
1.その他製品(+2.91%)
2.陸運(+2.19%)
3.空運(+1.78%)
4.非鉄金属(+1.59%)
5.海運(+1.56%)
値下がりセクターTOP5
1.輸送用機器(▲0.55%)
2.保険(▲0.52%)
3.精密機器(▲0.52%)
4.繊維(▲0.38%)
5.情報・通信(▲0.13%)
日本市場は日経・TOPIXがともに4日続伸し、8/17以来の戻り高値を更新。短期の騰落レシオは159ポイントまで上昇し8月中旬の水準を上回ったほか、新高値銘柄数は9/9、9/12に続いて100銘柄超えとなりました。
個別では任天堂(7974)やTDK(6762)が材料を手がかりに大幅高したほか、海運、陸運、空運など輸送株が総じて堅調。とくに鉄道株や航空株は経済再開だけでなく、インバウンド需要増への期待から政府の水際対策緩和といった材料による物色が鮮明。また、住友金属鉱山(5713)が75日線をブレイクしたところから一気に上値を試す動きを見せました。
足元ではインフレピークアウト期待から株価反転攻勢が続いている一方、資源株の動意は改めてインフレ進展の再開を想起させるものでもあり注目されます。戻り足が続く全体に対し、マザーズ指数はいち早く8/17高値に迫りましたが、これを上抜けるには至らず反落。新興・小型株の物色意欲は旺盛ですが、低下傾向にある200日線との対峙が目前に迫ってきました。
【米国株概況】
米CPIショックで米国株崩落、9月FOMC大幅利上げ観測で米金利は短期債中心に急上昇
NYダウ 31104.97(▲3.94%)[31,018~32,006]
S&P500 3932.69(▲4.32%)[3,921~4,037]
NASDAQ 11633.57(▲5.15%)[11,604~11,957]
ダウ輸送株 13712.3(▲3.79%)[13,656~14,083]
半導体SOX 2562.3(▲6.18%)[2,556~2,648]
日経平均先物(CME) 27,630(▲2.71%)[27,610~28,470]
ドル/円 141.65~144.66(高値145.00:9/7、安値113.48:1/14)
日10年債利回り 0.239%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.412%(高値3.498%:6/14、安値1.668%:3/7)
WTI原油 87.64(高値123.68:6/14、安値81.20:9/8)
金先物 1712.20(高値2,085:3/8、安値1,695:7/14)
銅先物 3.5305(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)27.27(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 40(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)74.31(安値72.92:6/13)
米国市場は9月FOMCを占う上で重要な8月米CPI発表をうけて、株式市場は暴落商状となりNYダウは1276ドル安(▲3.94%)を記録したほか、S&P500は▲4.3%、ナスダックは▲5.1%と焼け野原状態となりました。いずれも引けにかけて終始下げ続け、ほぼ安値引けとなっています。
ただし、株価水準としては9/6の安値に往って来いとなった形で、主要株式3指数および輸送株や半導体SOXまでを含めても9/6安値を更新したのはNYダウだけでした。先週のパウエル米FRB議長発言から無理やり米経済のソフトランディング期待を膨らませた相場でしたが、これが剥落して出直しを迫られたと言えます。
それよりも問題が大きいのは米金利市場で、とくに短期債は5年未満の金利が軒並み急騰して6月高値を大幅に更新。5年債・7年債もほぼこれに近接している状況で、以前述べたように米10年債利回りの3.5%台が視野に入ってきました。つまり、株式市場では6月安値で底打ちし、インフレ高進や景気後退といった懸念を黙認しながら反発基調を続けてきましたが、債券市場はこれを明確に否定する動きと言えます。
実際に8月米CPIデータを見て、前年同月比8.3%上昇(市場予想は8.1)は7月の同8.5%からは0.2ポイント低下していますし市場暴落するほどの内容かと思うかもしれません。しかし、細かくみた時のコア指数が7月5.9%→8月6.3%と上昇加速、さらに、極端に問題視されるのは期待インフレ率や米FRBの政策決定に影響大な住宅価格なのです(スタンダード会員以上の方は【先読みの近未来(9/12号)】をご参照)。
◆米8月CPI8.3%上昇、伸び鈍化も予想超え 家賃・食品が値上がり(2022/9/13)
https://jp.reuters.com/article/usa-economy-inflation-idJPKBN2QE1C2
◆米インフレの先行き占うには賃貸料に注目を-FRB政策に大きく影響(2022/9/12)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-09-12/RI3JTXDWX2PS01
また、前年同月比というのも曲者で、昨年の6月以降~年末にかけてCPIデータは5%台を上回り7%に達していきます。つまり、前年比の発射台が年後半に進むにしたがって高くなっていくということもあわせて考える必要があります。ゆえに6月のデータは最重要ですが、とくに季節性としても10月以降の冬場のエネルギー価格や食料品価格などに逼迫懸念が強まると予想される中で、7月の伸び率を基準に比較しても期待インフレ率の低下にはつながらないということも念頭に置く必要があるのです。
今のところは株式市場で往って来いになったとはいえ、リスク指標を眺めても極端なパニック状態にはまだ陥っていません。これが米金利水準と同様に6月の閾値を突破してしまいますと、米株市場はいよいよ年初来安値を更新してしまう危険度が格段に上がります。
次はひとまず週末の9月メジャーSQで小休止をはさむかどうかですが、市場のボラティリティはむしろ拡大する要素が満載です。9月FOMC(9/20~21)では0.75%利上げは確実視され、中には1.0%大幅利上げを予想する声も聞かれ始めたようですので、引き続き米金利の動向とリスク指標に着目しておいた方がよさそうです。
【日本株投資戦略】
米国株暴落にどこまで付き合うか下落の深さを要確認、本日ザラ場よりも引け後の欧州市場に注目か
日本市場も米国株同様に9/7の安値から戻り歩調を辿り、昨日は戻り高値を更新しました。ところが昨晩の米国株暴落に伴って日経先物が27,600円台をつけていることから、日経平均も9/8に開けたマドを埋める動きがみられるでしょう。
ここで再び以前の下値メドとして注目した200日移動平均線が27,500円付近に控えているわけですが、前回ですでに一時的にも破られてしまっていますし、サポートラインとしての信頼性は薄くなっています。とくに前回の出来高を上回って下方ブレイクしてきた際には要注意と言えるでしょう。
日経先物ベースでは▲2.6%程度の下げで、米国株の主要株式指数と見比べてみますとNYダウでも▲4%弱の暴落ですから、日本株はまだ常識的な範囲での調整と言えるレベルです。しかし、ザラ場の取引で▲4%、▲5%と下げ幅を拡大していく危険もありますので、最近の日本株が米国株と比べていくら底堅いといってもこれを過信することは禁物です。
なぜならば、昨晩の米国株に対して比較的下げ渋ったのは日本株だけでなく欧州株も同様で、米国よりもファンダメンタルが厳しい欧州がむしろこれから下げるのであれば、そちらの方が懸念が大きいからです。欧州でも依然として、というより以前よりも独10年債利回りの水準は上がっており、それと並行して欧州経済は一層厳しい状況に追い込まれているからです。
◆独ZEW景気期待指数、9月ー61.9 エネルギー懸念で一段と低下(2022/9/13)
https://jp.reuters.com/article/germany-economy-idJPKBN2QE0UU
すでに英国も含めてユーロ圏ではリセッション(景気後退)入りの見方が強まっていますので、米経済のソフトランディング期待どころではなくなる恐れがあります。故エリザベス英女王の国葬で政治勢力、国民の関心はそちらに目が向いたとしても、滞りなく終わって現実に引き戻されれば政治が大混乱に陥るかもしれません。
◆英経済成長、7月は予想下回る伸び-今四半期中にリセッションの見方(2022/9/12)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-09-12/RI37CLDWLU6801?srnd=cojp-v2
◆独経済見通しは劇的に悪化、下期はマイナス成長も=経済省報告書(2022/9/13)
https://jp.reuters.com/article/germany-economy-ministry-idJPKBN2QE0T4
欧州のエネルギー危機に対しては、インフレ対策として財政・金融政策の協調的な対応が図られています。足元の市場では先週からそれを織り込んでの下げ渋りとみられますので、それでもなお独DAXやユーロ・ストックスが下値を切れた場合は要注意となります。上述したように今回の市場ではパニック状態を回避したとしても、世界同時株安となれば極端なパニック売りを誘発することになります。今週末にかけては引き続き警戒しつつ、むしろ来週の中央銀行スケジュール(日本:9/21~9/22、米国:9/20~9/21、英国:9/15⇒9/22)が集中する日程で上記注目してきた各市場のポイントを死守できるのか見極める必要があるでしょう。
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