【9/8日本市場の確認ポイント】
日経平均 27626.51(+0.02%)[27,557~27,813]
TOPIX   1926.58(▲0.11%)[1,922~1,939]
マザーズ 731.48(+0.42%)[726~739]

値上がりセクターTOP5
1.精密機器(+3.57%)
2.空運(+3.00%)
3.医薬品(+2.83%)
4.電気機器(+2.68%)
5.化学(+2.58%)

値下がりセクターTOP5
1.鉱業(▲0.70%)
2.なし
3.なし
4.なし
5.なし

 日本市場は9/7に日経平均200日移動平均線割れとなったところから、翌8日は米国株高をうけて急反発し全面高商状となりました。あまりにもあっさりと日経28,000円台を回復し、TOPIXもともに+2%超えの大幅高となっています。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1703/値下がり103であることから、主力株は総じて強い動きであったとみられますが、直近で売られてきたレーザーテック(6920)や日本郵船(9101)、ソフトバンクG(9984)などが売買代金上位に入ったほか、為替円安の感応度が鈍かったトヨタ自動車(7203)なども上昇しました。

 日経平均採用銘柄の中ではオリンパス(7733)やバンダイナムコ(7832)などが大幅高し、寄与度がとくに大きいファーストリテイリング(9983)、東京エレクトロン(8035)、ダイキン工業(6367)、ソフトバンクG(9984)といった値がさ株が軒並み+2%超の反発をみせました。9月メジャーSQ前で特殊な需給要因もありつつ、欧州ECB理事会のイベントを前にして売り方の買戻しを誘った側面もあったとみられます。

【米国株概況】
欧州ECBの大幅利上げを織り込みつつ、米経済のソフトランディング期待が浮上

NYダウ 31774.52(+0.61%)[31,321~31,787]
S&P500 4006.18(+0.66%)[3,944~4,010]
NASDAQ 11862.13(+0.60%)[11,660~11,896]
ダウ輸送株 13726.3(▲0.09%)[13,536~13,745]
半導体SOX 2658.2(+1.79%)[2,571~2,664]
日経平均先物(CME) 28,095(+1.03%)[27,705~28,120]
ドル/円 143.31~144.52(高値145.00:9/7、安値113.48:1/14)
日10年債利回り 0.246%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.323%(高値3.498%:6/14、安値1.668%:3/7)
WTI原油 82.84(高値123.68:6/14、安値81.20:9/8)【安値更新】
金先物 1719.95(高値2,085:3/8、安値1,695:7/14)
銅先物 3.5555(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)23.61(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 42(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)75.51(安値72.92:6/13)

 米国株は前回ここでの解説内容に反して9/7に反転上昇、昨晩も主要株式3指数は続伸し、S&P500は再び4000ptを回復しました。米金利上昇の一服や米連銀のベージュブックで先行きの経済見通しが弱いことを示唆した内容から金融引き締めに対する警戒感が後退したとされています。

 これを前提に考えますと、市場ロジックでは6月底入れ時と同じような理由で反発に転じたということになりますが、昨晩はそこから一歩進んでパウエル米FRB議長が討論会に参加し、米経済のソフトランディングを期待させるような発言もみられました。

 昨晩の米国株市場ではけっこうな値幅での乱高下になっており、9月の米FOMCで0.75%利上げを着々と織り込みながらも、来週のCPI発表前に売りポジションに偏り過ぎたアンワインド、いわゆる巻き戻しの相場につながったとみられます。

 ただ結局のところは、欧州ECBも0.75%大幅利上げの決定を下し、金融引き締め路線は継続というよりも加速させていることから、米FRBが金融引き締めの手綱を緩めることは考えにくいと言えます。

 それでもなお、米金利が現在の水準に留まっているということはやはりQT(量的引き締め)に踏み込めていない米FRBの実情を反映しているものとみられ、ちょっとでも動こうとすれば市場が敏感に反応してしまうため、金融緩和環境を続けざるをえない状況になっているとみられます。あるいは意図的にそうしているという見方もできます。

 直近の米経済指標からはインフレピークアウト期待を抱かせるものもありつつ、金融当局は市場に期待先行し過ぎるなと釘をさしており、今のところはこれでもまだ市場制御できているとみてよいかもしれません。ただし、今週末のところから当局者はブラックアウト期間入りで金融政策に関する発言が控えられることとなりますので、市場が金融引き締めペースが緩和されるとの憶測を働かせて上昇、一方で経済指標や当局者以外の金融引き締めを強化すべきとの発言から疑心暗鬼になって下落といった、思惑で相場が動かされやすくなることに注意する必要があります。

 足元の動向はあくまでも売り方のポジション調整から生じた反発ということであれば、上昇期待はそれほど続かずに、サマーラリーの名残りといったものになるかと思います。夏の花火の余韻を楽しみたい方もいらっしゃるかもしれないですが、すでに秋の冷たい空気に変わってきていることも感じておくべきでしょう。

【日本株投資戦略】
日経200日線割れからテクニカルリバウンドへ、9月SQ算出後の動向に注意

 上述のとおり9/7時点で日経平均は200日線割れと下値攻めされていましたが、米長期金利の上昇一服や原油安などインフレ懸念緩和から反発に転じた米国株の動きとともに、日本株も一斉蜂起しました。

 とくに欧州ECB理事会のイベント前で様子見ムードが強かっただけに、まさに不意打ち上昇といった格好で、週末に9月メジャーSQ算出を控えていた先物市場では売り方が焦って買戻しを急ぐショートスクイーズが発生したものとみられます。

 足元の米国株高とあわせてポイントになるのは、欧州ECBの大幅利上げとパウエル米FRB議長の討論会を前にしながら金融引き締めに関する大部分を織り込んだ上昇であったのかどうかです。昨日の段階ではどちらも0.75%大幅利上げの観測は浮上しつつ、決定前であったという状況です。

 そういう意味ではあまり上昇理由が判然としない中、テクニカル面では日経平均・TOPIXともに200日線割れがみられた直後の急反発でした。昨日の反発で200日線をすかさず奪還、土俵際で踏ん張ったというより一旦はみ出してしまった事実はあるわけですが、今後の展開で底値確認から上昇回帰となる場合はダマシだったということになります。

 他方、ドル建て日経平均では、9/7に6月時の年初来安値190.84ptを割れて190.81ptをマーク、ダブルボトム意識のテクニカルリバウンドという期待も生まれやすいところです。
 ただ、参考までにドル建てTOPIXは、6/20の13.47から9/7の13.32で安値を▲1.1%更新しており、8月高値もそれ以前の高値に戻しきれていないことから、下落トレンドは継続とみられます。つまり、ここで上昇ストップとなった場合には9/8の上昇は自律反発の域を出ないことになります。

 足元の動きは大変興味深いですが、まず日経平均の25日線の水準で28,250円が抵抗ラインとなります。本日は朝方にメジャーSQ(先物・オプション9月限の清算)がありますので、その後の先物市場が堅調に推移するのか、寄り天に近い形で「幻のSQ」となるのか動向をしっかりと見極めなくてはならないでしょう。

 今後の展開については足元の市場動向以上に内容が深くなりますので、【先読みの近未来(スタンダード会員以上の方が対象)】で詳しく考察していきます。来週からは9月中旬にさしかかってまいりますので、ポジション整理をしっかり意識しておきましょう。

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