【9/6日本市場の確認ポイント】
日経平均 27626.51(+0.02%)[27,557~27,813]
TOPIX   1926.58(▲0.11%)[1,922~1,939]
マザーズ 731.48(+0.42%)[726~739]

値上がりセクターTOP5
1.精密機器(+1.26%)
2.鉄鋼(+1.11%)
3.非鉄金属(+0.83%)
4.医薬品(+0.61%)
5.繊維(+0.56%)

値下がりセクターTOP5
1.サービス(▲1.51%)
2.海運(▲0.92%)
3.電気・ガス(▲0.75%)
4.空運(▲0.75%)
5.紙・パルプ(▲0.68%)

 日本市場は米国がレイバーデーで休場、売買手控えムードの中で上値を試しましたが、日経平均は27,800円台に乗せて頭打ちとなり、戻り売りに押されました。全体の商いは低調ながら10月の日経平均採用銘柄入れ替え発表に伴う特殊需給で新規採用の日本電産(6594)、SMC(6273)、HOYA(7741)、除外のユニチカ(3103)、OKI(6703)、マルハニチロ(1333)などの商いが膨らみました。

 主力株には今週末控えるメジャーSQを前に指数にらみと動意に欠ける展開の中、新興・小型株物色へと資金が向かいやすく、材料で2日連続でS高となったプレミアアンチエイジング(4934)のほかに、出来高を伴って急伸したチームスピリット(4397)、VALUENEX(4422)、ソフトマックス(3671)、FFRI(3692)など長い調整期間を経て動意づいてきたものなども投資家の目を引く展開となっています。

 反対に悪目立ちしたのは個人投資家人気の高いオリエンタルランド(4661)が▲6.3%と急反落、日経採用期待が剥落したのも一要因とみられます。直近で物色が目立った百貨店株や西武HD、さらに東京電力HD(9501)などが強い売りに押されて、ディフェンシブ系銘柄の軟化が見て取れます。

【米国株概況】
休場明けも続落の米国株、米金利上昇が一段と進む中で欧州ECB理事会が開催

NYダウ 31145.30(▲0.55%)[31,048~31,463]
S&P500 3908.19(▲0.41%)[3,886~3,942]
NASDAQ 11544.91(▲0.74%)[11,471~11,679]
ダウ輸送株 13664.5(▲0.53%)[13,576~13,820]
半導体SOX 2571.5(▲1.07%)[2,551~2,612]
日経平均先物(CME) 27,580(▲0.07%)[27,410~27,810]
ドル/円 140.23~143.07【高値更新】
米10年債利回り 3.351%(高値3.498%:6/14、安値1.668%:3/7)
WTI原油 86.84(高値123.68:6/14、安値85.73:8/16)
金先物 1713.00(高値2,085:3/8、安値1,695:7/14)
銅先物 3.4560(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)26.91(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 41(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)74.11(安値72.92:6/13)

 9/5レイバーデー祝日で休場明けとなった米国市場は主要株価指数がそろって続落、さらに9/1につけた安値を割り込み、この時に長い下ヒゲとともに陽線引けした底入れ期待を否定する動きとなりました。

 この間に欧州経済の景気悪化懸念やバイデン米大統領が中東外交で増産要請したにもかかわらずOPEC+会合では小幅ながらも減産へと方針転換がみられたことなどもありますが、刮目すべきはやはり米金利の上昇にあります。米10年債利回りは3.351%と6月中旬以来の高水準に達し、先に6月高値を上回っていた米2年債利回りも3.5%台を推移しています。

 金利動向でいえば並んで市場注目の高い欧州金利ですが、独10年債利回りが1.6%台に乗せてこちらも6月中旬以来の高水準となっています。欧州株はユーロ・ストックスが、露ガスプロムの天然ガス供給停止を織り込んだ前日の安値水準を切れてはいないものの、依然として底割れリスクを抱えたまま予断を許さない状況となっています。

 目先は9/8の欧州ECB理事会、そして来週の米個人消費関連指標を経て、米10年債利回りが3.5%をつけるかどうかが注目されるでしょう。その点において、為替市場では欧州ECBの0.75%利上げ観測が強まる中においてもユーロ/ドルは1.000ドルのパリティ割れの水準で推移しており、米FOMCの0.75%利上げを織り込んで欧米金利差が縮小しないとの見方が強まっているとみられます。ドル円にいたっては、世界最強通貨の米ドルと最弱通貨の日本円という構図でドル高円安が一層加速し、9月初めの138円台から一気に143円台へと急伸している現状です。

 米企業にとっては金利上昇もさることながら、ドル高がグローバルで事業展開する輸出産業やビッグテックなどにとっては収益圧迫の要因と受け取られるため、米株の上値抑制にもつながってしまうでしょう。半導体SOX指数は9/1安値を割り込まずには済んだものの、インテルなどは相変わらず下値模索の展開を強いられています。昨晩くしくも半導体支援法にともなう補助金支給を伝えるニュースが伝えらましたが、申請受付が来年初め、支給は来春になるとのスケジュールで、半導体株がどこまで持ち堪えられるかも注目すべきところでしょう。

【日本株投資戦略】
急速な為替円安の進行でも恩恵を受けるはずの外需株が冴えず、金融市場の意外な落とし穴

 休場明けの米国株が続落の動きを見せたことにより、日本株も現在の水準から動きにくい状況とみられますが、上段でも述べたとおり為替市場ではドル高・円安に一段と弾みがついて急上昇し、輸出産業にとっては追い風となります。

 ただ、その割に輸出産業の株価は為替感応度が低下しているようにもみられ、代表的な自動車、エレクトロニクス、化学や機械といったシクリカルな業種では、景気後退懸念の方を反映するかのように冴えない動きとなっています。

 足元の為替動向を加味して業績上方修正の期待が持ち上がってくるようであれば、力強い反転につながる可能性もありますが、保守的な傾向が強い日本企業がこのタイミングでガイダンスすることは考えづらく、あるとすれば証券会社アナリストによる目標株価・レーティング変更くらいでしょうか。

 しかし、足元では日本も再び金利上昇し始めて、10年国債利回りが日銀YCC(イールドカーブコントロール)0.25%上限に接近してまいりました。この閾値を突破することは日銀が必死に食い止めている以上、至難の業にも思われる反面、データのバグか何か定かではありませんが昨日は0.271%という高値が記録されています。単なる異常値かもしれませんが、日銀は9/7の指値オペ通告では、356回・357回・365回・366回・367回債を0.250%買い入れるとしています。

 日銀の意図に反して仮に偶発事故的な金利上昇でも起ころうものなら、債券市場・為替市場ともに疑心暗鬼でパニックになる恐れがあると言えます。何やらきな臭い話なのが、ブルームバーグで欧州エネルギー取引でデリバティブ取引過熱から巨額の追証発生リスクが浮上している模様で、市場機能停止の恐れがあるとの指摘があります。一見、まったく関係のない話にも思えますが、金融の世界は全てつながっていて金利上昇はこうしたオルタナティブ投資やデリバティブ取引を多用しているヘッジファンドなどを直撃する恐れがあります。

◆欧州エネルギー取引、1.5兆ドルの追い証発生も-市場機能停止の恐れ(2022/9/6)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-09-06/RHS7SHT0G1KX01?srnd=cojp-v2

 エネルギー業界をめぐっては足元で原油高恩恵で儲け過ぎとの批判から超過利益に対し課税するとの議論がなされ始めているほか、北欧ではこうした公益企業に国家が介入して支援する構えをみせています。同じくブルームバーグ記事ではフィンランドのリンティラ経済相が会見し、エネルギー関連企業発の信用危機にもつながりかねないと言及し、警鐘を鳴らす事態となっています。
 
◆ドイツ、エネルギー企業の超過利潤課税で消費者に利益還元-首相(2022/9/5)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-09-04/RHPE86T1UM0W01?srnd=cojp-v2
◆スウェーデンとフィンランド、電力会社に4.6兆円支援へ-市場混乱で(2022/9/5)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-09-04/RHPGFFT0AFB401?srnd=cojp-v2

 日本株の水準が大して変わっていないように見えても、周辺環境は刻一刻と目まぐるしく変化している状況ですので、あまりノイズに振り回されてもいけませんが、多方面でのリスク点検は行っておくようにしたいものです。

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