【9/2日本市場の確認ポイント】
日経平均 27650.84(▲0.04%)[27,570~27,772]
TOPIX 1930.17(▲0.27%)[1,920~1,939]
マザーズ 718.03(▲1.49%)[714~732]
値上がりセクターTOP5
1.証券・商品先物(+0.55%)
2.保険(+0.50%)
3.紙・パルプ(+0.49%)
4.小売(+0.36%)
5.銀行(+0.32%)
値下がりセクターTOP5
1.鉄鋼(▲1.85%)
2.空運(▲1.53%)
3.非鉄金属(▲1.07%)
4.海運(▲0.93%)
5.鉱業(▲0.85%)
日本市場は9月相場に入り1日は急落スタート、米株の底値切り返しをみて自律反発期待が高まった2日も買い先行から徐々に失速、週末の米雇用統計発表に加えて米市場3連休を意識してか上値の重さが目立ちました。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり650/値下がり1096で、上昇したのは小売・百貨店株などでディフェンシブ系銘柄が堅調な動きを見せながら、三越伊勢丹(3099)などは引けにかけて上げ幅を縮小し、引け味が良くありませんでした。半導体株などグロース株の軟調は変わらずであったことに加えて、材料物色で上昇した重工系の三菱重工(7011)や鉄鋼系の日本製鉄(5401)、航空系の日本航空(9201)などが、直近高値形成から材料出尽くしとまではいかずとも利益確定売りが目立つ動きでした。
米国株安のグロース株売りにみられる下落圧力に一定の耐久性を示してきた新興株ですが、直近IPO株で物色資金を集めていたMHT(9218)やM&A総研(9552)などが一斉に値を崩し始めました。元から需給の悪い下落トレンド銘柄には売り浴びせで、JIG-SAW(3914)は年初来安値を更新してきました。信用評価損益率は改善傾向でしたが、ここから売り方の回転が効いてくるような展開になると相場の脆さを露呈することになるかもしれません。
【米国株概況】
米国株の6月底入れ説に黄色信号、欧州悪材料で世界景気悪化懸念が広がる
NYダウ 31318.44(▲1.07%)[31,182~32,026]
S&P500 3924.26(▲1.07%)[3,906~4,018]
NASDAQ 11630.87(▲1.31%)[11,573~11,945]
ダウ輸送株 13737.6(▲1.26%)[13,662~14,055]
半導体SOX 2599.3(▲1.02%)[2,587~2,686]
日経平均先物(CME) 27,515(▲0.52%)[27,460~27,900]
ドル/円 139.85~140.79【高値更新】
米10年債利回り 3.195%(高値3.498%:6/14、安値1.668%:3/7)
WTI原油 87.25(高値123.68:6/14、安値85.73:8/16)
金先物 1722.60(高値2,085:3/8、安値1,695:7/14)
銅先物 3.4010(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)25.47(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 41(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)74.31(安値72.92:6/13)
米国市場は前日の底入れ観測と直前の欧州株が強い反発を見せていたことを背景に上昇して始まり、8月米雇用統計をうけた米FRBの大幅利上げ見通しがやや後退へ向かうとの期待で一段高しました。NYダウは一時32,000ドルを回復したほか、S&P500も週初に割り込んだ4000pt台を回復するなど自律反発への期待が広がりました。
しかし、そこにロシア国営の天然ガス会社ガスプロムが欧州向けパイプラインの再開を延期するとの速報が飛び込み、急落へと雰囲気が一変しました。さらに、再開の時期も明示されなかったことから欧州経済への懸念が強まり、下落に歯止めがかからなくなりました。
前日比では通常よりやや大きめの下落に見えますが、高安の値幅ではNYダウが844ドルで▲2.6%の急落、12000pt回復を目前にしていたナスダックでは▲3.1%と大幅安です。ただ、懸念されるのはガス供給停止が伝えられた欧州株の方で、この速報時に欧州市場では引け後であったためにほぼ高値引けとなった直後でした。独DAXは+3.3%大幅上昇でやや強引に吊り上げられた後に梯子外しをくらった格好で、週明けの市場がパニックに陥らないかが懸念されます。
また、今夏は記録的な熱波に襲われた欧州でしたが、時期的には冬支度も始まってくる欧州において今年は厳冬も予想される中、エネルギー問題の悩みが一層深刻となり、社会不安の増大も危惧されるところです。
金融市場全体で考えれば急転直下の株安は事故的と言わざるを得ませんが、幸いにも欧州のドイツ債やイタリア債の金利は景気悪化懸念からやや低下しました。今週は8日に欧州ECB理事会が控えており、長期金利を刺激することにつながらないか要注目と言えます。
米国株は6月中旬を底とした8月中旬まで2カ月間に及ぶ反騰相場の上昇幅に対し、足元の水準は高値61.8%押しに近いところとなっています。ネガティブ材料での急落から反動高はあってもおかしくないですが、この9月安値を再び割り込んでくるような動きが出てくれば6月安値も更新する可能性は否定できません。米国も欧州同様に長期金利の水準が揺れ動いており、少し先の米FOMCと前後して監視を強めておかなければなりません。
【日本株投資戦略】
自律反発期待を削がれた日本株、為替が一段の円安でも上値の重さが強まる
米国株が自律反発から釣瓶落としのような急落に見舞われ、日本株も週明けの反発期待が打ち砕かれてしまいました。本日5日は米国がレイバーデーで休場のため、売買手控えムードが強まりやすいのが基本線ですが、最近、信頼性の薄い時間外ダウ先物が不自然に反発の動きを匂わせるようだと日経も先物主導で強い地合いになるかもしれません。
為替のドル円も先週さらに高値を更新してきたことで、日本株も連想買いする投資主体があっても不思議ではありません。今週は欧州ECB理事会が控えており、ここで大幅利上げが決定されるようだとユーロ買戻しから円売り圧力はさらに強まることにもなりかねません。
しかし、日本株の動向を見渡しますと直近の円安進展で上値を伸ばしてきている輸出関連銘柄はあまり見当たりません。新高値更新銘柄はむしろ内需・ディフェンシブ系が多く、強いて挙げれば三菱自動車(7211)くらいです。
つまり円安とセットで日経先物を買い上げる勢力は一定数存在するものの、個別銘柄に焦点を当てていくと、円安による業績修正期待の物色には一巡感があると考えておいた方がよいかもしれません。円安が一概に好材料とは言えませんが、ここまでの日本株が底堅い動きを続けた一助になっています。そうした材料の感応度が鈍ってきているということは、地合いの変化に注意しておく必要があります。地合いが良い時は大した材料でなくともやたらと上昇しますし、悪い時は反対に好材料があっても反発した以上に下落するようになるものです。
日経平均やTOPIXは今週末に先物・オプションを清算するメジャーSQを控えており、意外な日に意外な相場荒れ模様となっても不思議はありません。5日はOPEC+会合、そして6日にかけて英首相の任命があり、8日に欧州ECB理事会が控えます。週末9日には中国のCPI(消費者物価指数)・PPI(生産者物価指数)発表とメジャーSQがあります。
先週末の米国市場を揺るがしたのはロシア-欧州の関係悪化でしたが、このような地政学やこじれた国際関係について悪材料と市場が捉えて反応する時は、どの角度からリスクを持ち込まれても過敏に下げる場面がみられても仕方ないと割り切る必要があります。
優先して監視すべきはやはり金利動向ですが、今週はリスク指標もおかしな前兆を示していないかチェックしておくようにしましょう。相場継続には好材料・悪材料に対しての市場感応度を見極める必要と、前回お伝えしたように日経平均が200日移動平均線の重要なサポートを切らないことが絶対条件です。
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