【9/1日本市場の確認ポイント】
日経平均 27661.47(▲1.53%)[27,589~27,832]
TOPIX   1935.49(▲1.41%)[1,934~1,950]
マザーズ 728.90(▲1.78%)[728~737]

値上がりセクターTOP5
1.建設(+0.33%)
2.なし
3.なし
4.なし
5.なし

値下がりセクターTOP5
1.海運(▲3.06%)
2.卸売(▲2.82%)
3.鉱業(▲2.73%)
4.石油・石炭(▲2.49%)
5.保険(▲2.21%)

 日本市場は米国株安の流れをうけて続落、日経平均は200日線のサポートが控える27,500円に接近し、下げ幅は一時▲500円幅に達しました。半導体株の主力どころが軒並み大幅安をはじめグロース株がきつい下げとなったほか、海運株や商社株、電機株なども下落が目立ちました。

 足元で堅調だったバリュー株も鉄鋼・銀行などを除いてグロース・バリュー問わず値を崩しました。トヨタがらみの材料ではまず、EV電池生産に大型投資表明をうけた電池関連にテーマ物色、さらに車用鋼材値上げの合意した日本製鉄(5401)ほか鉄鋼関連の一角に逆行高する銘柄がみられています。

 米金利上昇で敬遠されるグロース株売りの流れからみますと新興・小型株の売り圧力が強まりそうなものですが、マザーズ指数は日経・TOPIXと並ぶ下落率でパニック的な下落はみられておりません。東証プライムの騰落銘柄数は値上がり195/値下がり1606で、8/29の大幅安時と同レベルですが騰落レシオが100ptを下回ったところで、調整の範囲内での下げといったところです。

【米国株概況】
市場予想に反して良好だった米経済指標をうけて下落ストップ、債券市場で9月利上げ織り込む動き、半導体SOXが長い下ヒゲの陽線形成で一旦底入れを示唆

NYダウ 31656.42(+0.46%)[31,219~31,677]
S&P500 3966.85(+0.30%)[3,903~3,970]
NASDAQ 11785.13(▲0.26%)[11,546~11,798]
ダウ輸送株 13913.1(+0.38%)[13,669~13,918]
半導体SOX 2625.9(▲1.92%)[2,548~2,629]
日経平均先物(CME) 27,785(+0.56%)[27,550~27,880]
ドル/円 139.01~140.22【高値更新】
米10年債利回り 3.259%(高値3.498%:6/14、安値1.668%:3/7)
WTI原油 86.37(高値123.68:6/14、安値85.73:8/16)
金先物 1708.80(高値2,085:3/8、安値1,695:7/14)
銅先物 3.4080(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)25.56(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 45(NEUTRAL:中立)
High Yield Bond (HYG)74.36(安値72.92:6/13)

 米国市場はジャクソンホール会議後の続落商状から5日ぶりの反発、新規失業保険申請件数の改善や8月米ISM製造業景気指数が52.8と予想比上振れが市場の警戒感を和らげ、押し目買いが入りました。週末に8月米雇用統計を控える中で労働市場への注目度は殊更に高く、非農業部門雇用者数が前月比30万人増加の堅調な伸びが予想されているのとあわせて米経済の底堅さを確認しようとポジション調整圧力が高まっています。

 先日のジャクソンホール会議ではパウエル米FRB議長による米雇用への言及もみられたことなども一つですが、民間部門のADP雇用統計が13.2万人増加と市場予想の半分ほどにしか届かなかったこともあり、データ次第と繰り返している米金融政策の今後への関心が高まっていることが背景にあります。

 前回述べましたようにジャクソンホール会議の講演時は債券市場で大きな動きはみられていませんでしたが、その後の動きでは米金利上昇が徐々に加速してきました。昨晩は米10年債利回りで一時3.295%をつけ6月以来の高水準に、米2年債利回りではすでに6月の3.439%を上回り3.546%の高値をつけています。つまり、債券市場では9月米FOMCの0.75%大幅利上げを織り込む動きが進んでおり、為替ドル円も140円台に乗せて日米金利差拡大を反映させています。

 米国株は米金利上昇を背景にグロース株売りの圧力が強まっていますが、昨晩はナスダックが7月中旬以降の上昇相場の起点まで往って来いの水準11500ポイント台から反発に転じました。とくに半導体株エヌビディアの下落率が一時▲12%を超えていましたが下げ幅を縮小、半導体SOXは▲2%近く下落したものの一時は▲4.8%の大幅安からはだいぶ切り返しました。

 今晩の8月米雇用統計での市場反応がかなり重要となってくるところで、これをうけて米金利上昇が一段と進み、6月の3.5%に接近していくのか、あるいは再び3%台前半へと抑えられるのかによって米国株の展開はだいぶ違った景色になってきます。

 他方で、前回詳しく述べました欧州では、懸案だった伊10年債利回りが4%を超え、瞬間的にではなく通常運行で到達してきた点が市場を揺らしています。米国とは異なりユーロ圏経済指標は悪化の一途を辿っており、独10年債利回りも一時1.6%台をつけるなどしてイタリア国債とのスプレッドが拡大しているわけではありません。しかし、今度はEU圏を引っ張るドイツ経済への懸念も強まることとなり、来週8日の欧州ECB理事会を前にナーゲル独連銀総裁はナーバスになっています。よって、米雇用統計をきっかけに市場が一時持ち直しの動きを来週前半みられたとしても、週央からは再び警戒感が強まることも念頭に置いておく必要があると言えるでしょう。

【日本株投資戦略】
米国株下げ止まりで押し目買い、自律反発の障壁には米雇用統計と来週ECB理事会のイベントが控える

 日本株は前回警戒を促しましたように値がさ主力株の値崩れが目立つようになり、日経平均は200日移動平均線の27,500円付近に押し戻されてきました。テーマ株物色はネタをとっかえひっかえで投資資金の物色意欲は健在ですが、値上がり銘柄数の減少から勢い自体はやや弱まってきているのが現実とみられます。

 株価を刺激する材料が個別企業からも証券会社アナリストのレーティング格上げなどいろいろ出ていますので手掛かり難というわけではなく、為替円安を背景に米国株よりも相対的に底堅いのも事実です。

 しかし、上記【米国株概況】で解説のとおり欧米市場での金利動向があやしくなっておりますので、これが市場の臨界点を超えた時には一気にそのインパクトが襲ってくることを警戒しておく必要があります。ちなみに景気に先行するドクターコッパ―とよばれる銅先物は下落がやや大きくなってきており、金利動向とあわせて注目される点です。

 米国のグロース株売りが一旦収まったことで自律反発期待の押し目買いの場とみられる一方、これを否定する動きになるかも焦点です。日経平均は200日移動平均線の重要なサポートを来週以降も切らないことが絶対条件で、そのためには上記8日の欧州ECB理事会と米国の9月からQT(量的引き締め)加速の実態確認をこなさなければなりません。米国QT本格化となれば債券市場に直接的影響が及んでくることになりますので、日本株にとっても米国株より強いから平気というわけにはまいりません。

 足元で金融庁がNISA制度拡充など株式市場にとって政策的な追い風になるニュースも出る一方で、当局は銀行の与信や有価証券運用のリスク管理強化を発信しています。これは投資家に対して嵐が来ることに備えよというお達しとも取れます。本日市場の戻りがあるのであれば、来週前半までのところでいま一度保有ポジションのリスクを見直し、必要があれば株数の調整などを検討しておいた方がよいでしょう。

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