【8/25日本市場の確認ポイント】
日経平均 28479.01(+0.58%)[28,357~28,534]
TOPIX   1976.60(+0.48%)[1,968~1,980]
マザーズ 743.68(+1.16%)[739~745]

値上がりセクターTOP5
1.医薬品(+1.59%)
2.保険(+1.49%)
3.金属製品(+1.27%)
4.その他金融(+1.13%)
5.ガラス・土石(+0.92%)

値下がりセクターTOP5
1.電気・ガス(▲0.79%)
2.小売(▲0.13%)
3.陸運(▲0.04%)
4.ゴム(▲0.04%)
5.非鉄金属(▲0.02%)

 日本市場は米国株下げ止まりから自律反発狙いの買いが優勢、米エヌビディアや米セールスフォースの時間外下落を受けながらも底堅い動きを続けました。東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1243/値下がり512で指数上昇以上にしっかりした内容で、マザーズ指数の上昇などから小型株にも週初の強い売りから見直される動きがみられています。

 米ジャクソンホール会議のイベントを前に指数がらみは比較的落ち着いた動きとなる中、直近では原発関連や資源リサイクル関連など材料株が物色の柱となり、東京電力(9501)や日本製鋼所(5631)、リネットジャパン(3556)などが商いを伴って大幅高しました。一方で、東京ガス(9531)や大阪ガス(9532)などに売りが目立ち、値下がりセクターにはディフェンシブ系が並びました。

 大型株・小型株問わずテーマ株の物色が活発化しており、人気テーマの入れ替わりも激しく前後しています。EV、メタバースの物色一巡から再生可能エネルギー、旅行・レジャーへと流れ、足元では石油、原発や防衛など目まぐるしい展開。米ジャクソンホール会議というイベント通過でアク抜け感から主力株の物色が強まるのか、引き続き小型テーマ株の物色が続くのかが焦点となりそうです。

【米国株概況】
米金融政策見通しの明言避ける金融当局者、結局の手がかりは米経済指標の追加データかテクニカル指標

NYダウ 33291.78(+0.98%)[32,889~33,306]
S&P500 4199.12(+1.41%)[4,147~4,200]
NASDAQ 12639.27(+1.67%)[12,471~12,641]
ダウ輸送株 14957.7(+1.73%)[14,739~14,959]
半導体SOX 2971.1(+3.66%)[2,873~2,973]
日経平均先物(CME) 28,460(+0.49%)[28,250~28,520]
ドル/円 136.18~137.20
米10年債利回り 3.031%(高値3.498%:6/14、安値1.668%:3/7)
WTI原油 93.02(高値123.68:6/14、安値85.73:8/16)
金先物 1771.80(高値2,085:3/8、安値1,695:7/14)
銅先物 3.7002(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)21.78(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 48(NEUTRAL:中立)
High Yield Bond (HYG)77.08(安値72.92:6/13)

 米国市場は週初にジャクソンホール会議への警戒から大幅安した売りが一巡し、実際に会議が始まると足元では買戻しの動きが強まりました。債券市場の米金利上昇もひとまず落ち着き、米10債利回りの再び3.0%台回復で売り急いだハイテク株が買い戻されました。ただし、下げの起点となった先週末の水準には半値戻ししたところと言え、会議後を見据えてポジション調整の意味合いが強いとみられます。

 昨晩から始まったジャクソンホール会議では米FRBメンバーがそれぞれに発言していますが、9月米FOMCの利上げ姿勢を明言することは避け、適切な利上げ幅をめぐる議論は進んでいないと言えます。結局のところデータ次第のスタンスから来週の米雇用統計など追加データ待ちとみられ、株式市場ではそれまでの猶予期間でポジションをどちらかに大きく傾けるのはまだ早いとみて買戻しの動きにつながったと言えます。

 また、米CPIや米総合PMIに続いて、昨日発表された米2Q(4~6月期)GDP改定値では速報値から上方改定され、注目度が高まっている米個人消費に関しては1.0%増から1.5%増に修正されました。これらによって米景気はそれほど悪化しているわけではないとの見方も可能で、それをふまえた金融政策の引き締め議論に踏み込んだ発言がいつ金融当局者から出るのか、あるいは9月米FOMCまで沈黙を続ける可能性もあります。その場合、事前アナウンスで市場がまともに織り込むことは難しいため、結局は9月米FOMC(9/20~21)まで方向感の定まらない乱高下を続けることになると考えられます。

 ひとまずジャクソンホール会議というイベント通過で先週末の水準を来週早々にも奪回してくるようであれば上目線、反対に週初の強い売りが出た時の安値を切れてくるようなら下目線になります。NYダウは25日線と200日線の間で方向感を探っているところで、どちらをブレイクしても大きな動きにつながりやすくなります。ナスダックはテクニカル指標のMACDが下抜け、一方でRSIは一旦底入れの兆しもありますので、来週の米経済指標の追加データで方向感を探らなければならないでしょう。

【日本株投資戦略】
動かない中銀、日本も黒田総裁のサプライズ発言無ければ現状のトレンドは維持される

 日本株は日経平均・TOPIXともに25日線より上の水準で下げ渋り、米国株よりも下落耐性があることを示しました。ひとまず米国株の下げ止まりが確認できて、米ジャクソンホール会議のイベント通過で不透明感が解消されれば、アク抜け反発の期待が持てることと思います。

 前回も述べましたように米ジャクソンホール会議でノーサプライズとなれば、7月後半からの市場楽観視は9月米FOMCまで猶予が与えられているとの解釈もでき、その途中で転換点となり得るのは9/2の米雇用統計発表、あるいは9月QTペース倍増が伝えられる米FRBバランスシートの現状が伝えられる9/9、8月米CPI発表の9/13などが重要日程となります。

 イベント通過で全体市場の方向感が出るようだと一気に走る可能性があるのは米国株と同様ですが、可能性としては限られるために個別株の材料物色を中心とした相場展開が続くとみておいた方がよいかもしれません。

 直近では新聞報道や企業発表などだけでなく、直近の決算発表をふまえた証券各社のアナリストレポートなどに株価が大きく反応している様子も目に付きます。こうした現象は全体としての方向感が乏しい時ほど顕著に見られ、物色に偏りが生まれやすい環境と言えます。

 8月も月末にさしかかり投資家の夏季休暇も明けてくるところで、市場の商いが膨らむかどうかがこの時期の見どころです。1日の売買代金が少なくとも3兆円を超えてくるようなら、足元の上昇トレンドを信じて強気姿勢、追加の上値余地に期待をするところです。反対に、売買代金が低調であれば上昇トレンドの継続性は疑わしく、夏季特有の閑散相場で不用意に吊り上げられた株価が修正を迫られることになります。

 日本株の場合は25日線、200日線、75日線(50日線)とテクニカルサポートが厚く控えており、これらはむしろ絶対に割ってはいけないラインとも言えます。強力なサポートを破られるということはそれだけ相場が弱っているというシグナルですので、基本しばらくは強気の展開を期待しながらも、テクニカル指標の悪化時は謙虚にポジション縮小を検討するようにしておけばよいでしょう。

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