【8/19日本市場の確認ポイント】
日経平均 28930.33(▲0.04%)[28,913~29,150]
TOPIX 1994.52(+0.20%)[1,990~2,003]
マザーズ 748.34(▲0.90%)[748~761]
値上がりセクターTOP5
1.石油・石炭(+1.70%)
2.鉱業(+1.52%)
3.紙・パルプ(+1.34%)
4.非鉄金属(+1.13%)
5.電気機器(+0.99%)
値下がりセクターTOP5
1.医薬品(▲1.42%)
2.サービス(▲0.90%)
3.その他製品(▲0.70%)
4.情報・通信(▲0.48%)
5.倉庫・運輸(▲0.40%)
8/19の日本市場は東証プライムの騰落銘柄数が値上がり1077/値下がり650で値上がり優勢ながらも指数は一進一退。日経平均は29,000円、TOPIXは2,000ptのそれぞれ節目付近での攻防を演じ、この日は日経の反落に対しTOPIXがプラス圏で取引を終えました。
日経平均構成銘柄の主力どころでは、押し上げ役だったファーストリテイリング(9983)が2日続落で5日線割れ、材料急騰した第一三共(4568)も高値圏での粘りから滑落したほか、トレンドマイクロ(4704)なども利益確定売りに押され出しました。一方、為替の円安再開により輸出産業が買われやすく、ソニー(6758)やニコン(7731)などエレクトロ二クスを中心に製造業が強含みでした。
足元では8月初めに130円台まで下落していたドル円が再び135円を突破して上値指向を強めており、TOPIX先物買いとともに指数主導での上昇相場を支援しました。ただ徐々に上値が重くなり始めた株価指数にもう一段の為替円安がプラスに作用するかどうかは見極めが必要でしょう。為替とともに米金利上昇が再開となればグロース株には逆風となり、指数寄与度の大きいファーストリテイリング(9983)や東京エレクトロン(8035)に調整ムードが強まることも当然考えられるからです。
【米国株概況】
米株高の短期トレンドは一服を示唆か、米10年国債金利が再び3%に接近、注目のジャクソンホール会議(8/25~27)
NYダウ 33706.74(▲0.86%)[33,627~33,904]
S&P500 4228.48(▲1.29%)[4,218~4,266]
NASDAQ 12705.22(▲2.01%)[12,674~12,859]
ダウ輸送株 14771.8(▲1.75%)[14,748~14,990]
半導体SOX 2953.3(▲2.78%)[2,941~3,008]
日経平均先物(CME) 28,725(▲0.71%)[28,670~29,135]
ドル/円 135.71~137.22
米10年債利回り 2.976%(高値3.498%:6/14、安値1.668%:3/7)
WTI原油 90.77(高値123.68:6/14、安値85.73:8/16)
金先物 1762.90(高値2,085:3/8、安値1,695:7/14)
銅先物 3.6697(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)20.60(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 51(NEUTRAL:中立)
High Yield Bond (HYG)76.95(安値72.92:6/13)
8/19の米国市場は主要株式3指数がそろって5日移動平均線を割り込み、短期トレンドの上昇一服を示唆しました。NYダウは34,000ドル、ダウ輸送株は15,000ドルの節目でそれぞれ年初来の3分の2値戻しを達成しており、これらがちょうど200日移動平均線と近接した水準となっています。
200日移動平均線は景気循環線とも呼ばれ、中期トレンドもここで戻り一服となるか、あるいはここから一段と強含むことができるかは米景気次第です。単なる需給的な要因だけで相場上昇が継続することは難しく、金融政策で新たにQE5の量的緩和拡大を示唆しない限りにおいてその持続可能性は危ぶまれると言えるでしょう。
先週の7月米FOMC議事要旨では明確な手掛かりを得ることはできませんでしたが、金融当局者の発言では9月米FOMCの大幅利上げを正当化する内容の発言が目立ちます。直近で米金利は10年債で再び3.0%に接近してきており、また2年・5年・7年との逆イールド現象も解消しないまま推移しています。株式市場にとって米景気次第と申し上げた中で、債券市場が相変わらず景気後退懸念を緩めていないことは無視できない事実です。
他の先進国債券の金利が低いために米国債に一定の需要があることは事実として、6月より量的引き締めを開始するとした米FRBのバランスシートは実際のところ8.9兆ドルから500億ドル程しか圧縮出来ておらず、少なくとも年間で1兆ドル超を縮小していく当初計画と見比べてみた時にほとんど誤差でしかありません。すなわち、このバランスシート縮小を先延ばししているツケはどこかで払わされることとなるわけですが、9月からはこれを本格化させると言っています。
これまでも言動不一致が目立った米FRBが本当に実行できるかどうかは分かりませんが、直近の経済指標発表でむしろ米景気が思ったより悪くならないと喧伝しながら株高を演出してきたわけですから、これを理由に大幅利上げ継続とバランスシート縮小をセットで行う算段なのであれば警戒しておく必要があります。今週開かれるジャクソンホール会議が注目されているのにはそれなりの理由があり、昨年はパウエル米FRB議長が年内の量的緩和縮小を示唆したことで市場に波紋を投げかけました。世界景気敏感の筆頭格である日本株などはその直後の昨年9月に最高値形成から調整入りしましたので、当然今年も注目が集まっています。
【日本株投資戦略】
小型・グロース株の動向から先行きを探る、海外勢の先物買いは継続かポジション解消か
日本株は先週半ばに日経29,000円の大台を突破した後はこの先の方向感を探りながら高値もみ合いとなりました。これまでの28,000円、27,000円の水準でも大きな節目付近ではもみ合いを演じながら売り物を消化して上がってきた経緯がありますので、今週は短期トレンドの見極めが重要になるところです。
中長期トレンドは日経平均もTOPIXも200日移動平均線を上回っており、多少の下落がみられた程度では押し目買いが入ってくるとみられますが、マザーズ指数においては依然として200日移動平均線を下回っており、これは米ナスダックなどと同様です。リスクマネーの先行きを探るにはリスクの高いものから順を追ってみていく必要がありますので、今週はこれらに注目しておかなくてはなりません。
一つ気がかりなのは先週末の米ナスダックがチャート上で窓を開けて陰線を形成したことに加えて、ハイ・イールド社債もそれより2日前に同様の動きを見せた後に一段安していることです。今のところ各種リスク指標にはそれほどの警戒シグナルを発してはおりませんが、先導性のあるリスク資産が不穏な動きを見せ始めていることに対しては一応目を向けておく必要があるということです。
また、日本株において7月下旬~8月にかけての日経平均上昇は海外ヘッジファンドや投機筋の先物買いが主導してきました。需給面では政策的な吊り上げも行われていることは以前解説したとおりで、足元ではこれらがピークアウトして手口が反転してくるかどうかがカギになります。裁定買い残は8/12にそれなりに膨らみつつも、水準的には今年3月などのピークと同水準であり、投機筋の先物買いが異様に積み上がっているポジションを解消に向かわせるようだと、今度は当然ながら先物主導での下げがみられやすくなります。
とくに米景気、米金融政策、米金利にちなんでグロース株が相場復調の象徴的存在として買われてきましたので、バリュー株VSグロース株の反転とした市場物色、そしてグロース株の値保ちの良し悪しについて注視していくようにしましょう。もし決算後の好業績銘柄が利益確定売りに押され出したら相場調整あるいは相場反転の可能性を示唆するものと考えた方がよいでしょう。
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