【8/12日本市場の確認ポイント】
日経平均 28546.98(+2.62%)[28,207~28,564]
TOPIX 1973.18(+2.04%)[1,952~1,973]
マザーズ 726.27(+2.44%)[715~726]
値上がりセクターTOP5
1.精密機器(+3.77%)
2.電気機器(+3.06%)
3.機械(+2.81%)
4.サービス(+2.73%)
5.石油・石炭(+2.56%)
値下がりセクターTOP5
1.なし
2.なし
3.なし
4.なし
5.なし
8/12の日本市場は8月限のSQを28,525円で清算し、引けにかけてさらに上値を伸ばして高値引けとなりました。全33業種がプラスの全面高商状で、日経平均の上げ幅は727円高(+2.62%)、TOPIXも39ポイント高(+2.04%)でともに指数の上昇率としては2%超の大幅高を記録しました。
企業決算が相次ぐ中で、減益決算や業績下方修正を発表した銘柄は全面高の中でも逆行安を見せるなど、手放しに何でも買われたわけではないものの騰落レシオ(25日)は再び130ポイントを上回り、相場がやや過熱気味に推移してバイイングクライマックスの様相を呈してきています。これは短期間のうちに急騰を見せる最後の吹上げのような現象のことを指します。
日経平均は東京エレクトロン(8035)やファーストリテイリング(9983)、ファナック(6954)など値がさ株が多く上昇したことで3月、6月の高値を上回ってきました。一方、TOPIXはあと一歩のところで止まっており、上昇相場としては日経に遅れて高値更新してくるのか、あるいはその手前で腰折れしてしまうかが、目先の焦点になります。マザーズ指数は8/5の戻り高値以降はやや上値が重くなっており、主力株および先物主導での上昇相場がどこで息切れするかがポイントになります。
【米国株概況】
米国景気への自信回復で反発強める世界株高、強気相場への転換見込むには米FRBのQT政策がどの時点で本格化するのか見極め必要
NYダウ 33761.05(+1.27%)[33,398~33,767]
S&P500 4280.15(+1.73%)[4,219~4,280]
NASDAQ 13047.19(+2.09%)[12,821~13,047]
ダウ輸送株 15146.7(+0.49%)[15,020~15,151]
半導体SOX 3067.8(+2.99%)[2,992~3,072]
日経平均先物(CME) 28,710(+0.60%)[28,100~28,770]
ドル/円 132.87~133.88
米10年債利回り 2.842%(高値3.498%:6/14、安値1.668%:3/7)
WTI原油 91.88(高値123.68:6/14、安値87.03:8/5)
金先物 1818.40(高値2,085:3/8、安値1,695:7/14)
銅先物 3.6783(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)19.53(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 55(NEUTRAL:中立)
High Yield Bond (HYG)78.94(安値72.92:6/13)
先週の米国市場は米雇用統計、CPI、ミシガン大消費者信頼感指数など経済指標の発表が相次ぐ中で投資家のセンチメントは改善傾向を強め、主要株式指数は軒並み大幅反発しました。期待インフレ率の低下から米FRBが利上げペースを緩めるとの見方が強まるとともに、米長期金利の低下なども相まってハイテク株主導の買戻しを支援する相場が続きました。
市場の楽観姿勢は各リスク指標にも顕著に表れており、VIX指数は節目のついに20ポイント割れを達成し、F&G指数もまた中立上限の55ポイントに達してきました。また、ハイ・イールド債も6月初めの水準まで上昇してリスクオンを示しています。
7月中旬以降、株式市場の目覚ましい反発地合いが続いている中で、景気動向の先行指標であるダウ輸送株やハイテク株主体のナスダックは安値からそれぞれ+18%、+23%と大きく反発を見せており、NYダウ(工業株)の底値上昇率がようやく+10%を超えてきたところと比べますと、明らかな違いが見て取れます。これらから米長期金利の上昇や景気後退懸念による売り圧力が強かったものほど買戻し時の反発力が大きいことが窺えます。
NYダウは年初の36,700ドル水準から一時30,000ドル割れまで低下し、現在はこれの半値戻しを達成、ナスダックも年初の16,000ポイント付近から10,500ポイントまで低下し、同じく半値戻し近くまで上昇した水準になります。底値から見た場合の反発が大きいため、すでに強気相場入りしたように思えるかもしれませんが、過去の弱気相場の中でもこうしたベアマーケットラリーは度々起きていましたので、まだ完全にトレンド転換したとは言い難い状況です。
米国経済のソフトランディング期待が高まってきたことと相まって本格的な上昇相場入りも期待されるところですが、これまでも述べてきたように今は米FRBがQT(量的引き締め)政策を中断している状況で株高が演出されていますので、これが行われないままインフレ懸念が収束することはあり得ませんので、結局のところ今後も米FRBの手綱さばきを注視しながら神経質な相場展開が続くと考えなければならないでしょう。
【日本株投資戦略】
政策的な株高支援材料の織り込み完了とともに相場天井が近づく、8月下旬のジャクソンホール会議がメイントピックに
欧米金融当局の金融引き締め懸念後退とインフレ・ピークアウト期待で欧米市場が堅調な動きを続ける中で、日本株もロシア-ウクライナ情勢緊迫化後の戻り高値を更新する動きが出てきました。7月後半からの企業決算スケジュールも難なく消化できたことで、インフレ圧力や中国ロックダウン影響などによる業績下振れの懸念もある程度織り込んだ上での株価反発をみていると言えます。
日本株の場合、3月や6月の高値をつけた時と同様に、足元では岸田新内閣の発足とともに追加補正予算における財政出動への期待が相場を押し上げている側面があり、いわば今回も政策的な株高演出と性質が似たものとなっています。
世界的な株価反発局面と日本の政策期待による株高が同期している点から、単純にリスクマネーの動きに準拠しているように思えるかもしれませんが、上述したように米国株は年初の水準から半値戻しを達成したところであるのに対し、日本株の場合は年初の日経29,000円に対してほぼ全値戻しに近いところまで戻りがみられている点に特徴の違いがあります。
世界のリスクマネーが収縮する過程において、相対的に下げ渋ったのが日本株であったと仮定すれば、売り圧力が強まっている時期にも潜在的な買い手が存在していたとみなすことができます。
2022年の日銀ETF買入は累計で5,600億円程度ですので存在感としてそれほど大きいわけではなく、むしろ企業の自社株買い増加がより存在感を増してきたというのが現実かと思われます。反対に米国株は本日のブルームバーグ記事からも記録的な自社株買いが減速しているという事実が株式市場の需給に直接的な影響を及ぼしているとみることができるかと思います。
▼米株式相場の回復に新たなハードル、記録的な自社株買いが減速(2022/8/15)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-08-14/RGLKGODWX2PS01
現状ではまだ観測記事にすぎないですが、以前に金融システムの大転換に関して重大な鍵を握っていると解説した米中首脳による直接会談の日程ですが、11月に東南アジアで行われるとの可能性が浮上してきています。先月末の米中首脳電話会談からだいぶ日が空くことにやや違和感がありますが、これで8月のメイントピックは下旬のジャクソンホール会議に焦点が移ったと言えるかもしれません。
▼中国が米中首脳会談を計画、11月に東南アジアで(2022/8/13)
https://news.yahoo.co.jp/articles/a95f574b719d922cdcd45ec3c6272641fdd6ec01
まずは今週の米中双方の出方を窺いながら、足元の上昇相場の終着点がどこになるかを見極めていくべき時期でしょう。【8/12日本市場の確認ポイント】で上述した主力値がさ株、そしてTOPIXが高値を奪還できるかどうかに注目しましょう。
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