【7/27日本市場の確認ポイント】
日経平均 27655.21(▲0.16%)[27,538~27,715]
TOPIX   1943.17(▲0.00%)[1,939~1,947]
マザーズ  701.39(+0.35%)[692~702]

値上がりセクターTOP5
1.鉱業(+3.37%)
2.石油・石炭(+2.33%)
3.保険(+1.52%)
4.非鉄金属(+1.05%)
5.ゴム(+0.52%)

値下がりセクターTOP5
1.海運(▲1.78%)
2.医薬品(▲0.85%)
3.陸運(▲0.70%)
4.精密機器(▲0.69%)
5.その他製品(▲0.66%)

 7/26の日本市場は7月米FOMCを前に様子見ムードが強く、イベント前の持ち高調整で朝方に下落して始まり、その後は押し目買いが入り前日比変わらずまで戻して終了。日経平均、TOPIXともに小動きで出来高も膨らみませんでしたが、東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1064/値下がり682で、騰落レシオ(25日)は143.82まで達しました。

 朝方10時過ぎより原油価格が急伸したことに伴い石油関連株のINPEX(1605)やウクライナ情勢で物色されやすい軍需関連の三菱重工(7011)、大阪チタニウム(5726)と東邦チタニウム(5727)の物色が再燃するなど、手がかりがあるところには資金が向かいやすいとみられます。決算がらみでは業績上方修正のKOA(6999)やダブル・スコープ(6619)が2ケタ超の急伸をみせました。

 一方で、市場全体の地合い好転でいち早く買い進まれてきた海運株が軟調、川崎汽船(9107)は急ピッチの上昇から一転して▲3%超の下落、また決算発表後に戻り高値を更新していた中外製薬(4519)も▲3%超の大幅安となりました。ただ、全体調整ムードの中で朝方に700ポイント割れで始まったマザーズ指数は買い戻されてプラス転換しており、大型株が動きづらいところで小型株に収益機会を見出そうと物色する様子も浮かび上がっています。

【米国株概況】
◎7月米FOMCが迫る中で消費関連の経済指標悪化が鮮明、米FRBの利上げ幅は0.75%で本当に決まるのか難しい局面

NYダウ 31761.54(▲0.71%)[31,705~31,950]
S&P500 3921.05(▲1.15%)[3,910~3,953]
NASDAQ 11562.58(▲1.87%)[11,533~11,711]
ダウ輸送株 13614.1(▲1.81%)[13,557~13,824]
半導体SOX 2779.0(▲1.63%)[2,771~2,822]
日経平均先物(CME) 27,415(▲0.85%)[27,405~27,715]
ドル/円 136.25~136.96
米10年債利回り 2.803%(高値3.498%:6/14、安値1.668%:3/7)
WTI原油 95.52(高値123.68:6/14、安値88.53:3/15)
金先物 1716.0(高値2,085:3/8、安値1,695:7/14)
銅先物 3.3960(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)24.69(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 35(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)76.33(安値72.92:6/13)

 7/26の米国市場は前回のPMIに続いてコンファレンス・ボード(CB)が発表した7月消費者信頼感指数が約1年半ぶりの低水準を記録し、消費関連の経済指標悪化が株価の重しとなりました。米小売大手のウォルマートが業績見通しを下方修正したことで、食料品と燃料の価格上昇が実体経済に波及している現状が再認識されたと言えます。

 これと合わせてアマゾンが欧州で有料会員「プライム」の年会費を最大43%引き上げると発表し、消費者が一般商品を買い控える傾向は今後一段と強まることが予想され、個人消費の落ち込みを市場が織り込む動きが加速しています。

 この日はウォルマートが▲7.6%の大幅安はじめ、ナイキが▲3.7%、コストコが▲3.2%、小売チェーンのホームデポも▲2.6%、クレジットカードのアメリカン・エキスプレスが▲2.6%と消費関連が軒並み下落したほか、値上げ発表のアマゾンも▲5.2%と急反落しています。景気後退懸念の中で資金の退避場所となった日用品・生活必需品といったディフェンシブ株が売られ始めたことは注目しておくべきでしょう。

 こうした前回解説した【米国株概況】と市場の物色傾向が変わってきていることは、セクターローテーションが進むきっかけともなり得るものですが、目前に迫っている7月米FOMCの大幅利上げ観測からグロース株にすんなりと資金が回るといった状況でもなく、この日決算発表だったグーグルやマイクロソフトはそれぞれ▲2.3%、▲2.7%と反落しています。なお、グーグル、マイクロソフトともに引け後のアフターマーケットで5%近く上昇となっており、昨晩の下げ分については早々に埋め戻しています。

 債券市場では未だに長短金利が逆転する逆イールド現象が続いていますので、この決算シーズン後で再びマクロ経済がより強く意識されるようになると市場環境はガラリと変わってしまう恐れがあります。まだリスク指標が反応としては軽微ですから過剰に警戒する必要は無いでしょう。

 ただし、7月米FOMCを通過する際に市場が大幅利上げを織り込み済みの反応でひと安心となっても、7月米雇用統計が発表される頃には現在のラリーも息切れしている可能性が高いですので、どの時点からリスク指標が動いてくるのか注視しておく必要があるでしょう。

【日本株投資戦略】
サマーラリーは米FOMC待ちで中だるみ、業績期待株をめぐる攻防は今後激化する見込み

 足元では欧州がエネルギー相会合を開き、ロシアからの天然ガス供給が停止する事態に備えて8月から来年3月まで自主的にガス使用量を15%削減する案が承認され、景況感が一段と冷え込むことが見込まれる中、直近で戻り歩調だった株価の上昇も一服してきました。

 7月中旬からみられている買戻し攻勢は、エネルギー自立が困難な欧州株、日本株ほど市場需給面からの反騰が生じやすく、ファンダメンタル悪化を横目にリバーサルの動きを見せてきました。

 この時期における市場の関心は企業業績に向かっており、業績相場の様相を呈していますので目先はマクロ経済の優先順位は若干下がっていると考えられます。ただし、肝心の企業業績のところでは日本電産(6594)も決算発表後から続落商状で、発表直後に急落は無かったもののじわじわと水準が低下してきていることが見てとれます。

 外需を中心に収益をあげている国際優良株は為替影響で業績が押し上げられており、その裏では為替影響を差し引くと本業が減益となっている点は落とし穴になります。今4-6月期業績が為替影響だけで見栄えだけ良くなっている企業は要注意で、昨日発表の銘柄ではキヤノン(7751)、シマノ(7309)や日東電工(6988)などもそれに当たり、本日の株価一次反応が注目されます。

 まだ決算発表シーズンの序盤ですから、決算数値を確認して増収増益、業績上方修正だから直ちに買いというのは短絡的で、内容も吟味しなければ株価二次反応で期待を裏切られ、損切りの憂き目をみることになります。市場の好地合いにあぐらをかいてトレードするのは危険と言えるでしょう。

 今後もおそらく4-6月期の企業業績に関しては、世界的なインフレや中国ロックダウンの影響を懸念して低く見積もられてきたハードルを飛び越えて業績上振れとなる企業が、とくに為替の恩恵を得られる輸出企業を中心に続出することになるでしょう。ただし、決算発表シーズンも中盤にさしかかってくると市場が学習して為替影響分を差し引いて考えるようになっていきますので、現状よりも株価の一次反応が上昇する確率は低下してくることも念頭に置いて物色しなければなりません。

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