【7/19日本市場の確認ポイント】
日経平均 26961.68(+0.65%)[26,791~27,043]
TOPIX 1902.79(+0.54%)[1,891~1,906]
マザーズ 683.57(+0.86%)[673~683]
値上がりセクターTOP5
1.鉱業(+4.69%)
2.海運(+4.19%)
3.非鉄金属(+2.17%)
4.ゴム(+2.17%)
5.機械(+1.91%)
値下がりセクターTOP5
1.電気・ガス(▲1.63%)
2.その他製品(▲1.54%)
3.医薬品(▲1.48%)
4.精密機器(▲0.66%)
5.食料品(▲0.64%)
三連休明け7/19の日本市場は、欧米株が前週末の戻り歩調からさらに一段高となって上値を試す動きを好感し続伸しました。日経平均は一時27,000円台を回復、インフレ高進懸念・金融引き締め懸念・景気後退懸念が和らぐとの期待感と相まって、物色は景気敏感株が一斉に買戻される動きとともにディフェンシブ株への利益確定売りがみられました。
潮目が大きく変わったのは先週15日の欧州市場の反発に始まりバルチック海運指数が大幅急伸、その後の米国市場では7月FOMCの大幅利上げ見通しが後退、その一方で米国消費関連指標はインフレ下でもなお強い結果を示したことで、市場では良いとこ取りの解釈から鋭い反発につながりました。これらと合わせて米企業の中では金融株から決算発表が本格化し、序盤としての株価一次反応はいずれも上々。
欧米株高を追い風に全体として概ね堅調に推移し、原油価格の反発やバルチック海運指数の急伸を手がかりのあった石油関連株、海運株は大幅高。ほかに市況関連が強含む展開で非鉄金属や鉄鋼などもこれに続きました。自動車株はじめ素材株や機械株なども含めて景気敏感株は幅広く買われた一方、それまで上昇基調だった電力株、食品株や生活必需品株、医薬品株などのディフェンシブ株は利益確定売りに押されました。見方によっては短期サイクルのセクターローテーションがうまく繋がっているとも言えるでしょう。
【米国株概況】
米国株は大幅高で6月末の戻り高値を上回る、景気先導役のダウ輸送株・半導体SOXともに急伸
NYダウ 31827.05(+2.42%)[31,165~31,842]
S&P500 3936.69(+2.76%)[3,860~3,939]
NASDAQ 11713.15(+3.10%)[11,448~11,721]
ダウ輸送株 13796.7(+3.88%)[13,359~13,816]
半導体SOX 2803.1(+4.61%)[2,717~2,813]
日経平均先物(CME) 27,365(+1.62%)[26,765~27,395]
ドル/円 137.37~138.38
米10年債利回り 3.028%(高値3.498%:6/14、安値1.668%:3/7)
WTI原油 100.41(高値123.68:6/14、安値88.53:3/15)
金先物 1709.70(高値2,085:3/8、安値1,695:7/14)
銅先物 3.2930(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)【安値更新】
恐怖指数(VIX)24.50(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 34(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)75.76(安値72.92:6/13)
7/19の米国市場は景気後退懸念をめぐる思惑がくすぶる中、金融大手を皮切りに始まった企業決算で市場予想を上回る結果が相次ぎ、インフレ高進や米FRBの金融引き締めによって企業収益が圧迫されるとの警戒感が一部和らいだことでリスク選好ムードが広がりました。
NYダウは7/14時点で年初来安値に接近して節目の30,000ドルに肉薄しておりました。そこから金融大手のゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースが決算通過後に大きく買われたほか、構成比率の大きいユナイテッドヘルスや景気敏感株のキャタピラーなども2ケタ上昇をみせるなどし、安値30,145ドルからの上昇幅は1,682ドル(+5.5%)に達しています。
とくに米経済指標における消費関連指標がインフレ下でも強い結果を示したことに加え、企業業績にもそれほど影響が及ばない(かなり低く見積もった市場予想ほどは悪くならない)のではとの期待が膨らみ、市場は急転回をみせたことになります。
ただ、地合い改善に大きく寄与しているのは、【米国株概況(7/13号)】で述べたように米経済よりも懸念の度合いが深刻なユーロ圏、新興国の方が焦点となりつつある中で、欧州株ユーロ・ストックスが7/15以降で急反転したことが大きな意味合いを持っていると言えるでしょう。インフレによる経済的な打撃の大きさや対ロ制裁における脱ロシア産エネルギーによる社会的影響が大きいユーロ圏が底割れせずに反転したことはリスク資産全体に明るさをもたらしたと言えます。
世界株式にとって景気後退懸念が払拭されたわけではないため、上値を試す動きはまだ限定的なものとならざるを得ないかもしれませんが、ひとまず過度な警戒感が和らいだことで今週7/21のECB理事会、来週7/27の米FOMCを市場の許容範囲内での利上げ幅に収まれば、多少の乱高下を伴いながらも株価は金利上昇に耐性がついていき、上値を伸ばせるようになっていくはずです。
しかし、前回の市場懸念の特徴で指摘しましたように、金融政策の利上げペース懸念、インフレ高進懸念はさておき、景気後退懸念が材料出尽くしとみるのは早計です。この7月後半で一旦和らいだように見えたとしても、8月には再燃する可能性が高いと思っておくべきでしょう。
したがって、米国株の決算ラリーはまだ始まったばかりと言えますが、中には昨晩の米国市場で逆行安を見せたIBMやJ&Jのように足元のドル高影響やインフレによるコスト高から業績下方修正を余儀なくされる企業もこれから出てくるはずです。来週の米FOMCに絡んで再び急落場面が訪れた場合は別ですが、リスク指標も大きく改善してきたことから7/14で一旦底入れとなった可能性があります。先週の底値買いがうまくいった方でなければ、次回8月中旬以降の買い場を待つのがよいでしょう。
【日本株投資戦略】
欧米株高で日経27,000円の節目突破に期待、戻り売りが待ち構える27,300円台の売り物吸収できれば一段高も
直近の欧米株と比較して下押しが浅かった日本株も昨日の4営業日続伸からさらに日経27,000円台突破がようやく期待される展開になってきました。昨晩の先物市場で27,300円台に乗せたことをふまえれば【日本株投資戦略(7/8号)】で述べた、個人投資家の売買が大きく膨らんだ27,380円の戻り売り水準に達することとなります。
さらにここでの売りを吸収できれば、6月前半につけた28,000円の大台を視界に捉えながら、マド開けで急落した時の真空地帯を一気に駆け上がる展開も期待できるようになります。
もちろん条件付きではありますが、まず為替円安の持続性、そのために今週の欧州ECB理事会を無難に通過しつつユーロ売り基調が続くこと、そして米景気および米企業決算における下振れがドル高是正を促すきっかけにならないことなどです。
当然ながら市場では欧州ECB理事会や日銀金融政策決定会合、米FOMCといった金融政策スケジュールを意識するかと思います。ところが、景気後退懸念によってインフレ抑制に対する優先順位が下がっているのであれば、世界の過剰債務を刺激するようなサプライズ利上げにはつながりにくいとの見方に変わってきています。
だからこそ、上記【米国株概況】でみたように欧米株は7/14以降の急反転につながったわけで、もしあの安値局面で底割れしていたとしたら景気後退懸念に拍車がかかり、株価も一段安の展開を強いられていたところでしょう。
米企業の決算シーズン入りとともに日本企業もこれから徐々に企業決算が相次いできます。日本企業の場合には米企業よりも中国景気の影響やインフレおよびサプライチェーンの供給制約の影響を受ける度合いが大きくなりやすいため、米企業よりも割り引いて決算反応を見極めていく必要が出てくるかと思います。
日本勢の中では安川電機(6506)が製造業でかつ2月期決算企業としていち早く1Q(3-5月)決算を発表しており、直後の株価一次反応では大きく売られましたが、昨日に大幅反発を見せて年初来安値の底割れを回避しています。足元で下値切り上げの堅調な値動きを見せている日本電産(6594)が本日に決算発表を控えていますので、買い場を探るという点においても日本を代表する優等生企業の株価反応を見極めることがとても重要です。
※スタンダード会員へご登録いただくと、1.今後のマーケットについても展望する【先読みの近未来】、2.日々の≪重要ニューストピック≫を厳選して深堀りする【揺れ動く世界情勢の解説】などを加えた内容充実のメールマガジンをお届けします。