【7/8日本市場の確認ポイント】
日経平均 26517.19(+0.10%)[26,510~26,881]
TOPIX 1887.43(+0.27%)[1,884~1,907]
マザーズ 682.48(+1.34%)[673~689]
値上がりセクターTOP5
1.海運(+3.02%)
2.鉱業(+2.50%)
3.非鉄金属(+2.43%)
4.鉄鋼(+1.86%)
5.電気・ガス(+1.45%)
値下がりセクターTOP5
1.食料品(▲0.99%)
2.医薬品(▲0.89%)
3.情報・通信(▲0.39%)
4.その他製品(▲0.37%)
5.農林・水産(▲0.33%)
8日の日本市場は米国株高をうけて大幅続伸商状でしたが、昼休みに安倍元首相銃撃の衝撃的なニュースが飛び込み、日経先物は一時▲400円近く急落する場面がありました。その後はETF分配金捻出の売り特異日であることや米雇用統計前ということもあり、徐々に値を消して前日比ほぼ変わらずで引けました。マイナーSQ算出は26,659円、上値は26881円までありましたが週足では上値抵抗の移動平均線に遮られた格好、この日の空売り比率は6/29以来の50%超えを記録しました。
前場の上昇局面では先導株の半導体株が上昇をけん引し、さらに海運や石油関連、非鉄金属、鉄鋼など市況関連が大きく買われており、景気敏感株の代表どころが久々に目の覚めるような上昇をみせました。最終的に上げ幅を縮小しましたが、景気後退懸念で売られてきた分、戻りも大きくなる動きでした。
引き続き米経済指標の強弱によって金融政策、インフレ、景気後退懸念に対する市場反応がコロコロと日替わりする状況が続くとみられる中、直近では一時的にも懸念が和らいだ時のグロース株買戻しの動きが強いと感じられます。新興市場は相変わらずボラティリティが高い状態が続くものの、一方的に売り込まれるような動きはやや落ち着いてきたように見受けられます。
【米国株概況】
米雇用統計の強い結果で景気後退懸念和らぐ、一方で金融引き締め観測強まり買戻し後の株価の上値を抑える要因にも
NYダウ 31338.15(▲0.15%)[31,212~31,511]
S&P500 3899.38(▲0.08%)[3,869~3,918]
NASDAQ 11635.31(+0.12%)[11,479~11,689]
ダウ輸送株 13397.3(▲0.52%)[13,248~13,559]
半導体SOX 2618.0(+0.47%)[2,561~2,632]
日経平均先物(CME) 26,775(+0.62%)[26,395~26,855]
ドル/円 135.32~136.54
米10年債利回り 3.080%(高値3.498%:6/14、安値1.668%:3/7)
WTI原油 104.80(高値123.68:6/14、安値88.53:3/15)
金先物 1740.90(高値2,085:3/8、安値1,792:5/16)
銅先物 3.5183(高値5.0395:3/7、安値3.3700:7/6)
恐怖指数(VIX)24.64(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 30(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)74.89(安値72.92:6/13)
8日の米国市場は6月米雇用統計発表をうけながら荒い値動きとなり、NYダウは3日ぶりに小幅反落の一方、ナスダックはこれも小幅ながら5日続伸でした。個別株も高安まちまちとなっており、全体としては6月初旬同様に25日移動平均線付近での戻り一服を感じさせる動きと言えます。
6月米雇用統計で雇用者数が市場予想を大きく上回ったほか、失業率も3.6%横ばいで低位安定の結果、総じて強い内容から足元の景気後退懸念は行き過ぎとの見方が強まり、米国経済がソフトランディングできる期待も高まりました。
一方で、次回7/26~27のFOMCに向けては前回同様に0.75%の大幅利上げ見通しが強まり、米金利が再び上昇しています。米国株は景気後退懸念の緩和で買い戻され、米金融引き締め観測から上値が抑えられる構図になっています。
他方で、13日に6月米消費者物価指数(CPI)発表が予定されており、前回結果が市場波乱のきっかけとなっただけに警戒感を強めるのも致し方ない状況と言えるでしょう。ここで再び市場がインフレ高進を意識しだすと、景気後退懸念だけでなくインフレのピークアウト期待から一旦後退したかに見える米金融引き締めの今後も、とても楽観視できるような状況にはならなくなってしまいます。
また、直近で戻りの強さが目立っている半導体株はじめハイテク株も決算発表を控えており、ここでの業績悪化を織り込めれば底打ち期待が思惑的なものではなく、ようやく形として現実味を帯びてくることになります。とくに対中関税引き下げによって供給不足の問題解消が進み、仕掛け品のまま積み上がっている過剰在庫がはける時期がいつ頃になるか見えてくることが大事なポイントとなるでしょう。
【日本株投資戦略】
参院選与党大勝でご祝儀相場はあるか、高い空売り比率を記録した売り方の買戻しを誘発すれば日経27,000円の大台回復も
週末の米雇用統計発表後で米国株は強弱感が対立しつつも底堅い動きを続けました。結果的に米国株の終盤は値を消しましたが、日経先物は前週末の終値よりも300円弱上昇した水準で引けています。
もっとも前週末は昼休み中の悲報が飛び込んでこなければ日経平均は26,881円の高値付近を推移しておりましたから、先物市場ではこれを若干下回る水準のところまで戻りをみせていることになります。
週明けの相場序盤はやはり前回の解説どおりに参院選結果をうけたご祝儀相場となるかが見どころになります。ここで日経平均27,000円台回復を遮られてしまうようですと、明確にテクニカル上での上値抵抗ラインに打ち返されることになってしまいますので気が抜けません。参院選後の岸田首相が内閣改造、大型補正予算の編成に着手とも報じられていますので、日本経済にとってこれを再浮揚の起爆剤にできるか注目です。ただし、今すぐではなく今秋以降の話です。
◆首相、内閣改造へ調整着手-大型補正予算も本格検討-(2022/7/10)
https://nordot.app/918829552516825088?c=39546741839462401
実際、米国市場では景気後退懸念が燻る中でも金利上昇一服という条件付きでの底入れ期待が出始めているのに対し、日本では同様の条件で買われやすくなるハイテクグロース株が半導体株以外に乏しい層の薄さがネックになります。
今後の米中協議の一環で供給制約がさらに緩和され、半導体不足の解消とともに自動車産業が復活してくることが産業構造の全体から言っても重要となっていくかと思います。しかしその前に、まずはバイデン米大統領が対中制裁関税見直しの決定をいつ行うかのハードルが立ちはだかっています。
◆バイデン米大統領、対中制裁関税の解除巡りまだ決定せず(2022/7/9)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-09/REQKYKT1UM0W01
これが今週前半で決まらなければ、バイデン米大統領は7/13~16の日程で中東歴訪を予定していますので、米景気と株価にとってのカンフル剤を投じるタイミングが後ズレしてしまうことに他なりません。これは間接的にいずれ中国が景気刺激策を講じようとしているタイミングにも影響してくると思われます。最新のニュースではどうもまだ調整中で後ズレ濃厚な気配ですが。
◆バイデン氏、サウジ国王と会談へ ムハンマド皇太子同席(2022/7/8)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN080OO0Y2A700C2000000/
◆バイデン大統領 “サウジアラビア訪問に理解を” 有力紙に寄稿(2022/7/10)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220710/k10013710731000.html
◆米国務長官、米中首脳協議「数週間以内に」(2022/7/11)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN105BT0Q2A710C2000000/
いずれにしても米企業4-6月期の決算発表はまもなくですので、このときに企業業績への悪化影響としてインフレ要因がどのくらいインパクトを与えることになるのか、さらに業績悪化が一時要因とみなすことが可能かどうかで企業のガイダンスが変わってきます。
仮に一時的としても業績下方修正を発表する企業が多ければ、日本株も7月下旬~8月中旬までが3月期決算企業の1Q(4-6月)決算を発表予定です。業績の出足で大きくつまづくことになりかねませんので、注意してみておかなければなりません。
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