【7/7日本市場の確認ポイント】
日経平均 26490.53(+1.47%)[26,136~26,533]
TOPIX 1882.33(+1.42%)[1,857~1,884]
マザーズ 673.43(▲0.93%)[670~683]
値上がりセクターTOP5
1.ゴム(+3.39%)
2.電気機器(+2.35%)
3.輸送用機器(+1.97%)
4.食料品(+1.91%)
5.繊維(+1.79%)
値下がりセクターTOP5
1.石油・石炭(▲0.73%)
2.空運(▲0.52%)
3.海運(▲0.50%)
4.陸運(▲0.36%)
5.倉庫・運輸(▲0.04%)
7日の日本市場は前日の米FOMC議事録公表で特段の新規材料がみられず、米国株が上昇したことをうけて底堅い動きを続けました。後場からは下値模索を続けてきた半導体株が奮起し、グロース株を中心に日経平均を押し上げる動きとなりました。
足元の米長期金利低下をうけたグロース株の買戻しによる反発で市場底入れの期待が高まりやすい一方、景気敏感株が多くを占めるバリュー株は直近で大きく値崩れしており、景気後退懸念を払拭できたわけではなさそうな地合いです。
引き続き上昇銘柄の多くには食料品や医薬品、電力・ガスなどディフェンシブ株の躍進が目立っています。ただ、その一部にも物色一巡感が出始めており、ここでグロース株、バリュー株それぞれにリバーサルの動きが鮮明となりました。先導株の半導体株が底値圏を脱する動きをみせるかに注目、あわせて新興・小型株のマザーズも追従することができるかが底入れ判断のポイントになるでしょう。反対にそうならない場合は期待が腰折れしてしまい一段安の懸念が増すことになります。
【米国株概況】
FOMC議事録通過後の反発基調を強めた米国株、債券金利の逆イールド続く中で米雇用統計に注目
NYダウ 31384.55(+1.11%)[31,154~31,421]
S&P500 3902.62(+1.49%)[3,858~3,910]
NASDAQ 11621.35(+2.28%)[11,412~11,644]
ダウ輸送株 13467.8(+1.95%)[13,255~13,506]
半導体SOX 2605.9(+4.48%)[2,555~2,616]
日経平均先物(CME) 26,650(+0.60%)[26,100~26,680]
ドル/円 135.52~136.21
米10年債利回り 3.000%(高値3.498%:6/14、安値1.668%:3/7)
WTI原油 102.57(高値123.68:6/14、安値88.53:3/15)
金先物 1739.55(高値2,085:3/8、安値1,792:5/16)
銅先物 3.5440(高値5.0395:3/7、安値3.3700:7/6)
恐怖指数(VIX)26.08(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 28(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)74.83(安値72.92:6/13)
7日の米国市場はハイテク株を中心に続伸となり、ナスダックは+2%近く反発したほか半導体SOX指数も+4.5%と大幅上昇を見せました。足元の景気後退懸念で米長期金利が低下したことに伴いグロース株が買い戻されやすいというのは前回【米国株概況】で指摘した内容と同じ展開です。
一方で、債券市場における長短金利差の逆イールド現象も継続しており、景気後退懸念は日増しに強まっている状況で、足元の株価反発を素直に喜べない展開も続いていると言えます。
そのような中、6日は6月のFOMC議事録公表で示された内容では、次回7月FOMCにおいても0.5%または0.75%の利上げ実施の可能性、さらなる緊縮政策も実施する可能性を含ませたこと、FOMCメンバーの大半がインフレ定着化および長期化のリスクを指摘したことなどが確認されました。
足元のグローバル市場では商品市況の下落でインフレ警戒感は和らぐとの見方も出始めていますが、実体経済ではタイムラグが生じるために現段階で利上げペースを緩和することは現実的ではないと言えるのでしょう。
米FRBが市場に友好的な政策決定を下す可能性は低いといえる中で、今晩は6月米雇用統計の発表を控えています。これも前回述べたように市場が好感する材料にはなりにくい中で、問題は米長期金利がどちらに反応するかが重要なポイントです。
景気後退懸念が横たわっている中で、足元では米金利低下をきっかけにハイテク株が大きく反発する動きをみせていますが、ここで長期金利が再び急上昇してしまうとこれまた株式市場に急ブレーキがかかります。
株式市場では流動性低下が著しく進む中で、急アクセルと急ブレーキを交互に踏んでいるような状態となり、これは上記で足元の株価反発を素直に喜べないと述べたことと繋がります。とくに下げ相場が継続中の場合、上げた分以上に下げるというのが特徴的ですので、米国株の場合には目先の企業決算シーズンを通過した後に改めて買い場を探るのが望ましいと言えるでしょう。
【日本株投資戦略】
選挙相場にちなんだ上昇が格好の売り場を演出、クレジットリスクが高まる前にポジション整理
日本株も米国株も足元で値戻しの動きを強めてきたとみられますが、この点は前回の【日本株投資戦略】でも指摘のとおり、一時的なダマシ上げの要素を含んでいるとみておいた方がよいでしょう。
今週末には参院選投開票があり、結果を市場が織り込むのは週明けということになりますが、ここでご祝儀相場があるのであれば日経平均27,000円台を再び回復するといった展開を期待することもできるかと思います。
一方で、市場全体の動きでは米金利低下を背景にグロース株の買戻しが起きたことは前回指摘したとおりですが、昨晩の米国市場では早くも米10年債利回りが3.0%台を回復したほか、逆イールド現象も継続中です。グロース株の反発は米金利水準の条件付きによるものと考えられることから、このままいくと上値はやはり限定的なままとなってしまいます。
また、将来の景気後退を反映すると言われる債券市場の逆イールド現象が長引けば、企業の短期資金のデレバレッジを加速させるとともに、借金返済に窮するような財務状態が脆弱な企業は倒産リスクが増してしまうことになります。実はこのクレジットリスクが金融市場にとって最も厄介な部分となりますので、足元では株価水準よりも金利動向に目を光らせておかなければなりません。
日本においては日銀が頑なに金利上昇を抑え込んでいますので、中小企業含め米国のような事態にまでは陥らないとみられる反面、むしろ国家全体のクレジットリスクが高まりかねない状況を引き起こしています。日本の金融緩和はMMT論者もビックリのもはや異次元の領域に突入しておりますので、歯止めがきかなくなってしまっているのでしょう。
◆日銀 6月の国債買入額が16兆円超に 1か月として過去最大(2022/7/7)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220707/k10013705831000.html
日本株では参院選後の株高シナリオを期待して買う向きもあるみたいですが、上昇に誘い込まれて高値を掴まされてしまうことは危険です。足元の反発基調が政治イベントに伴う一過性要因としてみた場合、次に梯子を外された時のインパクトは想像以上に酷いものになってしまう可能性があるからです。
昨日発表された東証の投資部門別売買状況では、海外勢が3週連続で売り越しなのに対して、直近の日本勢は個人・投信・信託が足並みそろえて買い越しになっています。この3週間の推移で信託銀行あたりは年金の月末リバランスと政策的な株価下支えの影響が出ていると推察されます。一方、事業法人による自社株買いは一服してきています。
個人投資家が大きく買い越したのは6/13~17の週です。この時の日経平均は25,720~27,389円で、上値が近づくと当然戻り売りを待つ投資家が控えていることになります。
一方で、下値では再び26,000円を割り込んでくるような場合には、この間の安値付近で底値買いした投資家も売り圧力に加わってくることになり、再び底割れする警戒が必要になってしまいます。したがって、参院選後をにらむよりもこの週末は戻り売り・利益確定に徹して手仕舞いを検討するのがよいでしょう。
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