【7/1日本市場の確認ポイント】
日経平均 25935.62(▲1.73%)[25,841~26,531]
TOPIX 1845.04(▲1.38%)[1,836~1,881]
マザーズ 646.29(▲2.31%)[643~669]
値上がりセクターTOP5
1.なし
2.なし
3.なし
4.なし
5.なし
値下がりセクターTOP5
1.鉱業(▲4.17%)
2.ゴム(▲3.60%)
3.空運(▲3.05%)
4.電気・ガス(▲2.93%)
5.輸送用機器(▲2.39%)
1日の日本市場は3日連続の大幅安で日経平均は再び26,000円を割り込み、一部を除いて全面的に軟調な展開となりました。朝方は米長期金利の低下で自律反発狙いの買いが入った半導体・ハイテク株も売りに押され、その後下げ幅を拡大したことで全体の心理を冷やす結果となりました。
主力どころのグロース株が弱く、直近で指数を押し上げてきたファーストリテイリング(9983)が▲4%の大幅安、東京エレクトロン(8035)▲3.7%安などの半導体株やTDK(6762)▲6%など電子部品株がの大幅安となったことで景気敏感株が強く売られることとなりました。
さらに、資源関連株が軒並み値を崩して三井物産(8031)▲5.5%安、三菱商事(8058)▲5.4%安のほか、INPEX(1605)▲4.2%安となったほか、これまで値保ちの良かった東京ガス(9531)、大阪ガス(9532)などがそれぞれ▲9.8%安、▲6.9%安と急落しました。また、足元の鉱工業生産発表や5月世界生産で悪化が著しかった自動車株もマツダ(7261)、SUBALU(7270)など高値圏にあった銘柄まで一斉に売られました。
【米国株概況】
前回同様に米経済指標をふまえて米国景気と金融政策の変更期待で綱引き、半導体SOX指数の底割れに加えて銅先物でも安値更新の動き
NYダウ 31097.26(+1.05%)[30,487~31,139]
S&P500 3825.33(+1.06%)[3,752~3,829]
NASDAQ 11127.85(+0.90%)[10,922~11,132]
ダウ輸送株 13289.4(+1.01%)[13,020~13,319]
半導体SOX 2458.5(▲3.83%)[2,429~2,524]【安値更新】
日経平均先物(CME) 26,310(+1.86%)[25,765~26,500]
ドル/円 134.75~135.97
米10年債利回り 2.889%(高値3.498%:6/14、安値1.668%:3/7)
WTI原油 108.43(高値123.68:6/14、安値88.53:3/15)
金先物 1801.50(高値2,085:3/8、安値1,792:5/16)
銅先物 3.6190(高値5.0395:3/7、安値3.5710:7/1)【安値更新】
恐怖指数(VIX)26.70(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 24(EXTREME FEAR:極めて強い恐怖)
High Yield Bond (HYG)73.98(安値72.92:6/13)
1日の米国市場は引き続き経済指標と米FRBの金融引き締め政策を意識し、朝方は経済指標悪化が景気後退懸念を後押しする形で下値を試した一方、前日の安値は切れなかったことで今度は景気減速が金融引き締めを躊躇させるとの見方につながり、急反転で買戻しを誘発しました。
米6月ISM製造業PMIは53.0と前月の56.1から悪化し、市場予想の54.9も下回って2020年6月以来の低水準となりました。米国の製造業における交易条件が著しく悪化していることを確認して、半導体関連株が急落しインテル▲2.9%安、エヌビディア▲4.2%安、AMD▲3.7%安など主力どころの大幅安が目立ちました。半導体SOX指数は大幅続落で底割れし、2020年秋以来の水準に達しています。
米経済指標の悪化をうけて米債市場では金利が3%を割り込み、10年債利回りは2.8%台まで低下。インフレ高進懸念で売られてきた米国債は景気後退懸念で大きく買われ、懸念の矛先がインフレよりも景気後退に焦点が当てられていることを鮮明にしています。米国の金利低下によってハイテクグロース株には買いも入りやすくなった一方、半導体などの製造業はもう一段の下振れ余地が大きく、ナスダック銘柄はまちまちの動きを見せています。
また、半導体SOX指数の下値模索の動きに加えて、米国だけでなく世界景気の先行指標とも言われる銅先物市場で安値更新の動きが出ており、株式市場における自律反発と景気先行きに対する見方は対照的となっています。米国では4日が独立記念日で休場ということもあり、3連休を控えて買戻しの動きが強まった一時要因による株高との見方もできます。
他方で、リスク指標のVIX指数は26ポイント台に急低下、米国株反発をうけたリスク選好ムードを反映したとの見方も可能ですが、やや注意も必要です。これまでも異常なマーケット展開の中でリスク指標が機能しなくなるということは度々確認されました。
本来であれば、景気後退懸念による株安のヘッジで買われるはずのプット・オプションが極端に売られている今回のようなケースでは、景気後退懸念の織り込みが完了して市場反転に向かうパターンか、もはや現物株売りでヘッジ需要が低下したパターンの2つを想定しておく必要があります。
市場アク抜けで反転を期待できるようになるのは時期尚早と言えますが、同じくリスク指標のハイ・イールド債が再び買われ出してくるようであれば、米国市場の底打ち期待といったものが現実味を帯びてくるかもしれません。少なくとも目先には米企業の4-6月決算発表が控えていますので、ここで景気後退への懸念が杞憂に終わるものと確認できるかどうかが焦点になるものと思われます。
【日本株投資戦略】
米国休場で「閑散に売りなし」の自律反発に期待、継続性には疑問ありで一時的な反発局面との割り切りが必要
前週末の米国市場では3連休前の売り手仕舞いで買戻しの動き、主要株式3指数はそろって反発したことで底割れは回避できました。もっとも商いが薄い中での動きですので信頼度は低いですが、上述したように米長期金利の低下とリスク指標の低下で株高が起こりやすい環境は整っているとも言えます。
米国株が底割れ回避の動きを続けるのであれば、景気後退の「懸念」の出口がどこになるかを探ればよいということになりますが、米経済指標がすこぶる悪化している足元の状況ではまだまだ不透明感を払拭するのは難しいと言えるでしょう。もう少し時間が解決してくれるのを待つしかありません。
日本株においては今週末にかけていよいよ参議院選挙が佳境を迎えて、選挙相場も終盤にさしかかってきます。事前の雰囲気では与党圧勝ムードでしたが、インフレ対策やエネルギー対策をめぐり政府失策が目につく中で、元より低めに設定した勝敗ラインを確保できるか岸田政権の命運がかかっています。
選挙結果をふまえての株高期待もありますが、過度な期待をしたり、株式市場の急反発を見て飛びつき買いをすることは禁物と言えます。あくまでも一時的なイベントと割り切って冷静に見ておかなくてはなりません。
参院選投開票日前の今週末にはETFの分配金捻出のための売り需要が発生し、米雇用統計など重要な経済指標が相次ぐため、市場は手控えムードの薄商いの中で株価だけが乱高下しやすい環境となっています。株式の支援材料があって急反発を見せたとしても相場は今週よりも来週以降、もっと言えば7月後半にかけてのスケジュールの方が重要になります。
7月の後半戦は日米ともに企業決算と金融政策発表のスケジュールが重なり合い、さらに需給面でも夏枯れ相場の様相が強まってきます。流動性が低下した市場では極端な価格形成となりやすいため、乱高下する動きに一段と警戒しておく必要が出てくると言えるでしょう。
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