【6/30日本市場の確認ポイント】
日経平均 26393.04(▲1.54%)[26,324~26,753]
TOPIX   1870.82(▲1.20%)[1,867~1,891]
マザーズ 661.56(▲1.05%)[661~673]

値上がりセクターTOP5
1.繊維(+0.46%)
2.紙・パルプ(+0.17%)
3.電気・ガス(+0.17%)
4.建設(+0.06%)
5.医薬品(+0.06%)

値下がりセクターTOP5
1.鉱業(▲3.62%)
2.その他金融(▲3.06%)
3.電気機器(▲2.35%)
4.不動産(▲2.11%)
5.海運(▲2.13%)

 6/30の日本市場は米国株の伸び悩みから軟調推移、上値の重さが次第に意識されるようになり後場は下値模索の動きを強めました。グロース株の売りが際立ち、直近強かったファナック(6954)が5月鉱工業生産の悪化で売られるのをはじめ、米国での半導体株投資判断引き下げを嫌気した東京エレクトロン(8035)やアドバンテスト(6857)などのほか関連株が軒並み大幅安で下げを主導しました。

 また、村田製作所(6981)やソニー(6758)といったグロース株だけでなく自動車株、海運株、石油関連株など景気敏感株に分類されるところが大きく売られて、景気後退懸念を反映した物色が強まりました。日経平均は27,000から大きく後退することとなり、出来高を伴った続落となりました。

 大型グロース株の弱さが目立つ中で小型株の値崩れも懸念されたものの、マザーズ指数の下落は比較的穏やかなものであったと言えます。直近IPO株には値崩れするものが出始めましたが、これまでのパターンだとこういう日のマザーズ銘柄は大きく下げることが多かったため、どちらかと言えば日経平均やTOPIXなど指数主導での軟調相場であったと見られます。

【米国株概況】
米経済指標をめぐり米景気と金融政策変更への期待で綱引き、半導体SOX指数の年初来安値更新で再び下値警戒強まる

NYダウ 30775.43(▲0.82%)[30,431~30,979]
S&P500 3785.38(▲0.88%)[3,738~3,818]
NASDAQ 11028.74(▲1.33%)[10,850~11,160]
ダウ輸送株 13156.9(▲0.49%)[12,919~13,253]
半導体SOX 2556.3(▲1.07%)[2,514~2,602]【安値更新】
日経平均先物(CME) 26,390(+0.30%)[26,125~26,725]
ドル/円 135.54~136.81
米10年債利回り 3.017%(高値3.498%:6/14、安値1.668%:3/7)
WTI原油 105.87(高値123.68:6/14、安値88.53:3/15)
金先物 1807.40(高値2,085:3/8、安値1,792:5/16)
銅先物 3.6780(高値5.0395:3/7、安値3.6400:6/24)
恐怖指数(VIX)28.71(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 23(EXTREME FEAR:極めて強い恐怖)
High Yield Bond (HYG)73.61(安値72.92:6/13)

 6/30の米国市場は経済指標発表が相次ぎ、再び景気後退懸念を意識し始めた株式市場に追い討ちをかけました。直近の消費者信頼感指数に続いて米5月個人消費支出や米6月シカゴPMIが予想を下回ったことで株安と同時に退避資金は債券買いに向かい米長期金利は低下しました。

 ただ、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注目する米5月コア個人消費支出(PCE)価格指数は前年比+4.7%となり、市場予想の+4.8%や4月の+4.9%を下回ったことで、インフレ高進の懸念は依然根強いものの市場では織り込みも進んできているとみられます。それよりも景気後退懸念の方をより強く意識し始めたと言え、金利低下でもグロース株売りが止まりません。

 これによって、半導体SOX指数が年初来安値を再び更新、その他、製造業の景気敏感株それに金利低下で金融株の売りなどが加わり、ナスダックだけでなく全体的な地盤沈下がみられNYダウ、S&P500も下値テストの動きに向かっています。先導役の半導体株が安値更新したということは、これらの指数も直近安値を意識せざるを得なくなると言えますが、消費関連指標の悪化と並んで次は労働市場、つまり雇用指標の注目度が高まってくることになります。

 来週の米雇用統計の結果次第では米FRBの金融引き締め政策に影響を与えるとの観測から、一方的には売り込みづらい側面もある模様で、朝方の売り一巡後には買戻しで下げ渋る動きも見せています。米長期金利が3.0%付近まで低下してきたことからここでグロース株売りが止めば、株式市場では底割れ回避で二番底確認からの反転も期待できる環境が整ってくるかもしれません。

【日本株投資戦略】
インフレ影響で日本の企業業績への懸念も意識される今夏、まずは7月前半の売り圧力を吸収して水準を保てるかが焦点

 日本株は株主総会集中日を通過して月末の年金リバランス買いなども期待されながら、昨日は後場から下げ幅を拡大する動きでした。どうしても米国の金融政策に注目が集まるため国内よりも米国景気に目を向けがちですが、日本でも製造業の事業環境は為替円安によってコストプッシュインフレ圧力にさらされており、企業業績への影響が懸念されてきます。 

 足元で内需ディフェンシブ株への資金シフトが鮮明になっている中、円安を背景とした外需株のとくに自動車株買いも一転売りに押される場面が目立ち始めました。指数はファーストリテイリング(9983)の高止まりによって支えられており、日本の産業構造自体が景気敏感寄りであるため軟化していくことは避けられない状況となっています。

 6月末の為替レートで4-6月業績に関しては計画を1/4にした四半期ベースでは上振れが見込まれる企業は多くなるかもしれない一方、7-9月業績のところでコスト高影響が時間差で生じてくる懸念が出てくるものと思われます。また、為替円安のトレンドがこの間に継続するかどうかも重要なポイントであり、金利市場の日本国債売り及び新発債の入札不調といったところから日銀の政策判断にいつ変更が加えられても不思議ではない状況となってきています。

 世界景気が後退する懸念から黒田日銀総裁は現在の金融緩和継続路線を正当化するとともに指値オペ継続の方針を貫くとの見方は強いですが、先日のスイス中銀によるサプライズ利上げのような例もあったことから過信するのは禁物と言えます。目先の焦点は参院選の結果とその前後において政策期待で買い支えられてきた日本株が、実力ベースで現在の水準を維持できるかどうかになってくるでしょう。

 7月後半は再び各国の中央銀行スケジュールが集中する日程が控えているため、自律反発があるとすれば前半が勝負ということになります。この間にETFの分配金捻出売りが相次ぐため、ここでの売り圧力を吸収できるかどうかがカギになってきます。日経平均の27,000円は大きな壁になってしまっていますが、ここを来週にでも突破できなければ打ち返しに遭って、米国同様に今年の年初来安値をテストする必要が出てくるかもしれません。

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