【6/28日本市場の確認ポイント】
日経平均 27049.47(+0.66%)[26,789~27,062]
TOPIX   1907.38(+1.06%)[1,885~1,907]
マザーズ 677.37(+0.49%)[667~678]

値上がりセクターTOP5
1.鉱業(+4.62%)
2.不動産(+2.69%)
3.石油・石炭(+2.60%)
4.電気・ガス(+2.36%)
5.保険(+2.21%)

値下がりセクターTOP5
1.空運(▲0.73%)
2.なし
3.なし
4.なし
5.なし

 28日の日本市場は米国株の上昇一服をうけて同様に上値の重さが意識されたものの、日経平均は27,000円の節目戻りを試す展開、TOPIXは一段と強含み節目の1900ポイントも難なく突破しました。日経もTOPIXも直近高安の半値戻しを達成、移動平均線が集中する抵抗ラインで攻防しました。

 個別では年初来高値更新のファーストリテイリング(9983)が上値追いでけん引し、原油高をうけた石油・資源関連株や為替円安を背景に自動車株が再び強含んでTOPIXを押し上げました。内需ディフェンシブ株の電力株や百貨店株のほかに景気敏感株に分類される建機株や不動産株などまで、内需・外需、景気敏感・ディフェンシブ問わず総花的に買われる全面高商状となりました。

 ただ、一方で前日に強さが際立ったグロース株は売られるというより戻り一服といった様相です。マザーズ指数なども相対的に伸び悩んだ印象があるものの、上昇時における出来高増加はポジティブで、需給面がだいぶ改善してきた様子が窺えます。

【米国株概況】
景気後退とインフレ高進の懸念再燃で株価は大幅続落、ハイ・イールド債市場が再び警戒信号

NYダウ 30946.99(▲1.56%)[30,934~31,885]
S&P500 3821.55(▲2.01%)[3,820~3,945]
NASDAQ 11181.54(▲2.98%)[11,177~11,635]
ダウ輸送株 13280.4(▲1.73%)[13,270~13,771]
半導体SOX 2642.1(▲2.63%)[2,640~2,758]
日経平均先物(CME) 26,745(▲1.20%)[26,660~27,225]
ドル/円 135.10~136.38
米10年債利回り 3.177%(高値3.498%:6/14、安値1.668%:3/7)
WTI原油 111.84(高値123.68:6/14、安値88.53:3/15)
金先物 1821.40(高値2,085:3/8、安値1,792:5/16)
銅先物 3.7568(高値5.0395:3/7、安値3.6400:6/24)
恐怖指数(VIX)28.36(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 26(EXTREME FEAR:極めて強い恐怖)
High Yield Bond (HYG)73.76(安値72.92:6/13)

 28日の米国市場は上昇スタートで25日移動平均線を上回り戻り高値を更新したものの、その後発表の6月消費者信頼感指数が98.7と100ポイントを割り込み、2021年2月以来の低水準となったことをうけて景気後退懸念が再び意識されました。NYダウは▲500ドル近い下げで大幅続落となったほか、S&P500は▲2%の大幅安、ナスダックは▲3%でより大幅下落となりました。

 NYダウ構成銘柄では原油高をうけてシェブロン、景気後退入りを想起されたヘルスケアのユナイテッドヘルスを除いてハイテク株中心に売られる展開、金融株は下げ渋りました。下落途中での反発を垣間見ることなく鶴瓶落としになりました。ナスダック銘柄ではテスラが▲5%安やアマゾン▲5%安など大型ハイテク株の値崩れが目立ちました。

 株式市場での底入れ、反転が期待されている中で、米個人消費指標の悪化による景気後退懸念の再燃だけでなく、株高とともに原油高も加わったことでインフレ高進への懸念が再び警戒されだしたことで、金融引き締めペースの鈍化期待も削がれてしまうことになりました。

 米金利市場では各年限ともに急伸したわけでなく、ハイテク株が強く売られるというよりも景気後退あるいは景気減速を懸念したイールドカーブ・フラット化により全般的な株式、リスク資産への売り圧力が強まりやすいことを示唆しているといった方がよいかもしれません。

 米経済指標の見方で相場が振り回される展開は今後もしばらく続くとみられますので、リスク指標の定点観測、そして直近の反発局面でもハイ・イールド市場では5月の水準を未だ下回っているレベルにあることをふまえて、警戒心は緩めずにいるべきでしょう。再び低下しているハイ・イールド債が6/13の安値を切れてくるようなもう一段安を念頭に置く必要が出てくるかと思います。

【日本株投資戦略】
景気回復継続か、景気減速か、見方分かれる市場物色の中で独自性あるテーマ株が躍進を見せる

 足元では日経平均の27,000円台回復、米国もNYダウが32,000ドル手前までの戻りを試す動きを見せました。内容的にどちらも指数寄与度の大きい銘柄、日本だとファーストリテイリング、米国だとユナイテッドヘルスの上昇依存度が大きいという点が気がかりですが、チャート上では25日移動平均線を回復しました。

 テクニカルではダマシ発生が日常茶飯事ですので、深く考える必要はないと思いますが、個別物色の内容からいっても景気敏感株とディフェンシブ株のどちらが主導権を握るか定まっていないところがあり、そもそもの景気に対する見方で市場の気迷いが生じているところではないかと思われます。

 日米の金融当局はそれぞれ異なる金融政策を採用し、それがある意味バランスをとっていると言えるかもしれませんが、日本の場合は強力に緩和して米国と遜色ないレベルに株価を下支えしていると言っても過言ではなく、むしろそれ無しでは現在の水準を維持することが出来ないと言い換えることもできるでしょう。

 本日以降も米経済指標の発表は来週の米雇用統計まで立て続けに予定されているため、一つの経済指標で一喜一憂することは避けなくてはなりませんが、それにしてもボラティリティが大き過ぎて、株価の乱高下に投資判断も掻き乱されてしまう方も少なくないかと思います。

 ただ、現在は日本で参院選の選挙期間中で政策期待、政策的に株価を下支えする側面があるものと思われますので、過度に悲観も楽観もする必要はないと言えます。ただし、中途半端に株価が上昇して強気、株価が下落して弱気でスタンスが定まっていないと、飛びつき買い・狼狽売りを繰り返して、無限に資金がすり減っていくことになりますので注意した方がよいでしょう。

 日本株を取り組むにあたっては、この選挙相場で国家運営の争点となるテーマや新たな技術革新を発表する企業、外資との提携を発表する企業など株価を刺激する材料を持った銘柄が多く見受けられるようになりました。

 今の相場に臨まれる方は、市場のボラティリティが大きいわけですから、投資金を多く突っ込まずともそれなりの利益が出やすいとも言えますので、リスクリワードを優先して株数を気持ち少なめにして取り組むなど工夫するとよいかと思います。

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