【12/17日本市場の確認ポイント】
日経平均 28545.68(▲1.79%)[28,503~28,904]
TOPIX   1984.47(▲1.42%)[1,980~2,009]
東証2部  7454.54(▲0.88%)[7,446~7,487]
JASDAQ   3855.76(▲1.10%)[3,849~3,881]
マザーズ  963.66(▲3.72%)[961~987]

値上がりセクターTOP5
1.鉱業(+0.73%)
2.電気・ガス(+0.54%)
3.石油・石炭(+0.41%)
4.非鉄金属(+0.32%)
5.なし

値下がりセクターTOP5
1.精密機器(▲3.42%)
2.サービス(▲2.97%)
3.金属製品(▲2.61%)
4.その他製品(▲2.37%)
5.電気機器(▲1.84%)

 各国の中央銀行がこぞって金融引き締めに舵を切る中、日銀の金融政策決定会合を控えて前場は小動きでもみ合いました。前日の米国市場でハイテク株が総崩れの割に落ち着いた値動きであったことからTOPIXも2,000ポイントを維持する動きでしたが、昼に日銀のコロナ対応支援策の縮小が伝わったことで後場から急速に値を崩し、日経平均は▲500円超の下げ幅となり16日上昇分を吐き出して往って来いの相場でした。

 17日「本日の相場展望」で指摘したとおり米FOMC後の市場反応は欧州・日本が改めて金融引き締めに動いたことを確認した上で、改めてハイテクグロース株にとっての逆風になることを示すものであったと言えます。全体が売りに押される中で特に下げが目立ったのは米国株同様に前日の上昇分が大きかった半導体関連株でした。東京エレクトロン(8035)の▲3.18%をはじめ、値下がりトップの精密セクターの下げを主導したHOYA(7741)が▲5.23%と大幅安。また、グロース代表のエムスリー(2413)が▲3.46%で年初来安値を更新したほか、新興のマザーズも▲3.72%となり、松井証券のマザーズ信用評価損益率は▲30%超に達しています。

 新興株中心に手掛ける個人投資家や一部のグロース投資家にとっては悲壮感の漂う相場となっています。これまでマザーズの需給を悪化させながら資金を捻出してまで期待を込めた直近上場のIPO株もパフォーマンスが悪く、個人投資家の心理をさらに冷え込ませる要因になっています。
 一方で、この日の調整局面ではその分バリュー株が底堅さを発揮しており、直近のトヨタ(7203)がEV巨額投資を表明したことで自動車関連や電池関連といった材料株には物色資金が向かう形で、さらに12月配当権利取りの動きを強めるJT(2914)にいたっては新高値を更新するなど、資金の受け皿となっている銘柄もあることから全体総崩れにはつながっていません。

【米国株概況】
米金融政策の引き締め転換でポジション調整の動き強まる、前日急落のナスダックが下げ渋ったことは好印象

NYダウ 35365.44(▲1.48%)[35,284~35,800]
S&P500  4620.64(▲1.03%)[4,600~4,666]
NASDAQ 15169.68(▲0.07%)[14,960~15,288]
ダウ輸送株 15829.0(▲1.08%)[15,799~16,133]
半導体SOX 3761.0(▲0.14%)[3,721~3,814]
日経平均先物(CME) 28,425(▲0.33%)[28,340~28,850]
ドル/円 113.15~113.86
米10年債利回り 1.404%
WTI原油 70.11
金先物 1798.30
銅先物 4.2877
恐怖指数(VIX)21.57
Fear&Greed指数 26
High Yield Bond  86.37

 17日の米国市場では米FRBの金融引き締めへ政策転換した材料を消化しながら、株価指数先物・オプション、個別株オプションなどの最終売買日が集中するクアドルプル・ウィッチングで荒い値動きとなりました。NYダウは一時▲600ドル超の下げとなった一方、前日に急落したナスダックも続落商状でしたが切り返し、▲220ドル安から▲10ドル安まで戻して下げ渋りました。

 米長期金利の低下から金融株が値を崩し、ゴールドマン・サックスが▲3.92%、モルガンスタンレーが▲3.16%、シティグループが▲2.51%、JPモルガン・チェースが▲2.28%と主要銀行群が揃って下落しました。また、原油市場の下落をうけてエネルギー株も軟調さが目立ち、S&P500の全11セクターが下落する全面安商状でした。

 ただし、SQ週における波乱の展開はある意味想定内でこれまで通りともいえ、週間パフォーマンスではNYダウが▲1.68%、S&P500が▲1.94%、ナスダックは▲2.95%で調整幅はそれなりだったものの米FRBの利上げ観測をふまえれば大きなショックに至らなくて済んだという見方もできます。今週は次第に年末ムードが高まるにしたがい商いが閑散となり、24日はクリスマス休暇で休場となるため週前半の動きが重要となります。ここで年内の手仕舞い売りを無難に消化できるかどうかが焦点です。

【日本株投資戦略】
前週末の引け味の悪さが尾を引くも、大きく調整する際には押し目買い妙味

 前週末は日銀の金融政策発表後に大きく調整した日本株ですが、週末の手仕舞いムードが強かったために押し目買いを期待しづらかった分、週が明けて調整局面では押し目待ちだった投資家も動いてくる可能性が高まるでしょう。直近まで高値更新に沸いていた米国株とは異なり、日本株は秋口からの調整が一巡してくる頃合いで、バリュー投資家の参戦が相場を下支えすることになるとみられます。

 朝方は米国市場の下落を嫌気した売り物が出やすいと考えられることから、前場は様子見が賢明かもしれません。先週は週を通して日経平均がプラスとはいえボラティリティが高い状態が続きましたから、今週もまだ下値波乱の展開が予想されます。しかしながら、元来、クリスマスにかけて大きく調整地合いが続くとみておりましたが、日米欧の金融政策がタカ派転換した割には市場の動揺が比較的抑えられたと言えます。下げ止まりを確認できれば押し目買い妙味がありますので、ある程度のリスクを許容して下げ目線から買い転換していくことが望ましいでしょう。

 年末が近づくにつれて市場薄商いとなる中、新興市場ではIPOラッシュのスケジュールとなります。市場の流動性が吸収されてしまう分、既存の銘柄の需給悪化は避けられないところです。しかし、来年の相場に軸足を置いて投資を考えるのであれば、今週は買い場を提供してくれる仕込みに適したタイミングと言えます。とくに市場の物色傾向はバリューシフトが強まってきたとみられますので、低PER・低PBRの銘柄はこれまでの調整局面を脱してリターンリバーサルが期待できるようになるでしょう。

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